農協を巡る動き

 鳥取中央と東伯町、合併研究会立ち上げ――しかし、畜産分離など具体化はこれから 05.12.29

 石川信連と農林公庫が業務提携 協調融資で相互補完 05.12.26

 SSやAコープなど拠点型事業の改革進捗度合いは全体でB評価 05.12.22

 地銀の農業分野進出――長野八十二銀や新潟大光銀が新型ローンで参入 05.12.21

 数は整理、しかし果たすべき機能は?――全中の関連団体統廃合を発表 05.12.16

 民間開放推進会議 農協分割論は先送り――自民・農林族の抵抗で 05.12.15

 全共連に業務改善命令 一部共済金の不払いで 05.12.09

 統合全農、関連を合わせて5千人の削減方針を発表 しかし数字の裏付けはなし 05.12.08

 事業総利益が10年ぶりに上昇――05年度上半期経営概況 05.12.08

 政策金融に特化――政府系金融機関統合で農林公庫の機能見直し 05.11.30

 全農全国本部 経営役員会にガバナンス委員会設置へ  05.11.30

 全農の業務改善報告、農水省が事実上受け取り拒否 05.11.30

 全農改革、ゼロではなくマイナスからのスタート――中川農相 05.11.29

 長期共済(生命系)の新契前年を大きく下回る――事業推進体制の見直しは必至 05.11.29

 全農・事業本部制の問題点を論議――農団労・農協革新討論集会 05.11.26

 鳥取 東伯と中央の合併が新聞辞令? 組合員はカヤの外か  05.11.25

 セブン銀とJAバンクがATM利用で提携――昼間は手数料無料 05.11.21

 「改革でなく統制だ」――農団労、全農・米穀事業改革で農水申し入れ 05.11.21

 京都農協にも公取委は立ち入り検査――組合員に資材購入を強要 05.11.15

 県域に一部権限を委譲?ソフトな体裁にしても本質変わらぬ全農・事業本部制 05.11.14

 経産省が全農に業務改善命令 LPG事業の手続き不備で 05.11.08

 貯金50億円等を基準――長野県の支所・支店統廃合の方針が確立 05.10.27

 北海道・士幌農協に公取委が立ち入り検査 優越的地位の乱用の疑い 05.10.25

 地銀の農業分野進出――北國・福井銀に続き北陸銀が農林公庫と提携 05.10.22

 直売と直販は微増――全中の経済事業改革の達成状況調査結果 05.10.17

 米穀事業改革 前進点は共計の透明性確保、しかし全国本部一元化は改革に逆行!? 05.10.14

 全農に7回目の業務改善命令――秋田のコメ不祥事で  05.10.13

 複線化は認めない――前言撤回の全農全国本部 05.10.11

 地銀の農業分野進出――長野銀と農林公庫が協調融資等で協力へ  05.09.30

 広島市農協で臨時職員が横領――問われるコンプライアンス体制 05.09.27

 民間開放推進会議 農協分割論を見送りか?――郵政法案の成立を優先 05.09.22

 農中とMUFGが業務提携 リテール商品やカードサービスの充実目指す 05.09.22

 全農・基本問題委員会 経営役員会の機能見直しなどを論議 05.09.21

 メガバンクの農業分野進出――東京三菱も参入へ 05.09.09


鳥取中央と東伯町、合併研究会立ち上げ――しかし、畜産分離など具体化はこれから 05.12.29

 12月29日、東伯町農協と鳥取中央農協は06年2月に合併研究会を立ち上げることを公表した。この合併研究会には県中央会も参加するが、合併の前提となる東伯町の畜産事業分離の方向が未だ具体化していない中で難航することも想定されている。

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石川信連と農林公庫が業務提携 協調融資で相互補完 05.12.26

 12月26日、農林漁業金融公庫が石川県信連と業務協力協定を結んだことが明らかになった。同公庫は「集落営農への対応など農業金融での情報・ノウハウ交換、協調融資やビジネスマッチング、農業再生委員会設立への協力」などに取り組むとしている。

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SSやAコープなど拠点型事業の改革進捗度合いは全体でB評価 05.12.22

 12月22日、全中の経済事業改革中央本部は第14回委員会で、10〜11月に全農全国本部と全中が実施した県域ヒアリング結果について報告された。ヒアリング内容は、04年度拠点別・農協別収支状況、05年度上期の改革実践状況と同下期の実践計画について収支状況を評価する「定量評価」と、改革の実践状況を評価する「定性評価」の両項目で各農協の進捗管理を行うもの。
 04年度収支の定量評価は、キャッシュフロー段階・共管配布前事業利益・純損益段階に分けて評価し、定性評価は県域で提案した改革の実施状況・農協の改善策定状況・農協改革案期間決定状況・農機やSS等の拠点型事業の再編状況・物流コスト実態・運営改善実施状況について評価するもの。その両者を総合して進捗率70%以上を「A」とし、50〜70%を「B」、30〜50%を「C」、30%未満を「D」とした。
 県別では総合評価でAランクの県もある一方で、事業によって進捗状況がバラバラの県が多いことが報告された。また、拠点型事業では農機が全体でCだが、SS・Aコープ・物流は全体でB評価となっている。

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地銀の農業分野進出――長野八十二銀や新潟大光銀が新型ローンで参入 05.12.21

 12月21日、長野県の八十二銀行が農業向けの新型ローンを発売することが明らかになった。この商品「経営上手〈めぐみ〉」というネーミングで農業に1年以上携わっている法人や個人が対象。融資額は上限1千万円・融資期間は最長5年、4.375%固定金利だが認定農業者には1.0%割り引く。更に、減農薬栽培など県が認定した「エコファーマー制度認定者」には金利を0.5%優遇するとしている。同行は農林公庫と情報交換などの業務協力を行い、農協の顧客だった法人や農家を対象に取引拡大を目指すとし、同公庫は「これまで取引のない顧客へ八十二銀との協調融資につなげたい」としている。 また、新潟県の第四銀行は一般農家向けには貸出上限額500万円・当初金利が3%以上の変動金利型(認定農業者は△0.2%)・無担保融資を設定。農業法人対象には上限額3千万円2.375%の商品を投入することや、同県の大光銀行も05年秋から発売した農家向けの無担保ローンで同年11月末までに34件・1億2,200万円を融資したことが同日明らかになった。

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数は整理、しかし果たすべき機能は?――全中の関連団体統廃合を発表 05.12.16

 農協労研など関連団体を再編した「JA総合研究所」が06年4月に設立されることが12月16日に正式に発表された。農協労働問題研究所・JAシステム開発センター・地域社会計画センターの3法人が統合しJA総研となり、事業内容は1)協同組合研究、2)農協の経営研究、3)農業・地域社会研究、4)企画・調整の4部門となる。また、協同組合経営研究所も08年4月を目途にJA総研と統合することも併せて発表された。

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民間開放推進会議 農協分割論は先送り――自民・農林族の抵抗で 05.12.15

 政府の規制改革・民間開放推進会議は12月15日に、12下旬の最終答申に盛り込む予定だった「農協の事業部門間の赤字補てんを禁止し独立採算制をとる」要求を見送る方針を明らかにした。自民党内の農林族らの反発が根強いことから早期実現は困難と判断したと言われているが、同会議が焦点と位置づける内容であるため政治情勢如何によれば早期に復活する可能性も否定できない。

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全共連に業務改善命令 一部共済金の不払いで 05.12.09

 12月9日、農水省は全共連に対して共済金の一部支払い漏れに関する業務改善命令を出した。これは9月に全共連が発表した自動車共済や建物更生共済等の共済金適正支払状況調査結果で公表した「システム上のチェック機能など点検管理が不十分だったため、追加支払が必要なことが判明した」ことに対する処分。
 改善命令の内容は、1)経営管理態勢の改善・強化、2)組合員・利用者に対する説明態勢の見直しと整備、3)仕組み開発等の体制の見直しと整備、4)共済金支払管理体制の検証・見直しで、業務改善計画を06年1月27日までに提出することとなった。
 全共連は、損保調査担当者を対象とした研修の強化やシステムチェック機能の強化、共済金支払漏れ防止のための事後点検体制強化などの再発防止対策を実施したと発表したが、それらに加えて命令に基づく業務改善計画を策定し内部管理体制を充実・強化して行くとしている。

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統合全農、関連を合わせて5千人の削減方針を発表 しかし数字の裏付けはなし 05.12.08

 12月8日、全農は10年度末までにグループ全体で5,000人を削減することを柱とする業務改善計画を農水省に提出した。統合全農の職員数は約11,500人だが、子会社に約14,000人の要員を抱えている。全農全国本部は自然減と早期退職者の募集拡大によって統合全農と子会社で2,500ずつ削減するとしているが、子会社に関しては全く根拠の無い数字だと分析されている。

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事業総利益が10年ぶりに上昇――05年度上半期経営概況 05.12.08

 全中は780農協を対象とした「17年度上半期総合JAの経営概況」を12月8日に公表した。それによると、事業取扱高は貯金が前年同期比で2.2%増となったものの、貸出金△0.4%・長期共済保有高△1.7%・販売品販売高△0.2%・購買品供給高△1.7%と他の全ての事業で前年同期を下回った。
 しかし、事業総利益全体では0.2%(約21億円)増と95年度上半期以降初めて増加に転じた。これは約79億円増となった信用事業総利益がその要因で、共済も5年ぶりに増益となり販売も2年ぶりに増益に転じたものの、購買は4.4%(約91億円)の減益だった。
 一方、事業管理費は対前年同期比△2.1%減と大きく削減されており、結果事業利益は前年同期比40.7%増(約209億円)と大幅な増益となったもの。

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政策金融に特化――政府系金融機関統合で農林公庫の機能見直し 05.11.30

 農林漁業金融公庫は11月30日、経済財政諮問会議の「政策金融改革の基本方針」決定を受けて、農政改革と政策金融改革に一体として取り組むため「政策金融改革・農政改革対応準備室」を設置した。公庫では「新基本計画や経営所得安定対策等大綱と今回の政策金融改革基本方針の決定を踏まえ、担い手への万全な支援を行う」としており、今後担い手に絞った融資に絞って行くことを明らかにしている。

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全農全国本部 経営役員会にガバナンス委員会設置へ  05.11.30

 全農は11月30日の経営役員会で、役員会のもとにガバナンス委員会と報酬委員会を設置することを決めた。ガバナンス委員会は改革委員会の指摘によって廃止した経営役員会内の監査委員会に代わり、執行状況を点検・検証するとして組織代表経営役員3名と員外経営役員5名で構成する。報酬委員会は、役員報酬に関する提言を行うもので会長と員外役員3名で構成する。
 また、農水省の業務改善命令以降の同省との協議を踏まえ、経営役員会と理事会の役割を明確にするため、議決事項の見直しなど定款変更を行なうことを決めた。また、理事の任期は3年から2年に短縮し、「経営役員会」の呼称を経営管理委員会とする定款変更も行う。

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全農の業務改善報告、農水省が事実上受け取り拒否 05.11.30

 全農は、11月末日が提出期限となっていた業務改善命令に対する改善計画を農水省との事務折衝の結果、提出を延期した。これは改善計画が農水省が求める水準に達していないためで事実上農水省が受け取り拒否をしたこととなる。
 同省は改めて提出期限を指示し、全農は計画を修正した上で経営役員会など必要な内部手続きを行いうこととなった。

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全農改革、ゼロではなくマイナスからのスタート――中川農相 05.11.29

 中川農相は11月29日の記者会見で、規制改革民間開放推進会議の農協分割論について「答申に盛り込まないという話は聞いていない」とした上で、「但し、農協は国が郵政と同じレベルで関与していく訳でない」と見解を述べた。しかし、「農協改革は不十分で、徹底的に自ら改革すべきだと」とし、全農改革については「あれ(全農の改善計画書)は改革ではない。不祥事をどうやってリカバーするか、ゼロというよりもマイナスだ。まずスタートラインにつくことから真の改革が始まる」と述べた。

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長期共済(生命系)の新契前年を大きく下回る――事業推進体制の見直しは必至 05.11.29

 全共連は11月29日に05年度上半期の業績を発表した。それによると、長期共済新契約高は前年同期比108.9%と伸長したが、生命系は前年同期比83.0%と大幅に下回り、建更の同123.8%が長期共済を支えている構図が明らかになった。
 一方、短期共済も掛金ベースで約2,280億円と前年同期比97.3%となっているが、その主要因は約7割を占める自動車共済が同じく97.3%と伸び悩んでいるとしている。

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全農・事業本部制の問題点を論議――農団労・農協革新討論集会 05.11.26

 全国農団労は11月25・26日の両日都内で〈2005年度農協革新討論集会〉を開催した。討論集会は岡田委員長の「今討論集会の意義」という問題提起で始まり、内田副委員長の「現場における経済事業の問題点」では、農協現場ですすまない経済事業改革の実態を報告。それを受けて各県・各農協の報告と討論を行った。全農の事業本部制に関しては小川書記長が想定される問題点について提起した。
 2日目は全農長野県本部の鹿田副本部長を講師に招いて、「これからの農協経済事業のあり方を考える」と題してた講演とそれを踏まえた質疑・相互討論を行った。参加者は全体で98名だった。

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鳥取 東伯と中央の合併が新聞辞令? 組合員はカヤの外か  05.11.25

 鳥取・東伯町農協が鳥取中央と合併する方針であることが11月25日に新聞発表された。合併時期は07年2月で畜産事業を分離した上で合併するという報道だが、当該の鳥取中央では理事会での協議すら行われていない段階で公表したことによって、新たな問題が発生する危惧もある。

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セブン銀とJAバンクがATM利用で提携――昼間は手数料無料 05.11.21

 農林中金は11月21日に、セブン銀行(旧アイワイバンク)と提携しJAバンクのキャッシュカードで同行のATMから現金引き出しと残高照会サービスを利用できるようになると発表した。
 当面は大阪をはじめとする41府県でサービスの利用が可能となり、06年1月から東京と北海道、同5月から神奈川・長野・和歌山・愛媛で利用可能となる。手数料は平日の昼間と土曜日の9時〜14時までが無料。
 尚JA(JF含む)カードの保有者は約1,700万人で、セブン銀行は約1万台のATMを有している。

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「改革でなく統制だ」――農団労、全農・米穀事業改革で農水申し入れ 05.11.21

 全国農団労の岡田委員長らは、11月21日に全農が計画している「米穀事業改革」に関して農水省に申し入れを行った。その概要は以下の通り…。
農水省
○ 申し入れ内容に関して素直に頷けない点もあるが、「全国農団労の見解―目指す方向」に関しては全く同意する。
○ パールライスの再構築に関しては農団労の指摘の通り。財務問題もあり再編に着手する際には困難な課題に直面するだろう。
農団労
○ そもそもこのような小手先の「改革」でなく、全農がリスクを取って買い取り、自分で売り抜く位の改革でなければ「改革」の名に値しない。
○ 全農では「農水省から言われてこのような絵を描いた」と言っている。全国本部の米穀部と旧食糧庁(食料部)の出来レース(既得権益確保)ではないのか。
農水省
○ 全農も「JAの直接販売は支援する」と言っており、また「一部ではあるが買い取り販売を行う」とも言っている。
○ 最初に全農が持ってきた米穀事業改革に関して、共計の透明化を図ると言っているが具体的な実効策(担保)がないと指摘し突き返したことは事実。
○ 現在の産地間競争はリベートの撃ち合いだ。農水省としては、これくらいの(県本部に手を突っ込む)強硬な姿勢がなければ県共計の不透明さは破れないと考えている。販売対策費など一定のルールを作り、それを守らせることが必要。
農団労
○ 共計の透明化を図ること、一定のルールを遵守することは当然だ。
○ しかしルールを守らせることと、全国本部がコメ販売を統制することは別だ。「ガバナンスを貫徹することが必要」という改革委員会の答申を受けて、「だから全国一元化(事業本部制)が不可欠」という論法と同じだ。
農水省
○ 全国一元化を問題視しているが、現在の全農にそれ程の力量はない。「全農食管」と言うが、全国農団労の杞憂に終わるのではないか。

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京都農協にも公取委は立ち入り検査――組合員に資材購入を強要 05.11.15

 京都農協が組合員に対し、施設の利用と引き換えに肥料などの購入を強要していた疑いで公正取引委員会は11月15日に独禁法違反の疑いで同農協の立ち入り検査を行った。公取委によると京都農協はライスセンターなどの施設を利用する組合員に対し、肥料や飼料を農協から購入するよう強要していた疑い。近年で単協が公取委の立ち入り調査を受けるのは、10月25日の北海道・士幌町農協に続いて2件目となる。

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県域に一部権限を委譲?ソフトな体裁にしても本質変わらぬ全農・事業本部制 05.11.14

 11月14日、全農の各県本部長会議でこれまで論議されていた事業本部制の内容を変える方針が明らかになった。全農は第6回の業務改善命令(黒豚事件)以降、新たな理事会で「事業本部制に関して事業論から再検討する」としていたが、第7回の業務改善命令で具体的な改革方策について計画を立てる必要に迫られていた。
 この内容は、これまで全国本部(各事業本部の本所)に集中していた権限を一定程度県本部に委譲するものとなっている。しかし、事業本部制そのものは温存され、具体的な機能・権限の区分に関しても未確定のため、経営困難な県本部が最終的に事業本部制に逃げ込み健全経営の県本部がコストを負担するという事態も懸念される。

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経産省が全農に業務改善命令 LPG事業の手続き不備で 05.11.08

 11月8日に、経産省の原子力安全・保安院がLPG販売で安全点検に不備などが認められたとして、全農に対する業務改善命令を発動した。同省によると、全農兵庫県本部のLPG販売所が一般家庭用にガスを供給する際必要な点検をしておらず、神奈川県の販売所でも安全点検情報の周知が一部で不十分だったとして、11月末までに保安業務を確実に実施するための改善計画を提出するよう要請し、実施状況についても今後1年間、3カ月ごとに報告を求めるとしている。

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貯金50億円等を基準――長野県の支所・支店統廃合の方針が確立 05.10.27

 JA長野県グループは10月27日に開催した第58回大会で、支所・支店の統廃合方針を決定した。その内容は現在の約450支所のうち180箇所を削減するもので、07年2月までに統廃合店舗を決定する。
 この方針は04年に全中が支所・支店体制の存置最低基準と最低人員基準を決めた「支所・支店体制再構築のための指針」に準拠したもので、職員配置が4人未満の店舗・貯金額50億円未満の店舗・採算性の悪い店舗等が削減の対象となる見通し。サービスの低下に関しては集落懇談会をきめ細かく開いて対応するとしているが、8月末時点で支所・支店の統廃合を「既に検討した」、「検討に着手している」と答えたのは全体の半分の10農協にとどまった。

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北海道・士幌農協に公取委が立ち入り検査 優越的地位の乱用の疑い 05.10.25

 10月25日に公正取引委員会は、北海道・士幌町農協が組合員農家に対して飼料の購入などを条件に融資していたとして、独占禁止法(不公正な取引方法―優越的地位の乱用)違反の疑いで、同農協に立ち入り検査を行った。公取委によると同農協は数年前から組合員に融資をする際、農協から飼料などの資材を購入することを条件にしていた疑いが持たれている。

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地銀の農業分野進出――北國・福井銀に続き北陸銀が農林公庫と提携 05.10.22

 石川県の地銀である北陸銀行が農業金融に進出することが10月22日の新聞報道で明らかになった。同銀行は農林金融公庫と業務提携し大規模農家への代理貸し付けを行う他、北國銀行・福井銀行など北陸地方の地銀もそれぞれ農業分野の融資に進出している。

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直売と直販は微増――全中の経済事業改革の達成状況調査結果 05.10.17

 全中は10月17日に第13回経済事業改革本部委員会を開催し、「経済事業改革指針」で定めた事業目標の達成状況を報告した。
 それによると直売所は、826農協のうち57.7%の477農協で設置されている。しかし、設置率は前年度を上回ったものの店舗設置箇所は1,527ヵ所で前年度の2,008ヵ所に較べ大幅に減少していることが分かった。この原因は今回の調査からインショップや組合員グループが独自に経営している直売所を除いたことによる。
 農協のコメ販売高に占める直接販売の割合は16.37%で、前年度対比6ポイント増、青果物販売高に占める市場外販売の割合は16.51%で、前年度より約4ポイント増加している。全体的には生協・量販店を対象にしたものは微増しているが一般小売店や外食産業では減少している傾向を示している。
 購買事業では、汎用農薬で競合するホームセンターの価格調査をしたのは637農協で、前年度に比べて約8ポイント増加し、価格調査の頻度も年4回実施が約20%、年2回実施は約33%となっており、年間10回以上実施している農協も約8%ある。

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米穀事業改革 前進点は共計の透明性確保、しかし全国本部一元化は改革に逆行!? 05.10.14

 全農はコメの共同計算方式の改革策を9月1日に発表したが、これに基づく「県域共同計算結果の周知例」を10月14日に制定した。これは、共同計算の結果を農協と生産者に周知する事項や様式などについて基本型を例示したもので、販売対策費の内容・金額・支払い先などを農協に開示するものとなっている。また、販売代金に占める販売対策費の割合、1俵あたりの販売対策費財源、販売代金に占める広告宣伝費の割合、その1俵当たり財源なども直近3年間にわたって開示する。
 生産者に対して農協は、1)共計の収支結果、2))各農家の出荷数量(販売数量)、3)銘柄別の本人手取額、4)県本部から送付された資料を通知する。この添付資料によって販売対策費など県全体の状況がわかり共計の透明性を確保できるとしている。
 しかし、全農全国本部は更に「新生全農米穀事業改革」をすすめている。この内容は共計の透明化を図るだけでなく、各県のパールライスの廃止で全国本部に販売を一元化しようとするもので、新たな「全農食管」という批判が出ている。

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全農に7回目の業務改善命令――秋田のコメ不祥事で  05.10.13

 農水省は10月13日、全農に対し農協法に基づく第7回目の業務改善命令を出した。今回の業務改善命令は、秋田県本部やパールライス秋田の行ったコメの横流しや架空取引などの不祥事に関するもので、子会社も含めた法令遵守や委託販売手数料や購買手数料などの見直しを数値目標化して、「改善計画」に盛り込み11月末までに提出するよう求めた。
 この問題に関して同省の石原事務次官は、「これまでも業務改善命令を出して、その都度全農から『コンプライアンス問題については十分注意して、これから努力します」という返答があったが、このように度重なる不祥事が出たというで、数値目標等を盛り込んだ改善計画を求め、その目標に沿った改革がなされているかどうか常時監視していきたい」と記者会見で述べた。

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複線化は認めない――前言撤回の全農全国本部 05.10.11

 10月11日に長野経済連の全農統合に伴う第13回協議会が開催された。今回は全農がまとめた『改革策』が複線化による県本部収支均衡を決めた長野県本部の独自性にどのような影響を与えるのかについて論議された。全国本部は「新生全農の改革実行策」で基本的に複線化を認めないという姿勢を明らかにした。県本部収支均衡制を維持する複線化に関しては既に長野県内で組織決定しており、全国本部や全中も了承していた。

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地銀の農業分野進出――長野銀と農林公庫が協調融資等で協力へ  05.09.30

 長野銀行と農林漁業金融公庫長野支店は9月30日に、地域内の農林漁業関係の情報交換や関連産業向けの協調融資などで協力する覚書を結んだ。農林公庫は全国の地域金融機関との業務提携をすすめており長野銀行が64件目になるが、これまで同県の農家向けの資金に関しては農協・信連のシェアが高かったため提携はなかった。しかし、規制緩和による農業経営の大規模化や他業種の農業参入増加を踏まえて、同県内でも一次産業向けの融資に乗り出した。

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広島市農協で臨時職員が横領――問われるコンプライアンス体制 05.09.27

 広島市農協女性臨時職員が架空伝票を作成して1,565万円余を横領していたことが9月27日に分かった。同農協はこの臨時職員を8月4日付で解雇し警察に被害届を出した。
 同農協によると、女性は02年から05年7月までの間にレジから売上金を抜き取ったり、中古農機具を購入したように見せかけて支払い代金を着服していた。同農協では01年から不祥事が4件発覚し、05年4月に県が業務改善命令を出したが、今回の事件は業務改善計画に基づき債務確認をした際に発覚したもの。

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民間開放推進会議 農協分割論を見送りか?――郵政法案の成立を優先 05.09.22

 政府の規制改革・民間開放推進会議が、2005年度規制緩和方針・「中間とりまとめ」から、当初案に盛り込んでいた『農協改革』を外す方針であることが9月22日に明らかになった。
 規制改革会議の農協改革案は金融(信用)・保険(共済)事業の分離を骨子とするもので、郵政民営化が焦点となった第44回総選挙前に全中らが自民党の農林族議員を使って、政府に反対の圧力をかけていた。規制改革会議側は「規制改革に取り組むのは郵政問題が決着した後」として、郵政法案成立後の12月の最終答申に農協改革も含めた規制緩和策をとりまとめるとしている。

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農中とMUFGが業務提携 リテール商品やカードサービスの充実目指す 05.09.22

 農林中金はリテール分野の業務基盤を拡充するため三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)と資本提携を含めた業務提携を行うと9月22日発表した。MUFGは10月1日に発足したが、農林中金はMUFGとその傘下のカード会社であるUFJニコスにそれぞれ約1,000億円ずつを出資することとなった。
 農林中金は、「金融商品などリテール分野の品揃えをJAバンクが自前で開発するよりも、メガバンクとの提携で競争力の強化を急ぐ」と説明している。一方で、MUFG側はUFJ銀行に導入された公的資金を返済するため、資本増強が求められているという事情がある。農中は04年9月に、みずほグループのみずほ証券に出資しており分野ごとに他の金融機関と提携して行くこととしている。
 このことによって、農協がUFJニコス(UFJカードと日本信販の合併)との提携クレジットカードを発行できるようにするのをはじめ、協同クレジットサービスとのサービス一体化と将来の統合も含め検討することになった。また、ICカードに対応できる新型ATMの相互利用もできるように共同で検討する他、農中信託銀行が東京・埼玉・大阪・兵庫・福岡の比較的大都市圏にある5信連と農協を通じて10月から参入する、遺言執行と遺産整理の業務に関して三菱UFJ信託銀行がコンサルと事務処理を委託する。
 このことに伴い農林中金がMUFGの持ち株会社に約1千億円、UFJニコスに約1千億円を出資することも併せて発表された。

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全農・基本問題委員会 経営役員会の機能見直しなどを論議 05.09.21

 全農全国本部は9月21日に第1回基本問題委員会を開催し、経営役員会(経営管理委員会)の役割の見直しなどの検討をはじめた。同委員会は7月に策定した『新生全農を創る改革実効策』で設置を決めていたもの。同委員会は1)経営役員会の権限見直し、2)経営役員会の監視・チェック機能のあり方、3)専門委員会のあり方、4)県本部運営委員会のあり方、5)農協組合長等の経験者の理事登用、6)今後の組織統合等を検討し05年12月に結論を出すとしている。
 経営役員会の権限見直しに関しては、経営方針その他の重要事項の決定、理事会の業務執行監視機能等について定款変更案を含め検討し、専門委員会のあり方では子会社管理・販売事業・購買事業に関して専門委員会を設置し課題を明らかにするとしている。また、組合長等の経験者の理事登用については、「全中検討会および農水省指導通知を踏まえた対応策を考える」とし、今後の組織統合については、「できるところと統合する」ということを基本スタンスとした。

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メガバンクの農業分野進出――東京三菱も参入へ 05.09.09

 東京三菱銀行(現三菱東京UFJ)は日本農業法人協会と連携し、農業法人向け融資に参入することを9月9日に発表した。大手行では既に三井住友銀行も農業法人融資に乗り出している。
 融資対象になるのは、日本農業法人協会の会員になっている農業法人の1,650社で、原則として無担保・第三者保証不要のローンで、決算書や納税証明書・単位面積あたり収穫量や借地料などをもとに審査をする。融資期間は最長5年で金利は融資先の財務内容に応じて2%から出発するが、日本農業法人協会会員の経営診断を受けている農業法人は0.3%の優遇措置がある。

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