農業を巡る動き

農地の面的集約で貸手と借手を仲介する第三者機関設立へ 07.03.11

 農水省は3月11日、分散した農地を面的に集約し再編・利用するため、農地の貸手と借手を仲介する第三者機関を市町村単位で全国に設置する方針を明らかになった。
 同省は「農地政策に関する有識者会議」を設置しており、この会議では面的集積を促す仲介機関の必要性を確認した。この仲介機関は、地域で貸し出される農地を借り受けてからまとめて担い手に再配分するもの。農地を貸出先は相対でなく仲介機関に委ねられることになる。
 同省によると「現行制度の下でも農協・市町村・公社など564の農地保有合理化法人があり、仲介機能を持っているが実績は少ない」とし、「農地の集積はそれなりに進捗しているが、分散し作業効率が上がらないことが全国的な課題になっている」と述べている。今後は、既存機関の機能強化か別な形態の法人の設置など手法を検討した上で、全市町村に仲介機関を設置を目指すとしている。

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OIE―「米国のBSEリスク管理は適正」
    実態を無視した評価に疑問の声も 07.03.09

 米農務省は3月9日、国際獣疫事務局(OIE)が定める「BSEのリスクが管理され、月齢を問わずに自由に貿易できる牛肉」の区分に米国産牛肉が認定されることが内定したと発表した。現在、日本は同国産の輸入条件を20カ月齢以下に限っているが、OIEの認定内定を根拠に、同国が日本の月齢制限を輸入障壁だとして撤廃への圧力を一層強めることが想定される。

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ずさんな米国食肉輸出の実態がまたも明らかに
    ソーセージに「牛肉」と誤表示 07.03.02

 3月2日、農水・厚労両省は米国から神戸港に届いた貨物に「牛肉」と表示されたソーセージ1.2トンが含まれていたと発表した。米国産牛肉の加工品は輸入が認められておらず、政府は家畜伝染病予防法等に違反するとして、取り扱った米輸出業者の「ジョバーズ・ミート・パッキング社」からの輸入を停止した。
 このソーセージは2月20日に同港に到着した貨物の中から、動物検疫所が混載を発見したもので、ラベルには「牛肉」の表示があったものの品名を記載した証明書には「牛肉ではない」と書かれていた。

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民主党・篠原代議士が予算委員会で代表質問
   1兆円規模の直接支払で農業の活性化と格差是正を求める 07.03.01

 3月1日の衆議院予算委員会で安倍首相は、「(日豪EPAは)オーストラリアとの戦略的な関係を強化する上でで大きなメリットがある」と交渉に入ることを求めた。一方で、同首相は「農地の保全や環境、農業の構造改革の進捗状況にも留意する必要がある」と重要品目の関税撤廃には慎重な姿勢も示した。
 同日の予算委員会では、民主党の篠原代議士が代表質問を行った。同代議士は格差問題をテーマに、農業分野では是正手段として戸別所得補償(直接支払い)が有効であり、民主党案の1兆円規模の直接支払を提案した。更に「政府の品目横断的経営安定対策は、4ha以上の認定農業者など大規模農家のみを対象とする歪なものである」と指摘し、安倍政権の底上げ戦略に反するのではないかと質した。また、中山間地域の活性化のために、訓練した犬の放し飼いを認めて猪・猿・鹿・熊の害をくい止めるべきであることも提案した。

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全ての農畜産物関税ゼロで自給率は12%に――農水省が試算 07.02.27

 2月27日に農水省は、全ての農畜産物の関税が撤廃された場合日本の食料自給率はカロリーベースで12%まで落ち込み、農業生産額は3兆6,000億円減少するという試算結果を発表した。品目別では、コメで業務用の低価格米を中心に当面42%まで落ち込み、最終的に現在の1割程度の生産量になると予測され、牛肉が約8割、豚肉も約7割それぞれ減少するとしている。

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全中会長が訪豪し貿易相に要請
   「全ての品目が交渉対象」――豪側は姿勢変えず 07.02.21

 2月21日、全中の宮田会長らはオーストラリアを訪れ、トラス貿易相に対して「米・麦・牛肉・乳製品・砂糖など日本にとって重要品目を関税を撤廃すれば、日本農業は根幹から潰れる」と申し入れた。しかし、これに対して同貿易相は「日本として関税撤廃が困難な品目があることは承知しているが、全ての品目が交渉対象だ」とする姿勢を崩さなかった。

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中山間地直接支払――交付対象市町村は前年並み
    集落協定は650件増加 07.02.20

 農水省は2月20日、06年度の中山間地域直接支払い制度の実施状況見込みを公表した。それによると、交付が見込まれる市町村は前年度と同じ1,041市町村で、対象となる農地がある1,132市町村の92%に止まっている。
 交付金を受けるための集落協定は649件増えて28,084、個別協定は6件増の440で合計28,524協定となっている。この直接支払制度は05年度から、取り組み内容によって支払い単価を区分し、適正な農業生産活動に取り組む場合の「基礎単価」に加え、機械や農作業の共同化などに取り組む場合は交付金単価が高くなる「体制整備単価」を設けた。その結果、06年度の集落協定のうち「基礎単価」の支払は15,097件、「体制整備単価」は655協定増えて12,987件となった。
 面積では663,000haで前年度より9,000ha増加し、対象農地面積の82.4%となっているが、「基礎単価」による交付見込み面積は138,000ha(対前年度△1,000ha)で、「体制整備単価」交付見込み面積は525,000ha(同10,000ha増)となった。

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農家経営収支―粗収益は伸びたもののコスト増で所得減少に 07.02.16

 農水省は2月16日に05年の販売農家の経営収支調査結果を公表した。それによると、全国の主業農家の1戸当たりの農業粗収益は1,139万円(対前年比1.3%増)だが、農業経営費が725万円(同5.5%増加)となったため、農業所得は414万円で前年に比べ5.3%の減少となった。収益では野菜収入が減少したものの稲作・畜産収入が増加し、経営費では原油価格高騰による光熱動力費が増加したと報告されている。
 一方、農外所得は39万円(対是年比4.4%減)、年金収入なども85万円(同9.5%減)だったため総所得段階で539万円(同6.0%減)となった。
 準主業農家1戸当たりの農業所得は63万円、副業的農家は30万円、一方認定農業者のいる農家の農業所得は494万円で総所得は673万円でそれぞれ主業農家よりも2割程度上回っている。

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米国産牛肉、またも輸入条件違反部位が混入 07.02.16

 農水・厚労両省は2月16日に米国から輸入された米国産牛肉の中に輸入条件に違反する可能性がある牛肉が混入されていたとして、この牛肉を出荷したタイソン社のレキシントン工場からの輸入手続きを留保すると発表した。
 両省によると、2月5日に横浜港に到着した貨物の中に米国農務省発行による衛生証明書に記載されていない牛肉が含まれており、輸入者が調査した結果、当該牛肉は生後20カ月齢以下という輸入条件に適合している証明ができないものであった。
 両省の要請を受けて米国側が調査したこところ、「20カ月を超えた牛肉が誤って日本向け貨物として出荷された」という報告が16日に米国側から寄せられた。

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不二家に対して山崎製パンが安全面で提携 07.02.05

 1月に消費期限切れの牛乳など洋菓子の原料に使用したことが明らかになって以降、多くの食品衛生法違反や杜撰な安全管理が明らかになった不二家が、食品安全衛生管理体制の整備について山崎製パンの支援を受けることを2月5日に発表した。
 その内容は、山崎製パンが実施している食品安全システム(AIB:米・英国の食品安全に関する法律に準拠した基準を独自に策定し、加工工場の食品安全衛生プログラムの有効度を数値的に監査、問題点を指摘して改善策を協議するもの)を不二家の工場に導入するもの。今後は資本提携も含めたその他の提携も追求するとしている。

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BSE感染、32例目が確認される 07.02.05

 農水省は2月5日に、同2日に屠畜されたが牛が国内32例目のBSEに罹患していることを発表した。この牛は北海道帯広市で飼育された65カ月齢の雌のホルスタインで、飼料規制が開始された以前に生まれた。

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和食系が伸びる外食売り上げ――焼き肉などは減少 07.02.01

 2月1日に明らかになった日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」によると、06年の全業態トータルの全店売上げは対前年比で102.8%・客数101.7%・客単価101.1%・店舗数101.1%といずれも05年を上回っていることが分かった。
 業態別の売上げは居酒屋業態が対前年比113.2%で、和風のファーストフード(同108%)、麺類のファーストフード(同107.7%)が伸びている一方で、ファミリーレストラン業態の焼肉(同95.6%)・持ち帰り米飯・回転寿司(同96.8%)が減少している。

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経済財政諮問会議で農業改革に言及
    コスト削減に論議が集中 07.01.31

 1月31日に経済財政諮問会議の「EPA・農業ワーキンググループ」の会合が開かれた。これは同会議が「農産物貿易や国内農業改革を検討するため」に設置したもの。同日の会合で示された検討項目は、WTO・EPA問題に関して、1)EPA締結の直接メリット・間接メリットとコスト、2)締結相手国の選択のあり方、3)複数国間のEPA構築、4)日本の積極的な役割の果たしかた等の4項目。
 農業改革に関しては、1)国境措置の削減と合理化による生産者へのデメリットと消費者のメリット及び過去の自由化による影響についての評価、2)担い手への支援集中・農地の集約・効率的利用促進に向けた改革とこれまでの改革による生産性向上への評価、3)国境措置の削減・合理化と生産性向上との同時並行的加速化など3点を挙げている。このことで、今後さらにグローバル化を念頭に置いた国内農業の構造改革論議やコスト削減論が高まることが予想される。

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生鮮野菜の輸入量減少――残留農薬基準の厳格化で
    緑茶など農産物輸出額は対前年13%増 07.01.31

 農水省が1月31日に速報値として公表した06年の農林水産物輸出額(アルコール飲料・たばこ等を除く)は3,741億円で、05年に較べ13%増加したことが分かった。伸び率が高い品目は、緑茶・長いも・コメなどで、主要国別輸出動向では韓国(17.6%増)・アメリカ(15.0%増)・香港(6.9%増)・台湾(6.9%増)・中国(5.2%増)などで、日本食ブームが追い風となっている。
 一方、同30日に財務省が発表した貿易統計によると、06年の生鮮野菜の輸入量は918,500トンで前年を14%下回っていることが分かった。これはポジティブリスト化に伴い残留農薬基準が厳しくなったことが要因で、米国産や中国産の野菜の輸入量が減少した。

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農水省―「有識者会議」で農地の流動化や新規参入を検討 07.01.30

 農水省は1月30日に「農地政策に関する有識者会議」の第1回会合を開催した。この会議は、品目横断的経営安定対策や新たな米政策改革、農地・水・環境保全向上対策などの政策の下で優良農地の確保と集積・耕作放棄地発生防止・利用率の向上など農地制度を見直しを検討するもの。
 同省が会議に検討項目は、1)担い手への面的集積の促進、2)農業経営の多角化・高度化等の推進、3)多様な主体による新規参入の促進、4)計画的な土地利用の推進による優良農地の確保等。既に05年に「農業経営基盤強化促進法」によって都道府県による耕作放棄地の買い上げや強制借り上げが可能になったが、適用された例がない。そのため農水省は新たな農政の実効性を確保するために農地の流動化と拡大を目指すことを狙っている。
 一方、全中は農地の面的利用拡大を目指す制度改正要求を行う方針(前出)で、同省とは同床異夢と言えるが、政治的圧力まで利用して制度を作ることに力を傾注するものの、制度発足後は実践しない全中の体質が今後問題になる公算が強い。

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米国農務省――牛肉輸入拡大で対日圧力を強める 07.01.24

 アメリカ政府はジョハンズ農務長官と通商代表部代表の連名で、日本政府に対して同国産牛肉の輸入条件緩和を書簡で申し入れたことが1月24日に明らかになった。その内容は、現在輸入が認められている20カ月齢の牛を30カ月齢に引き上げるもの。日本ではBSEの検査対象月齢が法律では20カ月齢以上の牛と定められているため、20カ月齢以上の無検査牛肉の輸入はできない。農水省は「アメリカの現地査察が終わっていない現状で輸入を認めることは消費者の信頼を損なう」として、当面は輸入を認めないことを明らかにした。しかし、今後同国からの政治的圧力が強まることも想定されている。

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全中――農地の面的集積で税制対策を要請 07.01.22

 1月22日、全中は農地の利用集積を促進する農地制度と生産コストの低減化に向けた検討を開始した。この制度要求は水田農業対策本部委員会で行い、農地の面的・団地的利用を支援するための税制改正などを盛り込み、08年度農水予算の概算要求に反映させるとしている。

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全国農団労〈営農販売担当者交流会〉開く
    仲間の実践――直売所の取り組みに学ぶ 07.01.13

 1月12〜13日の両日に掛けて全国農団労は都内で第11回営農販売担当者交流会を開催した。参加者は44名で、広島・尾道市農協の吉原氏より「JA尾道市に於ける直売事業の現状と今後の課題」と題する講演を受け、都内のスーパーマーケット・小売店・有機食材店などを訪れるフィールドワークを行った。その消費者への聞き取り調査で明らかになったことは国産指向が高いことで、その理由としては「安全だと思う」、「美味しいと思う」が多く、「国産」というブランドが信頼されていることが分かった。しかし、一方で「農薬の残留が気になる」や「生産段階の情報が欲しい」という声もあり、裏付けのない安心感によって支えられていることも明らかになった。また、高齢化の進展で「少し高価でも良いものを少量」というニーズが増加しつつあることも確認した。

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洋菓子メーカー不二家で期限切れ原料使用が発覚
    問われるモラルと労働組合のチェック機能 07.01.11

 1月11日、洋菓子メーカーの不二家が消費期限切れの原料を使用していたことが明らかになった。当初は牛乳の不正使用が発覚したが、その後卵など原料全般に亘って消費期限切れのものを使用していた事実が明らかになり、農水省は同月17日に「早急にコンプライアンス体制を確立するよう」同社に対して強く要請すると共に、JAS法に抵触するか検討を開始した。

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農業生産指数――前年を上回ったものの、基準年より大幅低下 07.01.05

 農水省は07年1月5日に「平成17年農業生産指数」を公表した。それによると全体の指数は前年を1.4%上回ったものの、基準年の2000年の95.3%に低下している。基準年と比較すると、野菜91.5・果実97.3・花卉90.9・畜産97.2と全ての品目で減少していることも明らかになった。

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食料自給率40%―内閣府調査で、「低いと思う」人は7割 06.12.26

 内閣府は12月26日、「食料の供給に関する特別世論調査」の結果を発表した。この調査は20歳以上の3,000人を無作為抽出し聞き取り調査したもの。
 「食料自給率が40%であることについて」どう思うかという設問に対しては、「低い」が47.0%、「どちらかというと低い」は23.1%で7割の人が低いと感じていることが分かった。また、「将来の食料供給について」に対する回答は「非常に不安がある」28.7%、「ある程度不安がある」48.0%で、「食料生産・供給のあり方」に関しては「外国産のほうが安い食料は輸入するほうがよい」は7.8%に過ぎず、「外国産より高くてもコメなどの主食となる食料はコスト引き下げ国内で作る方が良い」が44.5%、「外国産より高くても食料はコスト引き下げできるだけ国内で作る方が良い」42.3%と、食料安全保障の観点から9割以上の人が何らか国内生産を望んでいることが分かった。

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農水予算の政府原案内示
    対前年比96%で、「担い手」対策が新規に認められる 06.12.20

 財務省は12月20日、07年度の政府予算の原案を各省庁に内示した。農林水産予算は総額2兆6,716億円(前年度対比96.2%)で、非公共1兆5,319億円(同97.6%)となった。
 公共事業関係では、「米政策改革のさらなる推進費」が前年度を300億円上回る1,821億300万円で、新規事業の稲作構造改革促進交付金(290億3,000万円)が上乗せされた他に産地づくり対策費」1,767億円など米政策改革関連の対策費が前年を上回ったのが特徴となっている。07年度から始まる品目横断的経営安定対策のうち、「生産不利補正対策費」は1,395億4,900万円、「担い手育成確保支援対策費」も176億1,500万円が新たに認められた。

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有機農業推進法が可決
    民主党が主導し、議員立法で 06.12.06

 12月6日、化成肥料・農薬やGM技術を使用しない農産物の生産・流通・販売を支援する「有機農業推進法案」が参議院で可決し、衆議院に送付された。この法案は国や自治体などに支援策を盛り込んだ推進計画の策定を求める内容になっている。法案は超党派で提出されたが、実質的には民主党が主導したものとなっている。尚、同8日に同法案は衆議院本会議で可決、成立した。

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06年産米の最終作況はやや不良 06.12.05

 農林水産省は12月5日、06年産米の作況が「やや不良」で確定したと発表した。しかし、作付面積が需要に対して「過剰」だったため需給への影響はほとんどないとしている。

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全中が「日豪EPA反対」で全国集会
    農業分野の例外扱い求める 06.12.01

 全中は12月1日に「日豪EPA対策全国代表者集会」を開いた。この集会では「オーストラリアからの輸入は農林水産物の比率が高く、コメ・麦・乳製品など日本にとって極めて重要な品目が多い。そのため日本農業が壊滅的な打撃を受ける恐れがある」として、農業分野の例外扱いなど「政府・与党に対して適切な対応を求めて行く」と確認した。
 また、全農は11月27日の記者会見で柳澤会長が日豪EPAに関して、「世界一農産物の安い国と、品質的には世界一の日本が将来にわたって交易することは冒険であり、そういうことはあってはならない」とした上で、「他産業の利益のために農業が犠牲になるようなことは絶対に阻止しなければならない」と述べた。

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07年産米の適正生産量は828万トンに 06.11.30

 農水省は11月30日に、07年産米の適正生産数量と都道府県別の内訳を公表した。これによると07年産米の需要見通しは835万トンで、生産数量は06年度の目標数量より5万トン少ない828万トンとなる。需要量と生産量の差は06年度の7万トンの過剰作付けがあったためで、過剰作付分の07年度削減は千葉(13,800トン)や福島(11,600トン)等で行われることになる。

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コメ販売で相対取引増加――入札取引は低迷 06.11.29

 全農は11月29日、10月末までのコメの販売実績を発表した。それによると06年産米の7〜10月の累計では296,000トンで、同じく05年産米は679,000トンだった。
 06年産からコメ価格センターへの上場義務が廃止になったことで、実需者との相対取引が増加しており06年産米で入札取引は7,000トンに止まっている。全農は特定の実需者のうち一定量以上の契約には有利な条件を提示していることが、好調な販売につながっていると述べている。

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秋冬野菜の価格暴落で産地廃棄余儀なくされる 06.11.28

 11月28日、全農は卸売価格が大幅に下がっている秋冬の白菜・大根について、緊急需給調整による産地廃棄を実施することを農水省に届けた。全体では10,975トンが対象でそのうち茨城県が8,800トンと大部分を占める。この要因は、秋以降の好天で生育が順当だったことに加え、暖冬で消費が伸びないことにあると説明されている。廃棄は11月30日までに実施され、農家は実施量に応じて全国野菜需給調整機構から、白菜17円/s、大根27円/sの単価で交付金が支払われる。

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国産麦――民間流通が原則に
    政府の無制限買入は廃止に 06.11.22

 11月22日に農水省は、07年4月1日から改正施行する食糧法に基づく07年度以降の輸入麦の売渡方式の内容を発表した。これまで、政府が標準売渡価格制度によって年間の売り渡し価格を固定してきたが、新しい制度では過去の一定期間の政府買付価格の平均値に年間固定の内外売買差額(マークアップ)を上乗せした価格で需用者に売り渡す。
 また、売渡価格は年間3回改定する価格変動制になる。同省は、「企業の国際競争力を強化する」としているが、国際相場の変動で国内市場が影響を受けるのを避けるため価格変動幅は当面は改定前価格の上下5%の範囲内とするとしている。
 尚、小麦の07年度のマークアップ額は2.3%引き下げ16,868円/トンとし、政府売渡価格は、全銘柄加重平均で48,430円/トンとなる。また中華めんやパスタ用の小麦には、事前に需用者と輸入業者が契約して輸入銘柄・輸入港・輸入時期を選択する売買同時契約方式が導入され、国産麦は、民間流通を基本とするため現行の政府の無制限買入制度は廃止される。

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ワタミが有機肥料工場建設
   圃場からテーブルまでの有機のインテグレート化すすむ 06.11.21

 居酒屋大手チェーンのワタミが岩手県と提携し、同県内に有機肥料工場を建設することが11月21日に明らかになった。年間生産能力は2,000トンを見込んでいる。ワタミは03年に農業分野に参入し05年から肥料製造に乗り出しており、生産した肥料は同社の直営圃場での有機野菜栽培に供給する他にも農協などを通じて販売している。

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国内のBSE30頭目確認 06.11.17

 11月17日に農水省のブリオン病小委員会は、北海道千歳市で飼養されたホルスタン種の雌がBSEに罹患していたことを発表した。この牛は石狩家畜保健衛生所が実施した農場サーベイランス検査で陽性となっていたもので、肉骨粉等の飼料規制が開始される以前に生まれた64か月齢。このことで国内のBSE発生は30頭となった。

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食品廃棄物の再生利用――前年に較べ8ポイント増加
    しかし、まだ全体の6割程度にとどまる 06.11.17

 農水省は11月17日に、「食品産業における平成17年度の食品廃棄物等の再生利用の実態調査結果」を公表した。それによると食品産業の製造過程で出る生ゴミや外食での食べ残しなどの食品廃棄物等の05年度の発生量は11,262,000トンで、02年度から毎年ほぼ同じ水準になっている。一方、肥料・飼料原料としての利用は約6割の6,664,000トンで前年に比べ8ポイント増えたと報告されている。食品廃棄物再利用の主な仕向け割合は、飼料(39%)・肥料(36%)、バイオ燃料等(5%)となっている。

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認定農業者数21万件――うち法人は9,500件に 06.11.10

 農水省は11月10日に9月1日現在の認定農業者数210,327件で、その内法人が9,563経営体であることを発表した。認定農業者数は親子や夫婦での共同申請が03年から可能になったため増加しているが、稲作主体の経営は3分の1の69,000経営体で、農水省が「農業構造の展望」で描いている約8万経営体の8割強に止まっている。また、稲作主体の経営に占める60歳以上の比率は他に較べて高く、高齢化が進行していることも分かった。

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米国産牛肉から輸入禁止部位見つかる
    ずさんな作業実態が明らかに 06.11.08

 農水・厚労両省は11月8日、米国産の輸入牛肉から胸腺部分が含まれている箱が発見されたことを発表した。胸腺は特定危険部位ではないものの、対日輸出適格品リストに掲載されておらず、輸出した業者がマニュアルを遵守していないことが明らかになった。
 発見されたのは大阪港に到着した約11トンの牛肉の中の1箱で、両省は米国側に詳細な調査と再発防止策を求めた上、現地調査で確認するとし、出荷したスイフト社の工場からの牛肉に関して当面の間輸入手続きを保留すると発表した。

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耕地面積――前年に較べ2万ha減少 06.10.31

 農水省が10月31日公表した06年の全国耕地面積は、田畑合計で467万1,000haで前年に比べ2万1,000ha(△0.4%)減少した。その内訳は、田耕作面積254万3,000ha(対前年比△13,000ha)、畑耕作面積212万8,000ha(同△8,000ha)となっている。
 一方、全国の水田率は54.4%だが北陸が89.7%で最も高く、次いで近畿77.6%、中国76.8%となっている。

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品目横断経営安定対策の加入申請約4,300経営体に 06.10.27

 農水省は品目横断的経営安定対策の加入申請が10月27日現在で4,282経営体であることを発表した。これら加入申請を行った経営体の07年産麦計作付け計画面積は38,618haになるが、経営体の内訳は認定農業者が3,887になったものの集落営農組織は395経営体に過ぎない。
 今回の加入申請はこの秋に麦を作付ける農家の内、「収入減少影響緩和対策」に加入する経営体を対象にしたもので、「生産不利条件補正対策」への加入は07年4月からとなる。

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農業特区で農外法人のリースは529haに
    遊休地を防ぐメリットも 06.10.24

 10月24日に農水省が発表した、「農業特区」に於ける農業生産法人以外の一般の株式会社やNPO法人等の農地借入・参入状況によると、9月1日現在で全国80市町村で173法人であることが分かった。内訳は株式会社が89、特例有限会社が46、NPO等が38で、業種別では建設業59、食品関係46、その他が68。また、営農の内容は野菜67、米麦が34、数品目を組み合わせた経営は35となっている。
 これらの法人に貸し付けられた農地は529haで、その約6割は遊休農地や遊休化のおそれのある農地と報告されている。

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果樹清算面積減少―高齢化で廃園のケースが増加 06.10.20

 農水省は06年の主要果樹の栽培面積を10月20日に公表した。それによると、みかんは53,500ha(前年対比△2%)、りんご42,600ha(同△1%)、ぶどう20,000ha(△同1%)、なし15,600ha(同△2%)で、何れも前年に較べて微減している。同省では、収益性の高い品目や特産化をすすめている地域の品目は増えているが、全体的には価格低迷や生産者高齢化で管理が出来ず廃園しているケースが多いとしている。

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世界食糧デー 農団労組織が各地で多彩な取り組み 06.10.16

 10月16日の世界食糧デーの取り組みで、全国農団労はその前後も含めて各地でビラを配布すると共に街頭宣伝・イベントなどに取り組み、市民に食料と農業の重要性を訴えた。
○ 長野〜午前中にチラシ配布・街宣を行い、夕方「フェスタ・フードセキュリティ」を(連合主催)を開催。
○ 島根〜各単組ごとにチラシ配布を実施。統一的には「牛乳を飲もう」キャンペーンを行う。独自に消費者アンケートを取り組む単組もある。
○ 徳島〜チラシ配布・街宣、コメ150sを小袋に入れてチラシと一緒に渡す。街宣終了後講演会を連合と共催で実施。
○ 富山〜チラシ配布と街宣。12月19日に連合・消団連・連合総研の共催で食の安全集会を開催した。
○ 広島〜チラシ配布と学習会を実施。
○ 福岡〜チラシと地場産農産物を配布。
○ 香川〜チラシとティッシュペーパーを配布。

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ホクレンがバイオ燃料を道内で販売へ 06.10.16

 10月16日にホクレンと北海道中央会は、08年度を目途に道内のホクレン系列のSSでバイオエタノールとガソリンの自動車用混合燃料を販売することを発表した。バイオエタノールの原料はテンサイ・小麦・コメで、数十億円を投資してエタノール工場を十勝に建設するとしている。この結果、道内では農協系統がエタノール生産を主導することになり、価格の安いテンサイや規格外の米麦の販売先の多様化と安定需要を確保につながるとされている。

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福島県がJAS有機の認定機関に
    農家の負担軽減で有機栽培の拡大目指す 06.10.10

 福島県が国からJAS法に基づく有機農産物の認定機関登録を受け、10月10日から県の農業総合センターで認定業務を始めた。同センターは県内初のJAS有機登録認定機関で、08年度までの3年間は通常数万円かかる手数料を無料にし有機農産物の生産を促進するとしている。
 県は「農業振興策として有機農業の普及拡大を奨励してきたが、審査や検査を県外の機関に依存していたため、費用が1件につき初回検査数万円に加え毎年の実地調査手数料数万円、検査員の交通費などで合計10万円以上かかることが普及を妨げる要因になっていた」として、当面の間無料化するとしている。

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日本の食料輸出額増加――経済発展するアジア地域が中心 06.10.08

 日本の食料品輸出が増加していることが10月8日に明らかになった。農水省によると、日本の農林水産物(たばこ・アルコール飲料・真珠を除く)の05年輸出額は3,370億円、06年1〜7月の累計も1,950億円と前年同期比15.7%増加している。
 この背景には、海外の日本食ブームで安全で高品質な日本製農水産物が高い付加価値を持つ商品として浸透しつつあるといわれている。また、アジア地域の所得向上によって輸出先の7割を占めることも輸出増の大きな要因とされている。
 輸出額が増えた主な品目は、サケ・マス(対前年比65.9%増)、コメ(同58.1%増)、緑茶(同45.4%増)、りんご(同14.5%増)、みそ(同12.8%増)などだが、農林水産物の輸入総額は7兆609億円(05年度)に較べると、輸出額は1/20に止まっている。 これに対して農水省は13年までに農林水産物の輸出額を1兆円まで引き上げるとしており、9月29日の安倍首相の所信表明でもそのことに触れた。

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06年産米、作況97――西日本で不作 06.9.28

 農水省は9月28日に06年産水稲の作柄概況を公表した。それによると7月までの日照不足と、九州を中心に台風の被害が発生したことで全国の作況指数は97の「やや不良」とされている。地域別では、北海道の105を筆頭に北陸100、東北・東海99、近畿98、関東・信越・中国・四国が96、九州89となっている。
 尚、作付け面積は1,692,000haで、前年産に比べ17,000haの減少しているものの、予想収量は868万トンで、加工用15万トンを除いた853万トンが流通する。それに対して予想需要量は844万トンで約9万トンが余剰米となる。生産目標数量は833万トンだったが、作付面積が上回ったため不作にもかかわらず供給過剰になると予想されている。

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国内29頭目のBSE――代用乳で感染の疑い濃厚 06.09.28

 9月28日に農水省は、北海道中川郡中川町で飼養されていたホルスタインの雌がBSEであったと発表した。この牛は75カ月齢で法的な飼料規制が開始された01年10月以前に生まれたが、飼育農家は肉骨粉を給餌していないとしており、代用乳による感染の可能性が指摘されている。

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品目横断と車の両輪
    農地・水・環境対策で集落営農にも支払へ 06.09.21

 9月21日に農水省は07年度からスタートする新農政の一環として、農地・水・環境保全向上対策費のうち環境支払分に限って、エコファーマーの認定を受けなくとも集落営農組織に支払うことを明らかにした。
 同対策の助成額は水稲で10aあたり6,000円、麦・大豆3,000円、施設栽培で40,000円だが、この助成を受けるためには化学肥料や農薬を地域の慣行栽培の5割以下とすることや地域で一定程度のまとまりがあることに加えて、エコファーマーの認定を受ける必要があった。集落営農は任意組織のため個人・法人を対象とするエコファーマーの認定を受けられないため、同省はエコファーマー認定に必要な土づくり・化学肥料と農薬の低減に関する実施計画を作成すれば支払を受けることが出来るようにしたもの。この受給要件は、品目横断的経営安定対策と違って経理の一元化は必要ないものの、農水省としてはすすまない集落営農組織化に向けた一助とする目的もあることが明らかだ。

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日墨FTA――関税率引き下げで見直し 06.09.19

 メキシコとの間で結ばれたFTAの見直し内容が9月19日に明らかになった。それによると、牛肉の関税は38.5%から30.8%に、鶏肉(骨なし)は11.9%から8.5%に引き下がり、オレンジ生果は現行12〜5月期32%・6〜11月期16%をそれぞれ5割とすることが取り決められた。

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他業態から参入の農業法人―「今は赤字でも将来に展望」 06.09.13

 9月13日、農水省は農地のリース方式による農外から農業参入した法人の経営状況を公表した。
 調査は06年3月1日時点で農地のリース方式により農業参入している法人を対象に同年5月にアンケートを行い、156法人中134法人から回答を得た。それによると、借入面積は1ha未満が過半を占めているものの10ha以上の借入面積も5%あり、4分の1の法人が参入当初より経営規模を拡大していることが分かった。また、過半の法人が今後規模拡大したいと答えており、そのうち4割は10ha以上を目指すとしている。
 農業の売上高では、1,000万円以上が12%で5,000万円以上を売り上げている法人も4%あることが明らかになった。しかし、経営状況で黒字を計上したところは1割以下で大部分が赤字となっている。しかし、3割の法人は「今は赤字だが経営次第で目標を達成できる」としている。
 また、農外から参入した農業法人が存在する市町村に対するアンケート(69市町村)では、既存農業者や周辺住民への影響に関して「特になし」と答えたところが21市町村あったものの、「新たな雇用の場が生まれた」や「法人と連携した生産や販売が行われている」など好影響があったと回答した市町村が約6割にのぼっている。

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外食の原産地(国)表示――7割の店舗にとどまる 06.09.08

 農水省は9月8日に、外食産業が食材の原産地(国)を表示する指針やガイドラインの認知状況、原産地表示の実施状況などを調査した結果を公表した。調査は06年6〜7月に行われ、対象は外食事業者2,059社であったが回答はそのうちの579事業者(39,431店舗)に止まった。
 その結果、ガイドラインの存在を認知している事業者は77%あったものの、ガイドラインの内容を概ね理解しているのは業種別ではステーキ・しゃぶしゃぶ店が最も低く45%、給食事業者は76%という結果になった。
 原産地(国)表示をしているのは全体で214社(42.5%)、店舗数では17,418店(67.2%)だったが、実施状況はファミリーレストランが80%と最も高く、次いで一般食堂67.3%、焼肉専門店63.1%となった。また、原産地表示の範囲に関して原産地が把握できるもの全て表示しているのは12.7%に過ぎず、大半は部分的に食材を選んで表示していた。
 尚、原産地表示に対する来客の反応に関しては、「多くの客が関心を示す」が11.9%、「一部の客が関心を示す」が54.9%、「ほとんどの客が無関心・無反応」が27%という回答だった。

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食肉事業協同組合が「米国産牛肉安全キャンペーン」
    全国農団労が抗議申し入れ 06.09.10

 9月10日に東京食肉事業協同組合(精肉店の団体)が都内で、「牛肉はもともと安全です」と銘打って、国産・豪州産牛肉に加えてアメリカ産牛肉を試食させるキャンペーンを行った。このことに対して全国農団労は同13日に同協同組合を訪れ、抗議を申し入れた。

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徳島で日本製紙がGM稲の試験栽培―消費者団体らの反発も 06.09.06

 日本製紙は9月6日、スギ花粉症を緩和する遺伝子組み換えのコメの栽培に乗り出すと発表した。同社は徳島県小松島市に閉鎖型温室を建設し、スギ花粉症緩和米を研究試料として栽培し、研究期間中に人間が当該のコメを食べた際の効果や栽培基準づくりを行うと述べている。
 同社は独自の遺伝子組み換え技術を保有し、農水省の「スギ花粉症緩和米」研究プロジェクトに参加している。今回の試験栽培も農水省の委託事業で、当面は07年1月から5aで3期作を行い年間収量0.7トンを見込むとしている。

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長野の青果卸が農業生産法人を立ち上げ 06.09.01

 青果物卸会社である長印と長印松本の共同持株会社の長野松本ホールディングスが07来年中に農業生産法人を設立する方針であることが9月1日に明らかになった。
 長野松本HDによると、農業法人は同社の他に農家・農業の出資で設立し、キャベツ・レタス・大根などを、外食産業や総菜業者など向けに出荷するとしている。同社は「畑の段階から用途別の栽培を行うことで消費者の需要に応えやすくなる」と述べており、当初は県内業者向けに出荷し、将来的に首都圏にも販路を拡大するとしている。これまで長印はシイタケを自社栽培している他に農産物の生産を行っていなかった。

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05年度農業総産出額―3年連続で前年を下回る 06.09.01

 農水省は9月1日に05年度農業総産出額を公表した。それによると総産出額は8兆4,887億円で、対前年比で2.6%減少した。産出額のトップは畜産で2兆5,548億円(対前年比3.9%増)、次いで野菜1兆9,952億円(同6.9%減)、コメ1兆9,650億円(同1.3%減)、果実6,810億円(同10.7%減)となっている。また、畜産のうち肉用牛・豚・ブロイラーは1兆2,469億円(同3.2%増)だった。
 一方、総産出額に占める品目別の割合は、野菜が23.5%、コメは23.1%、肉類14.7%、果実8.0%となっており、畜産はBSEによる米国産牛肉の禁輸によって、肉類の価格の上昇や鶏卵の生産増で算出額が増加が、野菜・コメ・果実は生産は単価の減少によって生産量は増加したものの総産出額は前年を下回った。
 尚、農業総産出額は97年度に10兆円を下回り、03年度から連続して対前年を下回っている。

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ホクレンが農産物でバイオエタノール製造 06.09.01

 9月1日、北海道中央会とホクレンは、農作物からバイオエタノールを製造するプラントを07年度に設置することを発表した。エタノールはガソリンに混ぜて使用する代替燃料として、農水省も07年度予算要求でバイオプラント設置など106億円を導入促進対策に充てているが、道中央会は予算枠を活用しつつエタノールの原料となる規格外小麦など安い農産物を手に入れやすい立地を活かすとしている。
 道中央会は06年内に規模や投資金額等を決定し、大学の工学部など研究機関と効率的なエタノール抽出方法の共同研究をすすめ、07年度以降の早い時期にエタノール混合ガソリンの販売に向けて、販売するためホクレンから供給を受けているSSの整備を検討するとしている。

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農水予算 環境保全型農業に僅かだが踏み出す――07年度概算要求で 06.08.31

 8月31日、農水省は07年度農水予算の概算要求を公表した。要求総額は3兆1,514億円で06年度予算対比で113.4%、そのうち公共事業費は1兆4,258億円(06年度予算対比117.9%)、非公共1兆7,257億円(同110.0%)となっている。
 今回の予算の特徴は、「農業の競争力強化のための新た挑戦」として、07年度から品目横断的経営安定対策を実施するため「担い手」に対する直接支払を1,700億円設定したことだ。これはこれまでの食糧管理特別会計と農業経営基盤強化措置特別会計を統合し、その中に設定した農業経営安定勘定から支出されることになる。
 このことで、今後は米麦を中心に規模拡大を基本に「担い手」に対する施策の選択と集中が強まることになる。しかしその一方で、地産地消の環境保全型農業の推進、或いはバイオマスエネルギーの導入など、絶対額は少ないものの従来の予算に較べるとソフト部門も重視する傾向となっている。

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集落営農――経営安定対策加入予定は28%に止まる 06.08.30

 農水省は8月30日に、5月1日時点の集落営農数は10,481で前年より4.2%増加したと発表した。しかし、この集落営農の中で07年度からはじまる経営安定対策に加入を予定しているのは2,941集落に止まっており、経理の一元化など中核的農家の不在も浮き彫りになっている。中山間地直接支払の届け出手続きが煩瑣になり、その結果05年度の支払対象面積は前年に較べて18%も減少した。集落営農もそのような事務手続の処理が拡大を阻害している懸念がある。

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外食チェーンは米国産牛肉「解禁」か?
一方で、小売り業界は慎重な姿勢変わらず 06.08.18

 外食チェーンのすかいらーくは8月18日に、米国産牛肉に関して「最終的にはすべての外食産業が使用すると思う。当社も今年中は使用しないが来年以降は使用するだろう。使用するときはメニューにきちんと明示する」と、ステーキ用の食材として使用することを発表した。
 同社は「100%安全なものはない。米国産牛肉は99.4%安全なので使用する」としているが、「消費者もステーキで提供すると米国産でも食べるという人が多い。しかし、米国産牛肉を購入しますかと聞くと購入しないと答える人が多い」と述べている。
 同国産牛肉に関しては、8月26日にゼンショクが展開する焼き肉店「でん」で使用を再開し、吉野家は限定的ながら9月18日以降に米国産牛肉を使用した牛丼を販売することを明らかにしている。また、小売り業の中では東京のトップ・尾張屋(千葉)・永野(宮崎)・ナルックス(石川)の地方中小スーパーが取扱いを始めるものの、大手スーパーは慎重な姿勢を崩していない。

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品目横断的経営安定対策―条件不利地域は面積要件緩和 06.08.19

 8月19日に農水省は07年度から開始される品目横断的経営安定対策で、条件不利地域に限って認定農家の経営規模要件4haを最大2.6haまで緩和すると発表した。

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国内28頭目のBSEが確認される 06.08.11

 8月11日に農水省は、北海道羽幌町で飼育されていた80カ月齢の雌のホルスタインがBSEに罹患していたことを発表した。この牛で国内では28例目のBSEとなった。

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食料自給率 カロリーベースで39.7% 06.08.10

 農水省は8月10日に05年度食料自給率の速報値を発表した。それによるとカロリーベースでは40%で8年連続の横ばいとなった。国民1人あたりの総供給熱量は2,573kcal、そのうち国産熱量は1,021kcalで厳密には39.7%の自給率となっている。

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全中―新農政で担い手対応を強める方向を確認 06.08.07

 8月7日、全中は都道府県中央会・全国機関長会議で新農政に対する取り組み方針を決定した。その概要は、米政策改革に対しては1)計画生産の実効性確保、2)地域協議会の機能強化、3)地域水田農業ビジョンの実践強化で、品目横断経営安定対策に関しては、1)担い手作りの徹底、2)対策加入への支援、3)担い手の事業対応力強化を上げ、環境保全向上対策としては、1)地域協議会への参加、2)協約締結への意志反映、3)地方自治体への働きかけの3点を掲げている。

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有機農業団体協議会が設立 06.08.06

 8月6日に全国有機農業団体協議会が設立された。この協議会は〈IFOAMジャパン〉、〈自然農法国際開発研究センター〉、〈秀明自然農法ネットワーク〉、〈全国愛農会〉、〈日本有機食品認定連絡協議会〉、〈日本有機農業学会〉、〈日本有機農業研究会〉、〈農を変えたい!全国運動〉、〈有機JAS登録認定機関協議会〉の9団体で設立された。
 この背景には、次期通常国会で超党派で構成される有機農業推進議員連盟によって「有機農業推進法案」が提出されることが確実視されていることがあり、同協議会は法案制定に向けた諸活動や有機農業振興のための具体的な政策提言を行うとしている。

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米国産牛肉、「輸入解禁されても買わない」が増加 06.08.04

 市場調査会社のインテージは8月4日に、米国産牛肉に関する消費者調査結果を発表した。この調査は8月1〜3日に同社のモニター901人を対象に行ったもので、同国産牛肉の輸入再開に関しては、41%が「不満」と答え、「歓迎」は17%止まった。また、前年12月の輸入再開決定時に行った同様の調査より、それぞれ8ポイント増と7ポイント減となっている。更に「米国産牛肉を買うつもりはない」は54%と前回より9ポイント増え、「気にせず買う」と「安ければ買う」の合計は31%で同様に6ポイント減少した。

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廃棄や食べ残し―食品ロス率は4.1% 06.08.04

 農水省が8月4日に公表した、「平成17年度食品ロス統計調査結果」によると、外食と学校給食を除く世帯食(家庭での調理)での1人1日あたりの食品使用量は1,167gで、食品ロス量は47.3g、食品ロス率は4.1%だったことが分かった。
 食品ロスは可食部分の食べ残しや廃棄だが、野菜類が20.5g(全体の43.2%)と最も多く、次いで調理加工品が8.0g(同17.0%)、果菜類が7.4g(同15.6%)となっている。
 世帯員構成別の食品ロス量では、2人世帯が67.3gで最も多く、次いで単身世帯(61.2g)、高齢者がいる3人以上世帯(48.6g)と38.7グラムとなっている。

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06年産米作況―「やや不良」の見通しに 06.08.03

 8月3日に米穀データーバンクは06年産のコメの作況を全国平均で96(やや不良)と発表した。それによると6〜7月の長雨の影響で総収量は05年産に較べ37万トン少ない869万トンと予想している。

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コメの需要見通し――前年より9万トン減 06.08.01

 農水省は8月1日、06年7月から07年6月までの全国ベースの米需要量の見通しを844万トンだと公表した。また、07年産の生産目標数量に関係する同7月から08年6月までの需要見通しを06/07年見通しより9万トン少ない835万トンとした。
 また、06/07年の主食用の需給見通しによると、06年6月末の在庫量は260万トン(うち政府米77万トン)で、06年産の生産目標数量は833万トン。供給量は在庫と合わせて1,093万トンとなるが、需要が844万トンと見込まれるため07年6月末の在庫量は249万トンと見通した。

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反対を押し切って米国産牛肉を再々解禁 07.07.27

 政府は7月27日に米国産牛肉の輸入再開を正式に決定した。解禁に先だって米国側は、SRMの混入があった際は当該の加工所のみを輸入停止の対象とするよう日本側に要請しており、当初政府も「違反の性質に応じた適切な措置を講じる」としていた。しかし、川崎厚労相は輸入再開後に特定危険部位(SRM)が混入していることが判明した場合は再び全面的に停止すると述べ、同国産牛肉の輸入再々解禁に対する消費者の反発に対して一定の配慮を行った。

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05年の作付面積4万ha弱減少 06.07.24

 7月24日に公表された農水省の田畑耕地利用率調査によると、05年農作物作付け延べ面積は田畑計で438万4,000haで、前年に比べて3万8,000ha減少したことが分かった。これは、飼肥料作物・豆類・野菜などの作付け面積が減少したことによる。尚、耕地利用率は93.4%で、前年に比べて0.4ポイント低下した。

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危険部位混入で再禁輸の米国産牛肉―輸入商社らが政府買い取りを要請 06.02.03

 2月3日、特定危険部位混入で再度の禁輸となった米国産牛肉に関して、食肉を取り扱う商社30社で構成する日本食肉輸出入協会が日本に到着済みの同国産牛肉の買い戻しを米国政府に求める方針を明らかにした。同協会加盟各社が通関できずに保管している米国産牛肉は1,380トンで約14億円に相当する。

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農業版産業再生機構 「5年以内の債務解消」――支援マニュアルを発表 06.01.31

 北海道庁と道信連で構成している農業版産業再生機構である「北海道農業再生委員会」が支援マニュアルが1月31日に発表された。それによると支援対象は中核農家で5年以内に債務超過を解消できることを条件とする。再生に際しては私的整理だけでなく状況に応じて法的整理も活用して農家経営の再生を行うとしている。

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日本のBSE検査は科学的でない――米農務長官が民主党訪米調査団に「放言」06.01.31

 1月31日、アメリカ農務省のジョハンズ長官は、同国産牛肉の安全性を確認するために訪米した民主党の調査団に対して、「日本側が改めて求めている全頭検査に関しては科学的に根拠がなく、実施する考えはない」と強調した。また、05年末の同国産牛肉の輸入再開に関して、「日本側が入念で包括的かつ完全な手続きを行った結果だ」と述べ、米国の政治的圧力で輸入再開させたことを否定した。

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民主党、米国産牛肉危険部位混入の政治責任追及 06.01.30

 米国産牛肉の輸入再開にあたって政府が答弁書で確約した事前の現地調査を実施していなかった問題が明らかになった。この問題に関して1月30日に民主党は、中川農水相の罷免を求めると共に、小泉首相の政治責任を追及する方針を示した。

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死亡牛で国内22頭目のBSE感染を確認――全頭検査の有効性を証明 06.01.20

 農水省は1月23日に北海道別海町の農場で死んだ乳牛をBSEと確定診断したと発表した。当該牛は5歳4ヶ月の雌のホルスタインで20日に死亡したが、24ヶ月齢以上の死亡牛も検査対象とするBSE特別措置法によって発見されたもの。このことで国内で発見された感染牛は22頭目となる。

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政府の輸入プログラムに日本生協連が抗議――米国産牛肉の危険部位混入で 06.01.24

 1月20日に輸入された米国産牛肉に特定危険部位である脊柱が混入して含まれていたことに関して、日本生協連は1月24日に厚労省と農水省に対して、「輸出プログラムの遵守が徹底されていなかったことに関して、厚労・農水両省から米国政府に対し厳しく反省を求めること。また、再発防止にあたって米国政府から詳細な情報を求めると共に、原因究明を行い輸出プログラムの実効性を確保する手段を全面的に再整備するべきであり、その際には食品安全委員会等の専門家の意見を聞くこと」という内容の要望書を提出した。

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残留農薬分析――日本穀物検定協会がポジティブリストに対応 06.01.21

 06年5月に施行される改正食品衛生法に伴い、残留基準のない農薬であっても一定量以上残留する食品については販売が禁止される「ポジティブリスト制」が導入されるが、日本穀物検定協会は、ポジティブリスト制導入に対応した農薬578種中533種について分析が行える検査体制を整えたことを1月21日に発表した。また、残り45種の農薬の検査法についても施行時までに検査体制が整備されるとしている。

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米国産輸入牛肉に特定危険部位が混入――同国の検査体制ずさんさ明らかに 06.01.20

 1月20日、農水・厚労両省は米国から同日輸入された牛肉に特定危険部位である脊柱が混入していたことを発表した。この牛肉は成田空港に空輸された41箱中の3箱から見つかったもの。同日、政府は米国から原因について報告があり安全が確認されるまで、同国産牛肉の輸入を全面的に停止することを決定した。
 この肉はニューヨーク州の食肉処理施設が出荷したもので、日本向輸出認定を米国政府から受けており検査官も常駐していた。検査官は日本向けの牛肉から危険部位を除去するというルールを知らされておらず、処理業者も全く認識していなかったと報道された。

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エンドユーザーの食卓をイメージした農業生産を――農団労の営農販売交流会で 06.01.14

 1月13・14日の両日、全国農団労第10回営農販売担当者交流会を都内で開催した。各県からの参加者は37名で、農業再建闘争方針に基づく「マーケットニーズの変化と農協の販売事業」と題する問題提起を受けた後、数名の班に分かれて都内の有機食材店・スーパー・デパートの青果売り場や個人商店を訪れ、売り場責任者や買い物に来ていた消費者から聞き取り調査を行った。  2日目は、有機を中心に食材の通信販売を手がける谷沢新生物産の村上社長から「消費者と生産者の双方向情報交換に基づく販売戦略」という講演を受けた。同社長は「エンドユーザー(消費者)の食卓がイメージ出来ない農業生産は早晩行き詰まる」と消費と生産段階が双方向に情報を発信する重要性を強調した。

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畜産にも地産地消を――高崎ハムが群畜連の事業を引き継ぐ 05.12.28

 全農群馬県本部100%出資の子会社である高崎ハムが06年1月付で、群馬畜産加工販売農業協同組合連合会(群畜連)の事業を引き継ぐことが12月28日に発表された。高崎ハムは今後、地産地消に対応した地域ブランドを強化し事業の立て直しを図るとしている。
 これまで群畜連は特色の少ない生肉を納品していたが、消費者ニーズを踏まえることが無かったとして、今後高崎ハムとしてスーパーのバイヤーなどの意見を聞き地域の特色を生かした製品や銘柄を作り販売して行く戦略を取るとしている。

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全中、コメ先物市場設置反対を明確化 05.12.25

 12月25日に全中は、東京穀物商品取引所や関西商品取引所がコメ先物の上場を申請したことに反対する方針をまとめた。この方針によると、農水省がコメ先物の可否を検討する時期である06年3月目途に、同省の食糧部会などに反対意見を提出し、全国の農協組織を挙げての反対運動を行うとしている。
 全中は「コメ先物が始まることで主食のコメ価格が乱高下したり投機に巻き込まれたりする可能性がある」とし、山田専務は「(農水省が)上場を認可した場合は国の生産調整政策などに協力しないことも考える」、「コメ先物が関税自由化の突破口とされないよう反対運動を展開する」と述べている。

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米穀事業改革、全農利用のメリットはあるのか? 05.12.14

 全中は12月14日に開いた第4回販売事業等検討委員会で、米販売事業に関して全農の販売機能強化や共同計算の見直しによって全農利用のメリットを確立し、販売ネットワークや代金回収、物流等の機能を中心とした系統結集を図るとした。
 共計の見直しでは産地・銘柄毎の共同計算を基本に、1)販売対策費の廃止など費用項目の限定と集約化、2)費用項目の単価設定と削減目標の設定、3)集荷段階で生産者への予定価格の明示、4)計算結果の監査導入、5)計算結果を生産者へ通知・開示を行うとし、現行3,000円/60s前後の共計費を08年産には2,000円以内の水準とすることを決定した。
 全農は委託販売形態ごとに手数料を設定し、実需者と数量・価格等を契約したコメについては農協から直接買取る方式を導入する。委託販売手数料は、系統全体で定額制とし、統合全農の委託販売手数料は全国・県本部で一体化することとした。
 また、05年産から100%民間流通へ移行した麦については、政府の品目横断的経営安定対策の助成金処理と切り離し、手数料は定額で品代から徴収することとした。
 一方、園芸販売に関しては「卸売市場への無条件委託販売」に対置するものとして直販の強化・拡大を図りニーズに合わせた生産への誘導を促進するとし、一定の生産規模を確保すると共に、営業(セールス)や債権管理などの機能を全農(全国・県)や経済連で果たすことを目指すとした。更に加工・業務用販売で統合全農が「直販事業拡充戦略」を06年度上期までに策定し、県域や農協では販売チャンネル毎に生産組織を再編成し異なる手数料率を設定することや、市場販売と直販の部署を分けて機能別手数料を設定すること等が検討された。
 買い取り販売に関しては事前に数量・価格の設定が可能なものに関して統合全農が農協或いは生産者から直接買取る方式の導入も方向付けられた。しかし、全農全国本部が販売機能を殆ど持っていないため、全国本部の機能は直販事業拡充戦略の確立や卸売市場の代金回収・債権管理の一元化消費拡大の取り組みなどコストセンターとしてものしかないことも明らかになった。

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政府が米国産牛肉輸入再開を決定――原産国表示のない外食で選択できるのか? 05.12.12

 12月12日、政府は同8日の食品安全委員会の答申を受けて米国・カナダ産牛肉の輸入再開を決定した。輸入条件は全頭から特定危険部位を除去することと、20か月齢以下の牛であることで、この条件を満たしていることの両国政府の衛生証明書が添付されることになっている。また、輸入再開にあたって両国の輸出プログラムを確認するため、同13日から担当者を派遣して認証された食肉処理場を査察することも発表された。
 リスク管理機関である厚労・農水省は食品安全委員会の答申は科学的な評価だとし「輸入は再開できる」と判断したと説明し、原産地表示が義務づけられていない加工品や外食産業については自主的な表示取り組みを促進することも併せて公表した。

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WTO閣僚会議 農産物関税率引き下げ問題、結論先送りに 05.12.01

 WTOは12月2日の一般理事会でラミー事務局長が示した閣僚宣言の修正案を承認し、同13日から開催される香港閣僚会議へ付託した。修正案は農業交渉分野での関税引き下げ率など具体的な数値は盛り込まれずに分野毎に期限を定めて交渉を加速させることを要請するに止まった。
 農産物の関税引き下げ幅を巡っては上限関税の設定に反対するG10(日本・ブルガリア・台湾・アイスランド・イスラエル・韓国・リヒテンシュタイン・モーリシャス・ノルウェー・スイス)の他、日本のコメなど先進国に於ける「重要品目」数が全農産物の関税品目に占める比率に関しても1%から15%まで大きな開きがあるため、一般理事会での取りまとめは先送りされた。

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コメ先物市場設置―小売り業界と農協系統は反対を表明 05.12.01

 12月1日、04年の食糧法改正に伴い東京穀物商品取引所がコメの先物上場を計画している問題で、農水省・食糧部会が関係者に行った意見聴取の結果が発表された。
 同部会では05年6月からコメの卸・小売り団体や農業団体、消費者団体等8団体にヒアリングを行ったが、上場賛成意見は穀物商品取引所や全国米穀販売事業協同組合など4団体で、反対は農協系統2団体とコメ小売の日本米穀小売商業組合連合会。全国消費者団体連絡会は賛否を保留した。
 賛成の穀物商品取引所など卸団体は、価格変動をヘッジすることで生産者側にとってもメリットがあると主張したのに対し、農協系統と小売り団体は稲作が投機資金にさらされるとして反対している。食糧部会は今後協議に入るが結論は容易に出せないという見通しをコメントしている。

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「消費者はお客様」という視点が重要――農水省の農政改革推進本部 05.11.30

 農水省は11月30日に農政改革推進本部を設置し、07年度に導入する新たな経営所得安定対策の周知・徹底や担い手農家の育成運動などについて協議することとなった。同本部は中川農相を本部長に全中等の農業団体の他に、日本経団連や全国消費者団体連絡会などの代表者らで構成される。
 同農相は、「これまでは生産者と消費者の連携と言っていた。しかし、今後は(消費者は)生産者にとってのお客様、カスタマーという視点が大事だ」と述べ、消費者を起点とする農業生産をより強化することを明確にした。
 同本部には全中の宮田会長も参加し、「担い手作りと農地利用集積にJAグループが総力を上げて取り組んでいる」と強調したが、奥田会長の代理で出席した経団連の立花専務は、「旧来の構造が雪崩を打って変わっている。本当にやる気のある農家にはチャンス」と担い手に絞った政策展開を要請した。また、消費者代表となった消団連の神田事務局長は「安全性に加えて買いやすい価格追求も必要だ」と述べ、消費者側にメリットがある改革を求めた。

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米国産牛肉解禁問題――食品安全委が正式答申へ 05.11.29

 食品安全委員会は11月29日にプリオン専門調査会がまとめた答申案に関する意見公募を締め切った。同委員会によるとパブリックコメントは数千件で、12月8日以降の会合でこれらの意見を検討し、農水・厚労の両省に正式な答申を出す。
 答申後、両省は輸入条件を決定し輸入再開手続きに入ることになるが、農水省はアメリカが日本向けに認定した40程度の食肉処理場に家畜防疫員による査察をBSE管理体制について評価することを11月15日に公表した。

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外食の売上げは上昇、しかしファーストフードは客単価が減少 05.11.29

 日本フードサービス協会が11月29日に発表した「平成17年10月度外食産業市場動向調査」によると、新規店を含めた全業態・全店の売上げは前年同月比103.5%と前年より3.5ポイント上昇したことがわかった。これは、客単価が同97.5%と前年よりも下がっているものの客数が106.2%と大きく増えたことによる。
 内訳を見ると、居酒屋(対前年度111.5%)・レストラン(同107.2%)・喫茶(同105.1%)の業態で客数が伸長し客単価も微増気味なことに対して、ファストフードで客単価が95%と大きく押し下げていることがわかった。

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農業版産業再生機構が発足 北海道庁と道信連が提携 05.11.18

 北海道庁と道信連が不振の大規模農家を再生するため、農業版の産業再生機構である「農業再生委員会」を発足したことが11月18日の報道で明らかになった。同委員会は農家再生に向けてこれまでの経営指導だけでなく債権放棄まで踏み込んだ支援を行う。対象は酪農や稲作などの大規模農家で、市町村の推薦を受けて再生委が支援の有無を判断する。再生手続きに際しては農家に融資している農協に債権放棄などを要請するほか、政府が設立する予定の「農業再生ファンド」に出資を求める方針。また、債権放棄等の支援を講じても経営継続が困難な場合は、農地や農機等を引き継ぐ農家を紹介し耕作放棄を防ぐとしている。

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食料輸入4カ国代表 重要品目への配慮をWTO農業議長に要請 05.11.03

 11月3日に、日本・韓国・スイス・ノルウェーの食料輸入4カ国の農業団体代表がWTOのファルコナー農業交渉議長と会談した。各国の農業団体は、ドーハ・ラウンドの農業分野での上限関税の設定反対や、日本のコメなど重要品目に関して十分な数の確保などを訴えた。

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米国の「公約」=輸出プログラムが遵守されれば危険度は僅少 プリオン調査会が結論 05.10.31

 食品安全委員会プリオン専門調査会は10月31日の会合で、「米国の輸出プログラムが遵守された場合は、国産の牛肉とのリスクの差は極めて少ない」という結論の取りまとめを行った。
 米国の輸出プログラムは、1)全ての月齢で特定危険部位を除去、2)枝肉の格付けや個体・集団月齢証明で20ヶ月齢以下と証明するものとなっている。リスクの差は極めて少ないと答申した同委員会だが、同委員会は付帯意見として、輸出プログラムが守られない場合は「この評価結果は成立しない」ことや肉骨粉の飼料への交差汚染を防ぐリスク低減措置が適切に実施されているか、リスク管理機関による査察の仕組みが必要であることなども提言している。
 農水・厚労の両省が食品安全委員会に諮問したのは「米国とカナダが日本向けに実施する輸出プログラムによって管理された牛肉が日本産の牛肉とくらべてリスクが同等かどうか」という内容で、同委員会の吉川座長は「答申は安全性の評価を行うものであって、輸入再開の許諾権を持つものではない」と述べているが、11月15日のブッシュ大統領の来日に合わせた政治的決着という見方も強まっている。
 この答申に先立ち10月13日に民主党は、BSE特別措置法の一部改正法案と輸入牛肉トレーサビリティ法案を提出した。特別措置法の一部改正の内容は、BSE発生国から輸入される牛肉に関して、国産牛と同等に20ヶ月齢以下であることと危険部位の完全除去を行った証明を求めるもので、輸入牛肉トレサビ法に関しても、同様にBSE発生国からの輸入牛肉の台帳の作成や個体識別番号の表示を義務付けたものとなっている。

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新農相に中川氏、2度目の就任 05.10.31

 10月31日、第3次小泉改造内閣の農相に中川昭一前経産相が就任した。就任会見で同農相はWTO農業交渉に関して「守るところは守り攻めるところは攻める」と語り、上限関税問題について「これまでは経産相として見ていた。もう一度よく勉強していきたい」と述べた。農協改革については「農協は民間組織。自身で懸命に取り組んできたと思う。改革が必要かどうか、民間で出来るのであれば国がああしろこうしろという必要はないが、改革が不十分であれば考えていかなくてはならない」と述べた。

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コメの作況101 過剰分は約9万トンの見通し 05.10.28

 農水省が10月28日に発表した05年のコメの作況指数は、同15日時点で101とやや良だったが、コメの値崩れを防ぐための過剰米対策(集荷円滑化対策)が初めて発動されることとなった。これは作況が101以上の24都道府県で農協が過剰分を分けて保管し、市場に出ないようにするもので、同省によると豊作による過剰分は約9万トンになるという。

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政府・与党が経営安定対策大綱を正式決定 農政の担い手集中が確定 05.10.27

 10月27日、新たな経営所得安定対策大綱を政府・与党が決定した。これは、経営規模などの要件を満たした「担い手」に施策を集中するもので、「品目横断的経営安定対策」では、麦・大豆などの対象品目の内外コスト是正のために面積当たりで直接支払いするものと市場価格変動の経営への影響を緩和する対策が実施される。
 今回決定した大綱では、「担い手」とする経営規模を、都府県4ha・北海道10ha・集落営農20ha(稲作での担い手経営安定対策の要件と同等)としつつ、中山間地地域や受託組織の現状、野菜などの複合経営に特例措置を設けた。また、都道府県知事の判断で担い手とすべき生産者を支援対象として要請できる制度も導入する。
 集落営農では、経営規模だけはなく販売収入管理などの体制づくりと地域農地の集積目標、法人化計画の作成などの条件を設けた。受託組織も担い手に位置づけられたが生産した農産物の販売名義を持つことや集積面積目標なども示した。
 一方、経営所得安定対策とセットで導入される農業用水の保全等の「農業資源・環境保全策」は担い手以外もその対象となるが、現在の300〜400億円の補助金と同額の補助を都道府県も支払うように農水省が要請している。

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米国産牛肉でのBSE感染は低リスク?――プリオン調査会で一定の結論 05.10.04

 10月4日、食品安全委員会のプリオン専門調査会は、米国・カナダ産牛肉について「輸入される牛肉にBSE感染牛が含まれる可能性は低い」という結論でほぼ合意し、10月中にも答申案を取りまとめる方向となった。
 輸入が検討されているのは特定危険部位を除去した20ヶ月齢以下の米国とカナダ産牛肉とその内臓。同委員会は、1)日本向け輸出プログラムが守られればBSEプリオンによる汚染の可能性は非常に低い、2)21ヶ月齢以上の牛を完全に排除できなくてもBSE感染牛が含まれる確率は極めて低いと述べているが、輸入牛肉のリスクが国産牛と同等か、無視できないものかについては言及していない。
 また同日、アメリカ食品医薬品局はBSE対策として牛以外の家畜の飼料用として使用が認められている肉骨粉に関する規制を強化し、牛の脳と脊髄が肉骨粉に混入することを禁じることを発表した。しかし、牛の血液の混入を引き続き認めるなどBSEの交差汚染の可能性を残すものとなった。

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農業法人の出荷先は農協から直接販売にシフト 05.09.22

 新潟県の地銀である第四銀行のシンクタンクは、農業法人の出荷先が農協から消費者への直接販売へ移行していると9月22日に公表した。これは同県内の136の農業法人を調査したもので、農協への出荷は3年前の44%から43%に下がり、更に3年後は39%に低下すると見込まれている。その一方で、直売所やインターネット等を通じた直販は12%から13%に増加しており同様に3年後には16%となると予想している。
 売上高では、3年前と較べ「増えた」と回答した法人が41%、「減った」という答えは27%だった。また「今後連携したい相手」は消費者が49%で大学・研究機関(38%)、飲食店や外食産業は31%だった。

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農産物直売所が急増 2千〜5千万円の売り上げも25%に 05.09.22

 全国の直売所が01年から03年の3年間で、年間517ヶ所のペースで増加していることが9月22日に東北農政局の調査によって明らかになった。また、同農政局は市町村・第三セクター・農協などが設置主体の東北地方381ヶ所の直売所を対象に調査を行い、その内37.6%(111ヶ所)がこの3年間に新設されたことと、年間の販売額では1千万円未満が25.8%、2千万〜5千万円が25.1%であることを発表した。

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全農秋田の取引停止処分解除 秋田パールは県内に特化 05.09.14

 全農秋田県本部のコメ横流しと架空取引で農水省は9月14日、再発防止策が確立されたとしてこのコメの取引停止措置を解除した。また同日、コメ価格センターも同県本部の入札参加停止処分の解除を決定した。
 また、パールライス秋田は、実需者がはっきりとしているものを除き県外への卸間売買からは撤退、県内消費者などへの販売と産地精米事業に特化している。

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