委員長就任にあたり

労働組合は仲間のためにたたかう組織

2007年8月

 農団労第20回定期大会において岡田委員長退任を受け委員長に就任することとなった福岡県本部出身の大谷です。仲間の皆さんのご協力をお願いし、就任にあたり一言、労働組合運動について私なりの考えを述べ挨拶といたしたい。
 この間、農団労として活動に向け学習・討論または、アンケ―ト調査などを何回となく実施し組合員の意向把握に努めてきた。その結果、共通課題として浮かび上がってきたことは、『労使関係の問題』である。また、この労使関係が職場の緊張感を緩め交渉の弊害になっていることに他ならない。その労使関係の問題点について考え、自省し、この1年間の活動の前進を確認する。  労働組合の役割りの一つは社会正義を追求すること、と言われている。企業を問わずわれわれ系統内部から倫理に反する不祥事が続出している。その不祥事や不払い残業についても、労働組合のチェック機能が働かなくなっている。現場からの視点で、経営に対して監査、指摘、直言していくことが、労組の社会的責任であり、社会正義を追求する、ということであるにもかかわらず―――事故や災害など、その結果責任をとらされるのは労組員だ。不払い残業に直面してストレスをかかえるのは労組員だ。にもかかわらず、その人たちが意見や悩みを寄せる対象に労働組合が成り得ていないことを、深く自省しなければならない。
 では、何故、労働組合が対象に成り得ていない、のであろうか。よくよく考えてみるとその根幹に労使関係が存在している。良好な労使関係は大切だが、『労使馴れ合い』を放置しておくことは許されない。働く仲間のためにたたかえない労働組合であってはならない。そして、今日まで慣習・慣例として見過ごされたことも許されない時代になっていることを肝に銘じなければならない。
 われわれの組織はある意味であまりにも、『馴れ合い』過ぎていないだろうか。労働条件をはじめとする様々な提案はどうか―――すべて理事会決定後である。時間外をはじめとする労働時間の管理についても―――すべて所属長判断でカットまたは、一方的な考え方による支給基準。倫理基準についても、何の徹底もなく、その上不祥事に対する危機管理もない。このことに対してわれわれの組織である労働組合も毅然とした対応を行わない。まさに『馴れ合い』ではないのか。
 いよいよ9月。秋季・年末活動も本格化する。それぞれの支部が本部方針に基づき創意工夫した要求を提出しようではないか。当然その創意工夫した要求の基準は職場論議によって積み上げられた内容でもある。仲間のために闘う組織として仲間の期待に応えてほしい。あくまでも働く人たちを大切にするという立場を貫くことが、労働運動に対する共感につながっていく。その社会的責任を誠実に果たしていくことが、不祥事に対する抑制力にもなる。
 『頼りになり、拠りどころになる労働組合へ』今、秋季・年末活動、いや、この1年間このことを合言葉に頑張ろうではないか。要求しっぱなし、言いっぱなしの運動はやめよう。情勢が悪い、経営者が無理解だと他のせいに転嫁するのではなく、自分たちの力で一つでも二つでも必ず応えを出させよう。建前ではなく本気で実をとる運動を実践しよう。
 全国農団労運動――『当たり前の労働組合活動』が出来得るか否かが勝負の分かれ目である。明日の農協の再建につながる回答を引き出そう。一層の団結を!!