委員長より バックナンバー

● なかまのみなさんへ(2020/1)

● 農団労運動の基本を重視し運動展開を(2019/8)

● 時代の幕開けに相応しい農団労大会へ(2019/5)

● 2019”春季生活闘争勝利に向けて(2019/3)

● 2019運動開始にあたり――なかまのみなさんへ(2019/1)

● 全国農団労第31回定期大会に向け・・・(2018/6)

● 2018運動の前進に向けて(2018/1)

● 結集する”なかま”のみなさんへ(2017/10)

● 運動開始・・組合員(なかま)の心をひとつに!(2017/8)

● 17春闘総括論議の徹底と運動方針の論議を(2017/5)

● 2017”国民春季生活闘争(2017/3)

● 2017の幕開け”一致団結奮闘しよう!(2017/1)

● 仲間の皆さん・・運動方針の実践に向け奮闘を(2016/8)

● 2016春闘総括!! 労使の信頼関係を不動のものに(2016/5)

● 2016”春闘開始 ・・ 自信と確信を(2016/3)

● 2016”春季生活闘争 開始にあたり(2016/1)

● 組織力量を強固にし…、秋・年の取り組みを(2015/9)

● 労使交渉の重要性を再確認し、方針の実践を!(2015/8)

● 運動総括を踏まえ――第28回全国大会へ(2015/6)

● 2015”春季生活闘争・・あきらめるな(2015/3)

● 2015運動の“開始”にあたり(2015/1)

● 衆議院選挙――確かな一票を…(2014/11)

● 2014年度の運動開始にあたり(2014/8)

● 14”春闘総括を徹底し第27回全国大会に結集を!(2014/6)

● 2014”春季生活闘争の勝利を目指して(2014/3)

● 2014年 系統組織に結集する仲間のみなさんへ(2014/1)

● あらためて・・特定秘密保護法案の廃案の運動を・・・(2013/11)

● いま、改めて組織の総力を… 2013”秋・年闘争の開始(2013/10)

● 農団労運動の方向に向け新たな一歩を…(2013/8)

● 農業・農協の大転換期の時代へ >総括論議を踏まえ、これからの方向を(2013/6)

● TPPへの参加表明に断固反対し、運動のさらなる強化を!(2013/3)

● 2013”春季生活闘争の開始に向けて(2013/1)

● 政策を見据え・・信念を持つ候補者を国会へ(2012/11)

● 2012”秋季・年末の取り組み課題と改善に向け(2012/10)

● 向こう1年間の運動に・・・仲間の皆さんへ(2012/7)

● 2012”春闘を総括し、全国農団労 第25回大会への結集を!(2012/5)

● 2012”農団労 春季生活闘争に向けて(2012/3)

● 2012”運動開始にあたり(2012/1)

● 2011”秋季・年末の取り組みに向けて(2011/10)

● 『組織』、なぜ『組織』は重要なのか 向こう1年間の活動を実践するために(2011/8)

● 大会は向こう1年間の活動目標を明確にし 労働組合の存在意義を確認する場(2011/6)

● 地域の『希薄化』を防ぐのは協同組合の原点『絆』―― 東北地方太平洋沖大地震・大津波災害 ――(2011/4)

● 2011”春季生活闘争の開始―課題解決に向けどう取り組む(2011/1)

● 労働組合は――仲間のために闘う組織 秋季・年末闘争をあきらめるな(2010/11)

● 運動課題の実践に向け一丸となり頑張ろう!!――第23回大会を終えて――(2010/8)

● 2010”春季生活闘争の総括を徹底し 向こう1年間の運動を展望しよう!!(2010/5)

● 2010”春季生活闘争の開始――頑張ろう!!(2010/1)

● 09”秋季・年末の取り組みが開始!!最後まであきらめず労使協議を…(2009/11)

● 組合員の協力に感謝――政権交代を実現 農協と農業再建の第一歩に!!(2009/9)

● 困難な時ほど――原点に戻った運動の実践を―全国農団労第22回定期大会―(2009/8)

● いよいよ総選挙――日本の歴史を変える日に(2009/8)

● 09”春季闘争の総括と新たな運動方針論議を(2009/5)

● 09”春季生活闘争 賃金闘争を実現するために…交渉ポイント(2009/3)

● 09”春季生活闘争 開始にあたって(2009/1)

● 『組織内、推薦』候補必勝のための活動
気を緩めず最後まで頑張りぬこう!!(2008/11)

● 総選挙に関心を持ち…日本の方向性を正そう!(2008/10)

● 新たな気持ちで運動の前進を!!(2008/8)

● 全国農団労 第21回大会に結集し 労使関係の在り方の論議を!!(2008/6)

● 08”春季生活闘争を開始するにあたって(2008/2)

● 08” 実り多き一年であることを願う!!(2008/1)

● 労働組合は仲間のためにたたかう組織(2007/8)



なかまのみなさんへ

2020年1月

 昨年も、『数十年に一度 記録的短時間大雨』『記録的な大雨をもたらす台風』などの大災害が迫るときに出される特別警報が、全国各地で発表された。佐賀県を中心とした九州北部三県の広い範囲で発表され、東日本では過去に例がない、広い範囲で甚大な被害をもたらした大雨台風被害により、決壊した堤防は数知れず、100人近くの犠牲者を出す大災害になった。改めてお見舞いとお悔やみを申し上げます。
 そして毎年のように気温が上昇するのが夏の猛暑だ。昨年の夏の猛暑も異常で三五度はあたり前で、40度を記録する地域も……。年収が200万円に満たない低所得者には、給料日前は財布に小銭しか入っていない人もいる。猛暑なのに電気代を浮かすためにエアコンを使わなかったり、食事の量を減らしたりして生命に関わる節約を強いられている。昨年10月の消費増税で貧困層の生活が更に破壊され格差が拡がる。酒類・外食を除く飲食料品には軽減税率が適用される。消費税率が課せられること自体が異常だ。飲食料品や電気、水道等公共料金、赤ちゃんや老人のオムツ等はゼロにすべきである。
 高齢化で社会保障費は増え続け、国の財政状況は圧迫している。あたり前のことだ。所得税や法人税を減税して富裕層や大企業を優遇する一方で、庶民が大変な思いをして消費税を払うのはおかしくはないか。富める者がより富み、貧乏人が貧しくなるのは不公平ではないか。
 自民党政権には、所得税率や法人税率を引き上げると、低税率国への移住や移転がすすむとの指摘もある。然し、ここまで格差が拡がっているのにも関わらず、『富裕層を優遇し、貧しい人にもっと負担しろというのは政治として在り得るのか……。儲けている人や企業は、より多く納税する責任は無いのか』。
 安倍政権は昨年の参議院選挙で『改選前から議席を減らしているのに信任を得た』とコメント。そのこと自体が、人々の痛みに対する思いが欠如している表れだ。れいわ新選組が二議席も獲得したのは、その主張の是非はさておき、彼らに『革命家』の気配を感じ、政党支持は違えど、少し安堵している国民層が多いということだろう。
 改めて今、様々な領域において、制御できないものが拡大したようにも感じる。日本も含め世界で『指導者』と呼ばれる人たちが、自国を危ない方向に引っ張っていこうとしている現実がある。マネーゲームによって一部の富裕層が儲かる一方で、貧困の連鎖にあえぐ人たちがおり、格差がどんどん広がっている。SDGs――持続可能な社会への取り組み運動の実践が問われている。
 安倍政権の独裁的な権力がいけないのも、それは制御できない暴走を生み出しているからだ。私たちが制御できないかたちで展開する軍事的な暴走も、経済や政治の暴走も、基本的にはすべて悪なのだという視点を持ち続けなければならない。またその視点でこの間の安倍政権=安倍政治は、新自由主義という名のもと、構造改革を一方的にすすめ、欧州とのEPAやTPP11そして日米FTA等、締結する一方で、地域の核である農協や農業が衰退すべく法律を改悪するなど反発や戸惑いは確実に広がっている。私たちにはこれ以上権力の暴走を許さないための行動展開が問われている。
 いつも思うことは『権力は腐敗しがちであり、絶対権力は絶対に腐敗する』ということ。安倍政権がその典型的ななかにあることは間違いない。
 今年こそは、普通の庶民感覚で制御できる社会を、みんなが手を差し伸べ合える様な社会をつくるため頑張らなければならない。私たちの知恵や行いによって制御できる社会こそが、持続性のある社会であり、無事な社会だ。その役割を担うのが地域であり、そこを基盤とし、働く系統農協労働者ではないのか。全国農林漁業団体職員労働組合連合――全国農団労を組織した意義を今一度思い返し頑張ろう。
 兎にも角にも『新年』おめでとうございます。

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農団労運動の基本を重視し運動展開を

2019年8月

 全国大会を終え、全ての県産別・単組にて定期大会が開催されていると思います。改めて私たち労働組合の現況について確認し、運動の前進を期したいと思います。いま私たちの活動参加は県産別の存在するところ、直接に農団労に加盟している単組と様々であり、ひとからげに指摘することは出来ないのかもしれませんが、総体としては、若干緊張感のない労使関係になっているのではないでしょうか。逆に言えば指摘しなければならないほど私たち全国農団労に結集する仲間の組織力や交渉力は若干後退をしているのが現状ではないのかと考えています。
 抑えておかなければならないことは取り巻く現況が困難な時ほど、先ずは交渉出来得る体制を確りと構築すること。このことが原理原則であることを忘れてはなりません。そしてその交渉の中から勝ち得た結果に仲間は結集・団結することを忘れてはなりません。だからこそ系統組織に結集する者の処遇改善を、一つひとつ丁寧に団体交渉を重ね、ル―ル化し、協定文書(約束事)を求めていくこと。このことが最低限必要不可欠な取り組みであることを絶対に忘れてはなりません。
 指摘しておきたいことは、労使関係の問題処理が団体交渉ではなく労使協議会となっている点です。団体交渉と労使協議会とではその概念は大きく異なることを再確認しておく必要があります。労使協議会というものはもともと労使間に根本的な意見対立がないと想定されているテーマについて、労使が意見を出し合う制度のことであり労働者も経営側と対立する意見は言えるけれども労使間の合意なければ実施せずとする制度やテーマは少なく最終的には経営者の裁量にて決着することが多々あります。一方、団体交渉では両者の意見の対立が妥協点を見いだせば双方の責任にて決定、つまり労働協約となることになります。実はこの違いが大変大きいのです。
 いつの時代も言えることは緊張感ある労使関係、つまりはカウンターパートナーとしての関係は常に必要不可欠であるということです。そうでなければ系統組織の今日的な様々な課題解決は困難でしょう。もともと契約自体を対等に結べず、また、契約の内容を実現する力にもとぼしい労働者側にとって裁判によって権利を獲得する途よりも、団体交渉によって権利を獲得する途のほうがより本質的なものであったことは事実の結果として存在しています。
 然し、現実としては私どもの農団労組織も含めて労使の多くが団体交渉よりも労使協議会あるいは労使事務折衝に重きを置いていることは事実です。そのこと自体を一定否定するものではありませんけれども、キチンと納得した形で合意するには、労働組合法にもとづく団体(労使)交渉がわき役になってはいけないのです。いま最も重要課題である人手不足の深刻化、人をコストとしてみなしてきた経営者の意識も危機感と相まり変わってきています。人材の確保と育成、『安全・安心・安定・信頼』を築くため、働きやすい職場環境の整備のための労使協議は必要不可欠です。きちんと選別をし、緊張感ある対応が様々な諸課題の解決に繋がるのではないでしょうか。
 こうした基本的運動展開の確認上で抑えておかなければならないことは、社会的運動強化の展開方策を確実に実践することです。社会正義追求の運動を真正面から行うことです。労働組合とは社会の財産でもあります。だからこそ存在価値を高める努力は常に必要であるということではないでしょうか。例えば、連帯(協同)の力を持って経済の復権を果たし、市場の暴走を止める役割をキチンと果たしていくことです。そのために政治への影響力を持ち、更には、協同組合の精神を常に持ち続けることによりボランティア活動に関わることです。協同 協働 共生 連帯 助け合い 支え合い 相互扶助の精神がいま改めて問われています。
 そのために、@常に正社員を雇用し、一人前の職業人に育てるよう系統組織に働きかけること A労組組合員を増やす活動を展開すること そのことが正規・非正規もない働く者の権利確立につながるのではないでしょうか。最低これらの運動を確実にプラスすることによって、農団労革新運動が展開できるのではないでしょうか。いま指摘するまでもなく、世界も日本も大きく様変わりし、私たちはさらなる歴史的な転換期の真っただ中に立っています。課題山積の中、いや課題が山積しているからこそ、第一次産業労組の役割と責任、その真価が問われていることを肝に命じ頑張りぬきましょう。

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時代の幕開けに相応しい農団労大会へ

2019年5月

 平成から令和の時代へ入りましたが、若干振り返って、あの安倍政権の平成天皇が退位の意向を示されてから元号発表までの一つのセレモニ―的な戦術には、安倍政権のしたたかさを感じ得なかったのは私だけではないのではないか。
 改めて、平成の時代を考えてみると、国外的には平成以前の米ソ両超大国によって二極化された世界が多極化するとともに内戦や地域紛争が頻発し、更に国の内側にすら分断線が走るようになった時代ではあったが、基本的には『戦争がない平和』な時代であったと言えるのではないだろうか。
 然し、安倍政権は集団的自衛権の閣議決定をはじめ『特定秘密保護法』や『安保法つまり戦争法』『共謀罪』など、戦争・有事ができる国づくりを確実に進めている。沖縄・辺野古の新基地建設でも明らかなように沖縄の民意を全く無視するなど、反人権主義・国家主義の政治を推し進めていることは否定できない。私たちは安倍政権が推し進めようとしている憲法改正・改悪を断固阻止し、平成から引き続き令和へと戦争のない国づくりを目指さなければならない。
 国内的な動きとしてこの4月から働き方改革がスタートした。考え方によれば『働き方改革』として長時間労働の合法化と非正規労働者増大の拡大など労働法制の改悪を強行したことに繋がるという指摘も抑えておかなければならない。
 その一方で生活保護費の減額をはじめとした社会保障費や医療費の削減を進め、人権無視の低位な労働条件の基で外国人労働者の受け入れを可能にするなど、日本社会全体の差別と格差を一層構造化させていく入国管理法の改悪を成立させ、更には相次ぐ経済連携の協定や農業・農協関連の法整備など私たちの生命や生活を破壊する施策も一方的に進められている。
 更に日米貿易交渉においても令和最初の国賓としてトランプ米国大統領を招待し、桁外れの『厚い』もてなしだったが、それでも結果は『参議院選挙までは待ってやろう・・・、TPPには縛られないよ・・・、8月の発表を言及・・・』。安倍政権は、政権基盤を更に盤石にするため衆参ダブル選挙に打って出る可能性も否定できない。日米貿易交渉の行方 = 農業の将来を決定づける闘いでもある。何としてでもこの夏の闘いである参議院あるいは衆参ダブル選挙に勝利し、安倍政権を打破しなければならない。
 トランプ大統領誕が誕生し、世界は不安定そのものである。米国第一主義を振りかざし、紛争の火種をまき散らしているのが現状。そのトランプ氏に『忖度』は通用するのか。私たちの団結(力)を結集することで米国にもの言おうではないか。改めて体制を強化し奮闘しよう。
 いま農業は自立的な発展に必要な保障を与えられないまま『貿易自由化』の嵐に晒され、発達した資本主義国では食料自給率が最低の水準に落ち込み、農業振興の前途を見出せない状況にある。このことが安倍政権の農業と農協改革を促進し、系統組織の再編に繋がっている一つの要因でもあることは間違いない。
 私たちが目指さなければならない『農』の施策は農業の今日的な位置を整理し、国民生活の安全の確保と国内資源の有効な活用の見地から食料自給率の向上安全優先のエネルギー体制と自給率の引き上げを重視したエネルギー政策の根本的な転換を図る。国の産業政策のなかで農業を基幹的な生産部門として位置付ける。農業を高く評価した政策である。そういう視点で地域農業再建を目指さなければならない。
 そのために農協は金融・共済・医療部門も含めて総合的な地方のインフラとして地域農協が存在している。この金融・共済部門などを切り離したら国際的な金融資本の餌食になるだけ。地域農協と地方は立ち行かない。
 協同組合の一番の理念は『助け合い』であることを改めて認識し、競争至上主義ではなくて、ともに助け合い、支え合うという協同組合を築いてきた伝統を力に、自信をもって活動しようではないか。
 全国農団労第32回定期大会は7月19日〜20日 東京都内で開催する。19春闘を確りと総括し、結集しよう・・・。その上で徹底討論の基に地域農業再建と地域農協の復権を目指すべく方針を確立、実践運動に奮闘しよう。

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2019”春季生活闘争勝利に向けて

2019年3月

 あらためて確認したい。労働組合は労働者を守るための組織であり、民主主義の担い手でもある。労働組合の目的は、一人ひとりの弱い労働者が束になることで力を得て、働く者の権利・労働条件や生活基盤を守ることにある。振り返って私たちの労働組合は、そのことが実践でき働く者の環境整備なされているのかを、19春闘開始にあたり考えなければならない。
 とりまく現状は、富裕層に所得が集中し労働分配率は確実に下がり続け、結果としてデフレ脱却も経済循環も実現していない。そのためには、賃金を上げていくことが不可欠であることを再認識しなければならない。
 そのことを示している一つに、雇用状況は比較的良好で、特に新卒は売り手市場と言われている。然し、日本生産性本部の意識調査によれば、『将来リストラなどはある』と思っている人は、≒4割に上るとのこと。安倍総理は、『景気は確実に拡大しているし、雇用は改善している…』と主張するが、将来に不安を招いている者がこれほど多いことを私たち労働組合は問題とし、不安を解消すべく19春闘を交渉しなければならない。その不安を解消するためには、現状認識を抑えておかなければならない…。1990年以降系統組織(企業含)は、グロ―バル化という名の基に、生産性向上施策に伴い雇用を削減または非正規化することで総額人件費を削減し、経営を安定化してきた。その結果、内需は冷え込み、人材が育たなくなった。且つ、広域合併を繰り返すことで系統組織の経営を維持してきたことは否定のしようがないし、経営は維持できても働く者の生活は豊かにならないし、推進事業は多種に亘っているのが現状である。そのことが先の意識調査に示された『将来不安』につながっている一つの要因ではないのか。
 では、具体的に職場では何が起きているのか…。一言で『人手不足』とりわけ若年層が不足しているから、中堅層がその分の仕事も背負い多忙になっていること、さらにはベテラン層(管理職定義)も日々の業務多忙(生産性向上)のため全体的な把握が困難化し、人材育成が後回しとなり中途退職者が生まれ、系統組織の組織運営や経営に支障が出来ているのではないのか。
 いま農業は、自立的な発展に必要な保障を与えられないまま、『貿易自由化』の嵐にさらされ、食料自給率が発達した資本主義国では最低の水準に落ち込み、農業振興の前途を見出せない状況にある。また、このことが系統組織の再編につながっている要因でもある。
 2019”春季生活闘争は系統農協と農業再建の闘いでもある納得出来うる交渉を展開しようではないか…。
 且つ、そのために必要なことは、来る『統一地方選挙とその先にある参議院選挙』である。安倍政権の農業政策の基礎は、『日本農業が潰れるのは、日本農業自体に競争力がないからであり、その原因は規模拡大が進まない農地制度と農協の存在にある』とし、国の農業・農協改革の本質は、『日本農業解体と農協の解体』がキーワードであり『アメリカ型民主主義 新自由主義 グローバル化』が正しいとの価値観のもと系統の株式会社化を求めていること。そのための法改正を進めている。この安倍政権にストップを掛けなければならない闘いが、『統一地方選挙であり参議院選挙』だ。
 全国農団労は、統一地方選挙に組織内候補として、長野県議会候補『うずはし 茂人氏』と徳島市議会候補『春田 ひろし氏』を擁立する。長野県農団労および徳島県農協労連の仲間の皆さんは勿論、全国の仲間の皆さんの支援をお願いする。
 19春闘並びに統一地方選挙ともに勝利を確信すべく奮闘しよう…。

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2019運動開始にあたり――なかまのみなさんへ

2019年1月

 昨年の夏の猛暑は異様で、長らく抽象的に語られてきた地球の温暖化が、俄に体感的に危機として受け止められるようになった気がします。猛暑ばかりではなく、この数カ月以内に私たちが経験した豪雨、地震、台風は、日本列島の東から西まで、甚大な被害を及ばしました。私たちは、3・11の経験から、自然災害というと、南海トラフ地震や首都直下型地震といった、次なる壊滅的な災害のことを考えがちでしたが、都市機能の停止が余儀なくされ、多くの被害者を出し、復興に数カ月、いや何年も費やす災害が、ここ数年の夏のような頻度で次々と襲って来るならば、国の体力はボディブローを受けているように、じわじわと奪われていってしまうのではないでしょうか。
 そんなことを考えると……今必要なのは、東京五輪、大阪万博などよりも遥か先の未来のヴィジョンを具体化し、国民と共有することではないのか、と思うのは私だけではないでしょう。
 地球温暖化だけではなく、少子高齢化も止まることなくその実感は切実なものとなるでしょう。AIの社会への浸透が直ちに人間の仕事を奪うというのは極論ですが、過渡期には人間が携わる業務の整理などを巡り混乱は生じると推測できます。入管難民法も然り……間違いなく、これからは、人は「住みやすさ」を第一に考え、様々な都市に自由に居を移すようになるでしょう。或いは幾つかの拠点を転々とする場合もあるでしょう。懸念するのは、日本が本当に「住みにくい国」になった時、どうするのかということです。
 私たちに今必要なことは、任期中の改憲に「チャレンジしたい」などという逆上したような政治ではなく、地方と都市が共に在り、近未来の喫緊の課題に地道に取り組んでいく政治であり、猛烈に開きつつある地方と都市の経済格差を是正する政治です。
 その地域の核となるべき地域農業に対する安倍政権の政策は、「日本農業が潰れるのは、日本農業自体に競争力がないからで、その原因は、規模拡大がすすまない農地制度と農協の存在にある」とし、国の農業・農協改革の本質は、「日本農業解体と農協の解体」をキーワードとして、「アメリカ型民主主義・新自由主義・グロ―バル化」が正しいとの価値観のもと、株式会社化を求めているというものです。  しかし、地方において地域の社会と経済を支えているのは一次産業に従事する人々です。基幹となる産業として一次産業がしっかりと回っていく。そこで仕事をしている人たちが地域の中心を担って、あるいは消費を促していく中心を担っていく。こうしたことが必要な地域が圧倒的な面積を占めていることを忘れてはいけません。地域農業を衰退させる法律の制定ではなく、一次産業に従事する人たちの所得安定のための施策が急がれているのではないでしょうか。新自由主義の農業政策ではなく地域農業主義の農業政策、持続可能で多様性を受け入れた地域連帯の経済と農業が求められています。
 「権力は腐敗しがちであり、絶対権力は絶対に腐敗する」、なぜ権力は腐敗するのか…権力を利用しようと擦り寄る者が現れる一方、仕える者は権力者の顔色を伺って意向を忖度し、そして、モノ申せなくなるからです。すると、権力者が喜びそうな方向にばかり物事がすすみ、公平、公正が失われます。安倍政権がその典型のなかにあります。大都市や富裕層を優先し、新自由主義という名のもとに構造改革を進め、欧州とのEPAやTPP11、更には、実質的な日米FTAであるTAG(日米物品貿易協定)を締結する一方で地域の核である農協や農業が衰退すべく法律を施行するなど、地域に反発や戸惑いは広がっています。私たちにはこれ以上権力の暴走を許さないための行動展開が求められています。来たる、統一地方選や参院選にその思いを結集させようではありませんか。
 最後に私たちの労働組合について互いに確認し、19運動の前進を期したいと思います。いま第一次産業関連で働く仲間は、その八割が労働組合という傘を持っていません。極めて多くの人たちが、厳しい労働実態のもとでも、どこへ相談すべきかも分からず基本的なワークルールも知らないまま働き、追い込まれています。私たちが率先して手を差し伸べていかなければなりません。常日頃から問題意識を持ち、且つ、集団的労使関係の中心たる労働組合の組織化をすすめる観点からも働く環境全体にうねりを起こしていくという視点で一つ一つの行動に責任と自覚を持ち、共に頑張りましょう。

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全国農団労第31回定期大会に向け・・・

2018年6月

 18”春闘はほぼ終結し、それぞれで春闘総括の論議が始まっていることと察します。私なりに18”春闘の取り組みについて、若干の思いを述べたいと思います。
 『官製春闘』がスタートして、ベアが復活し、5年連続で賃上げが回復しており、理屈抜きに望ましい流れが引き続き継続していることは間違いありません。結果として、農団労春闘にも影響していることはあるでしょう。今春闘の一つの特徴は、大手製造業が主導して相場を形作る従来のモデルが多少崩れ、人手不足への危機感から賃上げに動いた物流や小売りなどが押し上げたことではないでしょうか。更には、人材獲得競争が激しくなる中で初任給やシニア、有期雇用などの労働者の待遇を改善するなど、ある意味で横並びの賃金体系を改善する動きが産業全体に広がったということなのかも知れません。
 他方、系統組織の直面する一つの課題も人材不足が確実に深刻化しているということ・・・、限られた人員の有効活用が経営の重要課題となっていることに目を向けなければ間違いなく系統組織の存在は成り立たなくなるでしょう。
 いま経営者として必要なことは、新たな事業構造転換への取り組みを宣言し、賃上げの姿勢を示すことで働く者のモチベ―ションを喚起すること。且つ、一定程度不採算事業を整理して働き手を収益事業にシフトさせていくべきではないでしょうか。内外環境が悪化して危機感の高まる現況こそ量より質の経営への転換を行うチャンスであると捉え、労使協議を徹底することではないでしょうか。徹底した協議の中から新たなビジネスチャンスを見出さなければなりません。
 特に不確実な環境下系統組織が生き残るには、短期・中期的経営の戦略をきちんと描き事業改革を徹底し、人員をシフトしていくことが必要不可欠ではないでしょうか。そのために、働く者の新たな能力の習得やスキル転換が求められ働き手サイドの主体的な取り組みが前提になります。その意味でもベア獲得によるモチベ―ション向上が必要不可欠です。
 繰り返しになりますが、労働人口・減少時代に生産性向上を実現するには限られた人的資源の効率的活用に向けて既存事業から新規の事業などへの労働力の移動が従来以上に必要になることは間違いありません。
 全国農団労における春季国民闘争は、賃上げを求めるだけの労使間の話し合いだけではなく短期的・中期的に事業と労働市場改革を議論する場でもなくてはならない・・・、農協革新が必要不可欠であることを確認し合おうではありませんか。
 18“春闘は結果的にここ近年にはなく各単組のベア獲得という奮闘が見られたことは率直に評価しなければなりません。但し、具体的内容を見てみると・・・、@従来型の闘争の域を出ることはなく、相手に合わせた労使交渉であり、要求回答の引き出しは従来と変化がないこと、結果として妥結が遅れていることです。A確かに賃上げ単組数は増加していますが、いつもと同等な県産別・単組を軸にし、展開されていることです。
 向こう1年間の運動方針案は6月下旬には各県産別へ・・・、徹底した春闘総括のもとに運動方針の議論をお願いします。『総括なき県産別・単組に前進なし』なのです。
 全国農団労に結集する仲間のみなさん・・・、私たちの組織は、全ての働く者の地域の拠り所となる労働組合組織でなければなりません。そのために・・・地域における農業再建に向け、力強い労働運動をより一層推進していく決意を互いに確認し、運動方針の実践に奮闘しよう。

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2018運動の前進に向けて

2018年1月

 新年=2018春季生活闘争の運動開始、ともに頑張りましょう。改めて、昨年の総選挙の結果は「またか…」という感じではあるが、若干の期待感もある。立憲民主党の誕生で、民主主義対国枠主義の対立構図が明確になったからだ。本来、国民が求めることに対応するのが民主主義国家だが、総理が言う「戦後レジームからの脱却」は、国家のために国民が奉仕する構図であり、だから憲法を変えなければならないとなる。立憲民主党出現を新しい出発点として受け止めたい。然し結果としては、安倍政権の一強体制の継続、つまりは新自由主義の延長ということになることも事実として受け止め、運動展開しなければならない。
 この間、安倍政権の政策は、家族農業と系統農協に対する弱体化や解体に向けた法整備を規制改革会議と連動し、推し進めてきた。2015年の農協法等改正、農業競争力強化プログラムに基づく昨年の農業関連八法案では、農業所得の増大や農協自己改革の促進等と言いつつ、中身は農家と農協を分断、市場や大資本が地域に介入できる施策を画策し、農家と農協の関係を弱体化させ、信用・共済資産の収奪、そのための分離・分割にあることは間違いない。
 系統農協に結集する者として私たちは市場原理主義・新自由主義に抗して、協同組合組織とコミュニティを守るため、地域社会の担い手としての農協を再生する運動を更に強化しなければならない。そのために広域合併に於ける地域農協はどうあるべきかの議論を徹底的に行い、農団労組織の強化と拡大に努めなければならない。
 更に安倍政権の労働法等改悪の点で若干指摘をしておくべきことは、働く者の犠牲の上に成長戦略を描くことは根本的に間違っているということだ。労働基準法を始めとする労働者の保護ルールは、生きる人々の命や暮らし、健康を守り、最低限の社会生活を保障するためのものだ。経済的な規制の上に社会的な規制までも緩めてしまえば、社会全体が歪んでしまいかねないのではないのか。私たちは引き続き労働者保護ルールの改悪には反対の姿勢を明確にし、社会に国民に地域から訴えて行かなければならない。その上で系統農協の職場においても、中途退職等による人員不足により、長時間労働が強いられ、そのことを理由とする中途退職やメンタル不全に陥るなど、長時間労働の解消は急務の課題となっている。
 そういう意味では、2018春季生活闘争の課題は、人材不足がジリジリと深刻化しているということ…。限られた人員の有効活用が経営の重要課題となっていることに目を向けるべきだ。この間の国内外の自由化・外国農畜産物の増大以降、付加価値・生産性の低下に対し、収益事業への事業の組み換え等の改革はおこなわず、総体的事業管理費の抑制を以って何とか系統組織の運営をおこなってきたことは否定出来ない。その結果、今日の人材不足を招いてきたことを忘れてはならない。このように考えれば、賃金抑制ではなく事業構造転換への取り組みを宣言して賃上げの姿勢を示すことで働く者のモチベーションを喚起し、不採算事業を整理、働き手を一定程度収益事業にシフトさせなければならない。
 内外環境が悪化して危機感の高まる現況こそ量より質の経営への転換をおこなうチャンスであると捉えるべきであり、今こそ未来志向を持って労使間で系統組織版―成長戦略を共有することが重要なのだ。人手不足で人材の有効活用が必要だからこそ中途離脱者を防ぎ、再雇用制度等を確立し、新たなビジネスチャンスを見出さなければならない。
 そう考えれば系統組織における春季生活闘争は、短期的・中期的に事業(広域合併含め)と労働市場改革を議論する場でもなくてはならないし、その意味での「農協革新」が必要不可欠であることは論を俟たない。
 いずれにせよ政府・与党は、2019年5月末までを「農協改革 集中推進期間」と定めている。農協陣営は政府の農協改革に抵抗し、主体的自己改革をそれに対置している。ならば働く労働者・労働組合として自己改革の検証を徹底し、更なる自己改革を求める運動を展開しようではないか…。新年おめでとうございます。

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結集する”なかま”のみなさんへ

2017年10月

 衆議院が解散した――。国民に信を問う理由、いわゆる『大儀』が無ければ、みだりに行使してはいけないというのが、政界や憲法学の常識だ。考えてみれば今回の解散決定は、国会に対する総理の政治姿勢にも通底するものがある。審議時間さえ費やせばいいとして、委員会審議を省略し『共謀罪』。森友・加計学園問題では国会閉会後になって『真摯に説明する』と平然と言ってのけた。最後は国会の開会要求を無視続け、臨時国会冒頭に解散する。これだけでも安倍政権不信任である。
 安倍政権の特徴は『支配と統治』にある。この間の農業・系統組織への改革、方策はもとより、安倍政権下で審議された一連の重要法案は一回限りの国会で審議され、いずれも成立してきた。安保法制も今回の共謀罪も国民の理解が深まっていないにも関わらず無理やり通した。安倍政権のもう一つの特徴は非立憲的な態度であるということ。
 今回の総選挙で改憲勢力が3分の2を保てば、改憲に進むだろう。根底には総理が党内論議を経ずに改憲問題を私物化した流れがある。政権維持できなければ改憲はないし、改憲がなければ政権維持もないであろう。
 振り返り、総理の『連戦連勝』は低い投票率に依存している。それは有権者が政治に幻滅しているからで、これまで受け皿を作れなかった民進党ら野党の責任でもあった。無党派層のうねりがなかったということでもある。
 なかまの皆さん――、政治を諦めるのではなく、この間の安倍政権の政治・政策手法を変えるためにどれだけ多くの有権者が投票できるか。少しでも『まじめな政治』のために何ができるかを考えようではありませんか。
 国民の選択肢として結党された『希望の党』・・・。然し、その『希望の党』側の憲法観や安全保障法制への考え方が異にする人間は選別・排除するという手法は全く理がない。いま問われていることは安倍政権に終止符を打ち、国民目線の政治を取り戻すことであろう。これでは保守の二大政党であり、『立憲民主党』を立ち上げざるを得ないことは必然であろう。『どんな手段を使っても、安倍政権を止めなければならない・・・。理想の社会をつくるため、好き勝手な安倍政権を終わらせるため、もう一度2大政党をつくるために、名を捨てて実をとる・・・』と語った民進党の前原代表の言葉は何だったのか。且つ、前原・小池会談は・・・。
 全国農団労は組織内候補として、長野選挙区から篠原氏を立候補予定している(10月3日:現段階では無所属か、政党所属か、は検討中)。なかまの皆さんの奮闘をお願いしたい。一方、これまで組織内候補として様々な政策立案に協力いただいた静岡選挙区の小山氏については、今後とも農団労の政策に理解いただけるのかの調整を行ったうえでの判断としている。
 この数年に亘り、安倍政権下で新自由主義的な政策が推し進められ、家族農業と系統組織に対する弱体化や解体に向けた攻撃は止まることはない。農協法等改正、規制改革会議と連携し、農業関連8法案の成立、等々。その狙いは地域農業・農家をバラバラにし、市場や大資本と系統組織が対峙する構図をつくりだすことで総合農協解体を目指すことにあることは否定できない。
 今回の総選挙は私たちが運動方針で確認してきた安倍政権の地域崩壊の政策つまりは、市場原理主義・新自由主義に抗して協同組合組織とコミュニティを守るため、地域社会の担い手である地域農協を再生するための総選挙でもある。立ち上がらなければならない。それぞれの候補者の政治理念・・・考え方を見極め、必ず一票を投票しようではありませんか。
 他方・・・総選挙の公示日が秋季要求日と重なる。然し、私たちの働く環境がおろそかになってはいけない。総選挙を理由に秋季・年末活動の取り組みが後手になることがあってはならないことを確認し、なかまの皆さんへの訴えとする。

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運動開始・・組合員(なかま)の心をひとつに!

2017年8月

 全国大会を終え一息・・・。そこにある県産別の(新)執行部から『私は執行部に選出されたからには、もっと労働組合の活性化を高めたい・・・今のままではだめだと考えています・・・。』という挨拶(?)。私は、「そうですね」と返答しつつ次のような質問をした。『活性化したというのは、どんな指標で測られるのだろうか。職場集会の出席率?全体集会や大会での発言頻度や内容?組合主催のレク行事への出席率? 動員数?』。『そうした指標で測られる活性化度が高まったとしたら、どんな良いことがあるのでしょうか、』と。当然、困惑したような感じで少し話をし、握手し、またの機会にと・・・。
 『活性化を高めたい』という運動課題は間違いではない。然し問題は、なぜ今『活性化』を仕切れていないのかということである。つまり運動課題の立て方の順序が若干外れているのではないのか、と私は考えている。
 職場でどんな問題があるのか、組合員たちはいま何に苦しんでいるのか、何を望んでいるのか。そうした声に耳を傾け、拾い上げる。こうした姿勢の方がはるかに重要だと私は思うし考える。
 17”春闘時での講演会で活動の参考となる良い話を聞いた。増産につぐ増産で、残業が多く、職場は疲れ果てていた。春闘前のアンケート調査でも、残業をなんとかしてくれとの声が多くあがった。労働組合の委員長は小さな紙切れを現場に配布し、第一線で働く組合員にみんなの思いを手書きで書いてくれるよう頼んだ。はしり書き、なぐり書きの声が予想以上に集まった。委員長はその全てをコピ―して、交渉の席で社長以下経営陣に見せた。しばらくのやり取り(数回の団交)が続き、経営陣は現場がそんなに疲弊しているとは思っていなかった、と正直な姿勢に・・・。結果、当然要員増と時間削減に向けた労使委員会が設けられることとなった。
 委員長は、決して『活性化』を目指して、事をやったわけではない。組合員のなかまの率直な声をすくい上げようとしただけであろう。だが、大きな成果をあげた。但し、その後の労使委員会のあり方が最大の問題であることは、言うまでもない。
 『活性化』とは組合員のなかまの『悩み』に率直に耳を傾け、その解決策を探れば自ずと労働組合への信頼が生まれ結集力が高まり『活性化』するものである。
 いずれにしても、組合役員は大変であることに間違いはない。然し、その献身ぶりは誰かが見ている。誰かがよくやっているねと言ってくれたら、それで良いのではないだろうか。もし誰かに『そんな努力をしても、高い組合費の割には、組合は何もやっていない』と批判されたら、次のように言えばよいのでは・・・。
 『みんなの声を吸い上げ、働く者の権利を守っているのは私たちですよ。それをあなたは知っていますか。』と・・・。
 問題は、そんなことが胸張って言える労働組合であるか否か、なのである。
 これまた先日ある単組のなかまからこんなメールが届いた。『・・退職者が一向に減少しません・・3年から5年で退職します。その理由は将来が見えないこと。サービス残業は当然、推進、推進の日々、管理職は定時退社、ただ職員に全てを押し付けるだけ、このことに労働組合も違和感を覚えつつ、何の取り組みも・・・』と言った。職場の現状を訴えるメールである。やはり前述の中小企業の労働組合の取り組みを、私たちは活かさなければならない。組合員、つまりはなかまを途方にくれさせないために。
 労働組合の果たすべき役割などと、大上段に構えなくても、組合員、なかま=農家組合員、利用者を大事にしていけば、自ずと途は拓かれる。
 いま、互いに確認しておかなければならないことは、少子・高齢化等々における地域の限界、このことに対し、どう考え・行動を実践するのか。且つ、アベノミクス型農業導入や、農協法改正、全農をはじめとする農協組織の株式会社か事業分割の動きが強まる中で、産別組織をどう活用し、抗していくのか、あるいは、労働条件・雇用の維持向上に加えて、政策立案とその政策を実現するための運動展開をどう実践するのか・・・。改めて労働組合とは、『モノ』を言う(発信する)組織 『モノ』がキチンと発信されている農協は健全だということを確認し合おうではありませんか。
 何かの縁あって、この1年間の執行部を引き受けたわけだ。我武者羅に『当たり前』のことに全力を注ごうではありませんか。
 組合員、なかまの皆さん。この1年間一緒に頑張りましょう。職場の労働組合の活性化を目指し・・・。

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17春闘総括論議の徹底と運動方針の論議を

2017年5月

 17春闘が集結し、運動方針の論議のはじまりである・・・。17春闘の取り組みについて若干の総括をしたい。『官製春闘』がスタートしてベアが復活し、4年連続で賃上げが回復し、理屈抜きに望ましい流れが生まれつつあることは否定の余地はない。結果として系統組織にも多少なりとも恩恵を被っていることは間違いない。
 然し、系統組織の直面する一つの課題は、人材不足がジリジリと深刻化しているということ・・・、限られた人員の有効活用が経営の重要課題となっていることに目を向けるべきであり、とりわけ90年代以降の国内外の自由化・外国農畜産物の増大以降、付加価値、生産性の低下に対し、収益事業への事業の組み換え等の改革は行わず、総体的事業管理費の抑制をもって、何とか系統組織の運営をおこなってきたことは否定できず、その結果、今日の人材不足を招いてきたことを忘れてはならない。
 このように考えれば賃金抑制モ―ドではなく事業構造転換への取り組みを宣言し、賃上げの姿勢を示すことで、働く者のモチベ―ションを喚起しつつ、不採算事業を整理し、働き手を収益事業にシフトさせていくべきではないか・・・。内外環境が悪化して危機感の高まる現況こそ、量より質の経営への転換を行うチャンスであると捉えるべきではないか・・・。以上の認識に立って17春闘総括と中長期的運動方針の論議をお願いする。
 そこで今日の私たちの労働組合活動について若干の私見を述べたい。一言で農・農解体攻撃に対し、もっと労働組合としてメッセージを出すべきではないのかということ。資本の論理に対抗できる組織として期待できるのは労働組合ではないのか。確かに奮闘している労働組合は存在するのかもしれないが、存在意義もわかりにくくなっていることは論を俟たない。労働者が不安に思っていることをもっと積極的に農協側と交渉・協議の場を設ける。
 例えば、県域あるいは超広域合併に伴う、事業方向等について職場の中は戸惑っている。その一方で合併に対する様々な問題点について労使交渉をおこなっている労働組合は数少ない。要員管理をともなう事業方向はある意味で総額人件費の話でもありますから・・・、などと労使交渉から除外している労働組合も残念ながら存在する。
 労使が違う立場で、違った視点でものごとを見ていることに意味がある。おのおのが気づいた点を伝えることは双方にとってプラスになることを忘れてはいけない。今こそ未来志向をもって労使間で系統組織版『成長戦略』を共有することである。人手不足で人財の有効活用が必要だからこそ中途離脱者を防ぎ、再雇用制度を確立し、新たなビジネスチャンスを見出さなければならない。特に不確実な環境下、系統組織が生き残るには短期・中期的経営の戦略を描き事業改革を徹底し人員をシフトしていくことが必要不可欠である。そのうえで県域・超広域合併を考え進めるべきではないか・・・。だからこそ今、働く者の新たな能力の習得やスキル転換が求められているし、働き手サイドの主体的な取り組みが問われている。
 あらためてこの間の運動総括を徹底し、私たちの取り組むべき運動課題を明確にしなければならない。時代の変化は激しくスピ―ディ―だが、この間の歴史と伝統の重みをかみしめながら主体性をもって様々な課題に果敢に挑戦し、全ての働く者の地域の拠り所となる力強い労働運動をより一層推進していく決意を互いに確認しよう。
 7月開催の第30回 全国農団労定期大会に向け仲間の奮闘に期待する。

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2017”国民春季生活闘争

2017年3月

 全国農団労 17”国民春闘・・・。取り組むべき課題が山積していることは周知の通り。
 交渉が本格化するにあたって直接する「ベア獲得」、働く職場環境改善の取り組みは必然として、取り巻く現況の中に於ける労使の共有すべき活動課題を確認し、改めて全国・県産別・単組の結束を求めたい。

  1. これまで経営悪化に直面した農協の多くは、事業推進の強化と経営の減量化を推し進め
    てきた。具体的には、正職員の削減やパ―ト化 職員賞与・役員報酬のカット、そして
    支店・施設の統廃合や赤字の利用事業の廃止 遊休資産の処分等々。その農協の多くは
    これらの削減等を特に経営方針や中・長期的計画を示すこともなく毎年度の経営収支を
    緊急避難的に合わせている実態がある。

 結果としてこのことは、職員の志気や職場風土の沈滞に結びついている(不振農協)。
 よって第一の活動課題としては、各事業等におけるきめ細かな対応と経営の減量化に対する『人財』中期的位置付け方策の確認、さらには経営方針への対応にある。

  1. 職場沈滞ム―ドの背景は、農協トップに明確な経営方針や改革姿勢が欠けているという
    問題だけではなく、逆に不振農協の中には、組合長や専務・常務等が積極的に系統内外
    を問わずコンサルを受け、それなりに経営改善に努力している例もある。問題はトップ
    が提示した経営方針なり取り組み課題が、管理職はじめ一般職員に周知徹底されていな
    いこと。更には、経営上層部が策定・指示した改革方針に対して組合員と日常的に接し
    ている現場職員が、その現実適合性において大きな不信感を抱いていることである。

 要するに農協トップと職員・組合員等の間で事業環境の情勢や問題状況、取り組むべき重点課題等についての情報や認識を共有していないことである。
 よって第二の活動課題としては、経営方針等々における労使の共有を構築(労使交渉・協議の確立)させることにある。

  1. その解消には、組合員に近い現場職員とトップの認識ギャップを埋めることが先決。然
    し、実際、事業推進目標等は無論、今日的課題でもある人口減少時代における『地域』
    の協同組合の在り方、等々のトップダウンに対して、『提案と現場情報』の職員からの
    ボトムアップが全く存在していない。また、そのため改革を進めていくための絶対条件
    である。全職員一丸となって取り組むという職場風土が出来上がっていない(トップだけ
    が空回り)。

 重要なことは、業績(成果)主義の評価だけでは職員は動かない。業績主義的労務管理は、定型的な商品・サ―ビスの推進業務に対しては一定有効なのかも??然し、今日の農協経営は間違いなく競争社会から遅れていることを考えれば原点に戻った運営つまりは、『組合員の目線(ニ―ズを把握し)』での組織運営を展開していく必要がある。そのためにはこれまでのノルマ達成『推進』のやり方を反省(総括)し、組合員・准組合員・地域の不満、要望、評価等を取り入れ事業改革(あらたな広域合併)や組織運営をすすめる必要がある(ボトムアップ型改革の追求)。その中から規制改革会議・政府の系統組織、農業改革への不信が沸き上がってくるのではないのか・・・。
 よって第三の活動課題としては、使用者 & 労働者(労使)の意識改革を進め地域協同組合としての原点運動を展開することにある。

 認識しなければならないことは、系統組織の一つの時代が終わったことは否定できないということ。新たな構造的・複合的危機の中において次の時代への展望を切り開かなければならない。
 少子高齢化が急速に進む中、地域社会を支えてきた分厚い中間層が薄くなったことで、地域経済や子育て、介護など様々な生活面で影響が出ている。今こそ『地域』に根ざした協同組合の出番ではないのか・・労使の真摯な協議を展開し、2017”国民春季生活闘争に全力を挙げよう!!

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2017の幕開け”一致団結奮闘しよう!

2017年1月

 2017年の活動開始です。一致団結奮闘しましょう。冒頭、厳しく安倍政権を糾弾しなければなりません。先の臨時国会におけるTPPTPP批准――改めてTPPは、独立国の基本である関税自主権を放棄するものであり、米国の意向に従って農業、金融、契約、医療、著作権、環境、労働など、幅広い分野で国民生活全般を根底から変え、壊滅的な打撃を与えるものです。米国トランプ次期大統領は離脱意向、殆どの参加国も未だ批准していないにも拘らず、日本の批准――安倍政権を糾弾するとともに、更なる反対の運動を構築しなければなりません。更には、米国の離脱表明で警戒すべきは、代案として『米国に雇用と産業を取り戻す公平な二国間協定の交渉をすすめる』と述べていることです。二国間協定のFTA(自由貿易協定)となれば日本はTPPを超える譲歩を迫られる恐れもあります。注視し、おかしいことは反対の姿勢を明確にし、運動を強化することが必要です。また、運動の継続そのものが本来の系統農協の『自己改革』に繋がります。今日の流れのままでは系統農協が迫られる選択肢は、株式会社化であり、信用・共済事業に偏重した県域あるいは超広域合併でしょう。然し、それでは本来の総合農協の力を発揮できません。信用・共済事業の代理店化とて同じです。
 いま地域の系統農協を引き続き存続させるには准組合員への対策と対応ではないでしょうか。最大の課題は、准組合員の意思反映をどうするのか、例えば集落単位での組織共同運営、理事等々への選出、総会・総代会への参加など正・准組合員の絆を強めることです。正・准組合員、地域住民への様々な活動を展開し、総合事業のなかに明確に位置付けることが必要ではないでしょうか。
 地域について今一つ触れておかなければならないことは、『限界集落――地域再生に役立つ工夫』ということです。全国には約1万5500の限界集落があり、『10年以内』に約600、いずれは3000近くがそれぞれ消滅の危機にあると指摘されています。限界集落は六五歳以上の高齢者が住民の半数以上を占め、冠婚葬祭など地域の機能維持が困難になっている集落を指すそうです。
 居住地が『限界』と指摘され、じっと消滅を待つ集落があるはずもない。むしろ地域再生の意欲的な取り組みが目立つ、『限界』の名称に違和感を覚える人も多いでしょう。
 子育て世帯を呼び込み、休校していた小学校を再開した市町村、元気な限界集落も多い。ただし、問題点も多々存在します。耕作放棄地の増大、働き口の減少、商店街の閉鎖、空き家の増加、伝統催事の衰退等々課題は多岐に及ぶ…地域に存在する農協はこの様な課題・対策にどう立ち向かっているのかということです。このことに地域農協再生の一つのキッカケがあるのではないでしょうか。
 この間農協は、『事業推進の強化と経営の減量化』をすすめてきたことは否定できません。結果、今何が起きているのか。農協には『人材』が集まらないこうした地域の課題に対応が出来ない。地域農協の役割が困難…だからこそ労使の協議(春季生活闘争)が重要なのです。
 そこで2017春季生活闘争の課題として――今日の系統農協の現況は、人材不足がじりじりと深刻化し、限られた人員の有効活用が経営の重要課題となっていることに目を向けるべきであり、とりわけ、90年代以降の国内外の自由化・外国産農畜産物の輸入増大以降、付加価値や生産性の低下に対し、収益事業への事業の組み換え等の改革は行わず、総体的事業管理費の抑制をもって何とか系統組織の経営や運営を行ってきたことは否定できません。その結果、今日の人材不足を招いてきたことを忘れてはなりません。このように考えれば引き続き賃金抑制を行うのではなく、事業構造転換への取り組みを宣言し、賃上げの姿勢を示すことで働く者のモチベ―ションを喚起し、不採算事業を整理して働き手を収益事業にシフトさせていくべきではないでしょうか。且つ、今こそ未来志向をもって、労使間で系統組織版―成長戦略を共有することです。人手不足で人材の有効活用が必要だからこそ、中途離脱者を防ぎ、再雇用制度を確立し、新たなビジネスチャンスを見出さなければなりません。特に不確実な環境下で系統組織が生き残るには、短期・中期的な経営戦略を描き事業改革を徹底し、経営資源をヒトにシフトしていくことが不可欠ではないでしょうか。
 2016春闘総括を一言で指摘するならば、賃上げを求めるだけの労使間の話し合いだけではなく、短期的・中期的に事業と労働市場改革を議論する場でもなくてはならなかったということです。逆に考えれば、2017春季生活闘争…今後の春闘もその視点が必要だということです。
 農団労運動に決起する仲間の皆さん、困難な時代ではありますが、新たな創造に向けた運動展開に全力を挙げようではありませんか。
 新年、おめでとうございます。

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仲間の皆さん・・運動方針の実践に向け奮闘を

2016年8月

 第29回全国農団労定期大会を終え、いよいよ運動方針の実践に向けた新たな活動を開始する。今回の大会は24年ぶりに島根の地で開催・・・、折りしも当時の全国の旗振り役の一員が、現組織内議員の郡司参院議員でもある。農団労小なりとはいえ幅広い人脈を抱えていることに感謝を申し上げる。
 改めて、この25年間の先進各国における雇用に関わる統計を見ると、日本に限らず多くの国で共通した流れを見出すことができる。例えば今日の一つの課題となっている『生産性向上』では、日本・アメリカ・イギリス・フランス・ドイツいずれの国においても産業構造は大きく変化し、生産性上昇率は鈍化傾向にある。他方、物価上昇率は総じて低くなり、賃金上昇率は下がった。また、労働分配率も低下傾向にある。一方、所得格差は拡大し、有期雇用、パ―ト労働者が増え、企業(系統組織含)等における雇用の調整速度は速まった。社会(系統組織)としてここをどう修正していくかが大きな課題となっている。この間系統組織は企業に倣い、人々の合理性を追求してきた無限定な自由競争の継続では課題解決は困難である。改めて協同組合の原点である協調・協力が求められている。且つ、この国に紛れもなく起きている現象は、人口減少が進展することである。特に生産年齢人口の比率が大きく低下している状況下で、誰もが働きやすい環境を整え、意欲を高め、能力を発揮できる状態を作り出していくことが喫緊の課題になっている。
 労働組合としてどうやって付加価値を高めて、それを分配していくのか・・・、農協革新運動の真価が問われている。
 今一つの課題は、農協法等が改正・施行された。このことは確実に協同組合の弱体化は無論、破壊へつながる可能性を持つ・・・。更に長期的には地域を共生から競争地域へと変質させることは間違いない。だからこそ今、地域を基盤とする第一次産業労働組合として地域に根ざした運動を展開しなければならない。そのための農協の事業と組織を改革するべく運動が問われている。
 仲間のみなさん・・・、取り巻く環境が困難な時ほど先ずは交渉出来得る体制を確りと構築すること。このことが原理原則であることを忘れてはならない。その交渉の中から勝ち得た結果に仲間は団結することを忘れてはならない。だからこそわれわれは、系統組織に結集する者の処遇改善を一つひとつ丁寧に団体交渉等々を重ねル―ル化し、協定(議事録 覚え書き)文書を求めていく・・・、このことが必要不可欠な取り組みであることを絶対に忘れてはならないということ。
 指摘しておきたいことは、労使関係の問題処理が近年団体交渉ではなく労使協議会となっている点である。団体交渉と労使協議会とでは、その概念は大きく異なることを再確認しておく必要がある。労使協議会とは、もともと労使間に根本的な意見対立が存在しないと想定されるテーマについて労使が意見を出し合うという制度のことである。確かに労働者も経営側と対立する意見は言えるけれども、労使間の合意なければ、実施せずとする制度やテーマは少なく最後には経営者の裁量にて決着することが多々あることは否定できない。
 他方、団体交渉では両者の意見の対立が妥協点を見いだせば双方の責任にて決定、つまり労働協約となることになる。この違いが大変大きいわけで、その間に争議の可能性も出てくる場合もあるし、また執行部などの指名ストによる職場巡回オルグも発生する可能性もある。何時の時代も言えることは、緊張感ある労使関係は必要不可欠であるということだ。そうでなければ系統組織の抱える今日的な課題解決は困難である。
 最後に、改めて言うまでもないが、労働生産性の向上というと『生産効率の改善、インプットの削減』の側面ばかりが強調されやすい。然し、いま必要になっているのは、限られた人的資源で、どうやって付加価値を高めていくのか、需要サイドへの、そして社会への働きかけでもある。
 今秋の臨時国会はTPP批准を巡る攻防の場となる。TPPは農業だけではなく国民の健康や生命を脅かし、地域を崩壊させることは間違いなく農協改革と表裏一体でもある。批准阻止に向けた大衆運動と地域農業再建の運動を展開しなければならない。
 地域(農業)の存亡と農協の存続に向け、運動方針の実践を追求しよう!!

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2016春闘総括!! 労使の信頼関係を不動のものに

2016年5月

 近年の労使関係は『対等』とはほど遠く、雇用の安定や労働条件の問題でも使用者側の意思が優先されてきた。結果、そのことは日本の復興の成長特性であった『日本型経営の三種の神器』の形骸化、無力化を促進させた。終身(長期安定)雇用制と年功序列制の修正は避けがたいものであったろうが従業員の忠誠心と士気を大きく殺し、企業別労組の弱体化は労組の経営監視機能を大幅に低下させた。

 日本的経営の強みだったシステムの劣化は、経済のグロ―バル化の進展、中国などの急速な追い上げなどにより日本企業の国際競争力に赤信号が灯った結果であったことは否定できない。 企業が生き残りをかけて取り組んだシステムの改革・修正はそれなりには有効だったが、前記のような従業員の士気の喪失、経営監査機能の劣化などの大きなマイナスを生じたことも事実として存在している・・・。今日の社会問題である『格差』その中でも注目すべきは、不本意非正規雇用労働者の存在ではないのか。

 われわれ系統組織の至上命題は質の高い職員育成による組合員指導、組合員のためになる商品・製品とサ―ビスを提供することであるが、その前提条件に欠陥が生じたままでは、長期的に組織寿命を保つことは出来ない。組合員重視は当然としても、組織基盤を確固としたものにするには経営力とともに従業員、労組との信頼、協力関係の存在が不可欠である・・・TPP、伴う農業・農協改革等、系統組織が追い込まれていく中にあっては特に、である・・・。

 いずれにしても、これらの様々なことを検証する絶好の材料が春闘、春季活動、交渉である。この視点で2016春闘を振り返るとわれわれの課題が、更に浮き彫りになるのではないだろうか、そのことが総括である。
 われわれはここ数年の要求理念を『金だけよこせというような春闘は不毛 (ベア要求は基軸ではあるが ・・・)。今後は安心して働ける職場そのための事業改革を、そのための労使関係を』とし、その追求を進めてきた。総体として2016春闘は一定のベア要求実現 非正規労働条件改善春闘となり世間一般には従来型の春闘化したような雰囲気ではあるのかも知れない、が、われわれ系統組織の実際はそうではない。このことは誰にも否定の仕様がないことである。

 問題はわれわれ労働組合組織の中にその認識がしっかりと確立出来得ていたのか否かである。『革新――提言』要求をなぜ提出したのか、まさにその理由は系統組織の事業改革が当面する組織生き残りのためだけの改革であり、中長期的視点での組合員のための改革に程遠いからではないのか。『革新』化していないからではないのか。
 2016春闘を一言で総括するならば『要求に対する追求不足・・・要求実現への迫力不足』である。そのことが経営者側の日程に対し、待ちの姿勢でしか、交渉出来なかったということではないのか。『攻めて待つ』この姿勢が生まれない限り、われわれの要求実現は存在し得ない。

 今、問われていることは、この間の働く者の整理・縮小に焦点を当てた『雇用リストラ (自主退職者の多くも理念なき事業運営に将来が見えず退職の途を) 』で萎縮していた働く者すべての士気復活につながる施策を労使が対等の立場で討論し合い、その方向性を見出すことだ。そのための労使関係が最重要。もっと積極果敢に労使協議(交渉)を深め、信頼関係を不動のものにする必要がある。先の見えない中、農業を支えてきた系統組織は――農協はどこへ向かっていくのか。その役割はどう変わっていくのか、どう変わるべきなのか・・・。

 農協改革の目的は、最終的には国民の食卓に安心・安全な食物が安定的に供給されることであり、系統組織が強くなることではない。根本はそこにあり、そのための手段としての農業改革であり、農協改革であるべきというのが本来の姿である。

 『労働組合、正しく強かれ』の言葉をともに確認し、新たな課題解決追求のため、当面する参議院選挙 (郡司組織内候補の再選 かまたに全国比例候補の当選)、 その後のTPP阻止運動等々、全力を挙げ奮闘し、その結果を討論し合う場である全国農団労第29回大会に持ち込み当面する運動の方向を確認しようではないか、奮闘しよう!!

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2016”春闘開始 ・・ 自信と確信を

2016年3月

 2016春闘が本格化する。90年代末以降、ベア・ゼロが常態化し、主要企業の春闘賃上げ率(定昇+ベア)は1%台が定着していた。これが『官製春闘』によってベアが復活し、2年連続で賃上げ率2%台を回復しており、理屈抜きに望ましい流れが生まれつつある。結果としては系統組織にも多少なりとも恩恵を被っていることは否定できない。引き続き賃上げで経済好循環を求める流れを継続させるため、2016春闘は、小幅でもベアの継続性を確保する必要がある。
 特に系統組織の現況は、人材不足がじりじりと深刻化しており、限られた人員の有効活用が経営の重要課題となっていることに目を向けるべきである。とりわけ90年代以降の国内外の自由化・外国農畜産物の増大以降、付加価値生産性の低下に対し、収益事業への事業の組み換え等の改革は行わず、総体的事業管理費の抑制をもって何とか系統組織の運営を行ってきたことは否定できない。その結果今日の人材不足を招いてきたことを忘れてはならない。
 このように考えれば、引き続き賃金抑制モードを行うのではなく、事業構造転換への取り組みを宣言し、賃上げスタンスの姿勢を示すことで働く者のモチベーションを喚起しつつ、不採算事業を整理して働き手を収益事業にシフトさせていくべきではないのか。内外環境が悪化して危機感の高まる現況こそ、量より質の経営への転換を行うチャンスであると捉えるべきではないのか。
 以上の認識に立って、2016春闘課題をあらためて提起しておきたい。
 第一としては、組織状況様々ではあるが確実にベアの回答に向けて妥結を目指すことだ。縮小均衡からの脱出には、『生産性向上の後にそれに見合った賃上げを行う』という発想ではなく、『厳しいからこそモチベーションの向上をもって生産性向上を求める・・だからこそ賃上げを行い、それをきっかけに事業構造の構築につなげる』という発想が必要になる。
 第二としては、今こそ未来志向をもって労使間で系統組織版成長戦略を共有することだ。人手不足で人材の有効活用が必要だからこそ中途離脱者を防ぎ、再雇用制度を確立し、新たなビジネスチャンスを見出さなければならない。特に不確実な環境下、系統組織が生き残るには短期・中期的経営の戦略を描き、事業改革を徹底し、人員をシフトしていくことが不可欠になる。それには働く者の新たな能力の習得やスキル転換が求められ、働き手サイドの主体的な取り組みが前提になる。その意味でも、ベア獲得によるモチベーション向上が必要不可欠なのではないのか。
 繰り返しにはなるが、労働人口減少時代に生産性向上を実現するには、限られた人的資源の効率的活用に向けて、既存事業から新規事業への労働力の移動が従来以上に必要になる。2016春闘は賃上げを求めるだけの労使間の話し合いではなく、短期的・中期的に事業と労働市場改革を議論する場でもなくてはならない。
いずれにしても、先行き不透明感が極めて強い現況化、とりわけベアを決断させるのは容易なことではない。今以上に組織体力が落ちれば将来的に広域合併等が早まり雇用が失われるリスクを勘案して慎重になる傾向もあるであろう。
 然し、そうした発想のみが強まれば、新たな縮小均衡をもたらす結果になりかねない。それは、90年代以降の教訓でもある。自信と確信をあらたに頑張ろう・・。

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2016”春季生活闘争 開始にあたり

2016年1月

 新年―おめでとうございます。早いものでこの1月には2016”春闘討論集会を開催し、2月早々には中央委員会にて要求を確認、労使交渉となる。その基本となる方針は近々組合員の皆さんへ配布・徹底される、直近の情勢認識について必ず一読願いたい。そこでその前段として方針議論にあたり若干の考え方を述べてみたい。
 この間、国際的自由化(グロ―バル化)の進展は、あらゆる点で農業と農協の経営を直撃した。我々は経営不振や破綻を起こさないためにも、その運動の方向を農協革新追求として経営・事業・組織の在り方についてチェック、且つ改革提言要求を申し入れることとし、革新の運動を重視してきた。然し、現実には農協間格差は拡大し、問題農協が存在している。それは在り方追求運動の取り組みが前進していないことの証でもある。前進しないのは何故かを考えることは重要なことである。情勢への危機感が不足、従って取り組みが低迷していることもあるだろう。一部幹部だけの取り組みに終わっていて全体の取り組みになっていないことも考えられる。そういった不充分さの結果が多くの職場で要求内容が表面的で掘り下げが浅く説得力を持たないものになっている。
 更に、このことは労働組合としての基本的な力量が不足していることの証でもある。賃上げ・労働条件向上という誰もが深く考えなくとも要求内容を理解し全体がまとまりやすい時代と同じやり方で労働組合活動がおこなわれていることが、現在の活動の低迷に繋がっている、と考えることは不自然だろうか。何事も行き詰まった時には『原点に帰れ』という格言がある。労働組合活動とて変わりはない。労働組合活動の原則的な取り組みを重視せねばならない。全国農団労運動の基本である『当たり前の労働組合活動』の追求が、いま、全ての県産別・単組で求められている。問題は、その当たり前とは何か、と言うことになる。一言で『ふつうである』と言うことだろう。

 例えば、
 『要求作成から妥結まで』 執行部論議(課題整理)⇒ 職場論議⇒ 執行部論議⇒ 職場論議⇒ 執行部論議⇒ 全体確認⇒ 補完学習⇒ 労使交渉⇒ 戦術行使 (そのために『スト権の確立』『争議行為期間確立』) ⇒ 全体妥結⇒ 妥結書締結⇒ 妥結内容完全実施、となる。このことが『ふつう』の活動として出来得たのか・・・取り組みの総括が必要だ。

 『当たり前の労働組合活動』とは、当たり前のことを『ふつう』にやることである。その当たり前のことを当たり前にキチンとすることの難しさこそが、活動の難しさなのであろう。これまでの労働界の組合活動を一言で要約するとある意味で『横並びの組合活動』と言えるだろう。即ち、『他労組 (他単組) がどうするのか、どうしているのか』、が意思決定と行動の基準化となっていた。今までの組合活動は自労組の独自性などなくても『横並びの組合活動』をしていればそれで済んだよき時代でもあったわけだ。本部が要求基準を他労組が新しい要求を出すと自労組も追従する。他労組がやめると自労組もやめるといった組合活動だったことは、否定出来ない一面もある。
 当然なことではあるが、今日もはや、このような取り組みは通用しなくなった。ここ数年の経営に伴う農協間格差による賃金実態がそのことを如実に表している。更に組織基盤である農家組合員は、高齢化の進行とともに農業人口は減少し、耕作を放棄される農地も増えている。結果として大筋合意となったTPPをはじめ、経済連携協定や自由貿易協定によって、海外からの安くて良質な農畜産物の輸入は今後、更に進むであろう。こうした現況のなかで我々がどう運動を展開するのか、その舵取りが問われているこの時に未だ『農業・農協を取り巻く環境はいぜん厳しく、自農協だけではなく、みんな苦しいのだから仕方がない』などと活動総括しているならば、まだまだ『横並びの組合活動』の意識から脱却できていない証である。ではなぜ『横並び組合活動』から脱却できないのか、おそらく組合員の結集力つまり日頃の集会等への集まりが悪いため活動に自信がなく結果として『横並び組合活動』に終始せざるを得ない、ということだろう。問題はなぜ結集力が停滞しているのか、である。我々の最大の強みは何か。それは、現場をよく知っていること、このことが労働組合の強みであり、結集力の源泉なのである。然るに、今日の多くの執行部は労働組合活動の『ふつう』の活動が出来ていない。執行部はもっと現場へ足を運び組合員に会う必要があることは言うまでもないこと。その中から要求は生まれ改善しなければ、という闘志が自然発生的にわいてくるものなのである。
 他方、組合員は執行部に対する義務を果たすことだ。組合費を納入し組織維持の役割を担っている以上、積極的に議論に関わり、その役割を果たすこと。
 基本的に組織の強固な定義のバロメーターとは如何なる場合でも常に8割以上の仲間がキチンと活動に参加している労組であることだ。そのために自労組に何が不足しているのか、の検証を徹底すること。
 その検証を総括とし各県産別・単組において議論しあい全国農団労2016”春闘討論集会に持ち込み、その議論のたたきあいが建設的な議論であり今日の農業や系統組織解体に対峙する組織強化 (発展 )の第一歩なのである。何れにしても我々の姿勢が革新には必要不可欠、頑張ろう!

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組織力量を強固にし…、秋・年の取り組みを

2015年9月

 学者、法曹関係者、一般市民など国民各層の批判や異論に聞く耳を持たない政権が『数の力』で、安全保障政策を大きく転換する関連法案を成立させた。この間、国会内外の論議を通じて、この法案には看過できない立法上の問題点があり、安全保障政策としても妥当性を欠くことが一段と明確になっていた。 そもそも安倍総理が、憲法9条で禁じられているとされてきた集団的自衛権の行使容認を目指すのなら、解釈変更の閣議決定ではなく、正面から憲法改正を目指すのが筋であったはずだ。憲法改正を発議して国民投票を実施するのは、国民すべての声を聞き判断を仰ぐという点で、最も民主主義的な手法といえる。安倍総理は国民の声を聞くのではなく、内閣という権力の一機関による強行突破の手法を選択した――これが民主主義なのか。
 国会前で連日行われているデモの合言葉は、『安全法制・・・勝手に決めるな・・・』法案に異議を唱える国民の声が昼夜を問わず、響いている。国民の怒りは法案の内容だけではない、世論を顧みず『勝手に』決めようとする政府や与党の姿勢や体質にむけられていることを忘れてはならない。
 改めて、安全保障政策は幅広く各界各層の意見を聞き、国民の総意を形成して進めることが重要なのか。それは安全保障政策の目的が、国民の生命と安全を守ることにある。然し、その方向性や手法を誤れば、国家を戦争の危機に近づけかねないし、安全を実現する過程で、国民の権利を一部でも制限し、自衛隊員を危険に晒すこともあり得るからである。安倍政権には国民の総意形成を進める努力が決定的に不足している。
 安倍総理は『法案が成立し、時が経ていく中で間違いなく理解が広がっていく』と語っている。どういう根拠で発言しているのか、独善的な安倍政権に日本の安全保障を任せることができないことは明白だ。そのためには来年の参議院選挙で自民党の議席を減員させること。我々と志を同とする仲間を増員させること。また、このことが今国会で成立した農業や農協法の内容に待ったをかけTPPの阻止運動に繋がることを肝に銘じておかなければならない。
 今回の安全保障法案の政府の本音は、米国の関与をより確実とするために米国との軍事的一体化を進めておきたいとの戦略があることは否定できない。TPPもまた米国のための戦略にあるのではないのか。安倍政権にチェックを――今一度大きな反対の国民の声を結集させなければならない。
 そのためにも、この秋季・年末闘争は重要である。協同組合として地域社会づくりへどう関わるのか、また組織戦略(合併で単一化巨大化を目指すのか否か)等、直接的な労働条件改善の要求も含め多様化している。執行部論議と全労組員まわりを徹底し実のある『要求』を掲げること。その上で徹底した労使交渉を重ね労働組合の存在意義を知らしめること。
 改正農協法では、自己改革の実施状況いかんでは、施行の5年後に全農の株式会社化は勿論、金融部門の代理店化の強制化等さらに大幅な農協制度の見直しや准組合員の事業利用を制限されると言ったことも懸念されるし、現実味されていることは否定できない。改正農協法直後の労使交渉――奮闘しようではないか。

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労使交渉の重要性を再確認し、方針の実践を!

2015年8月

 先の農団労大会において向こう1年の運動方針を確認した。全体的な討論を聴いて考えることは、いま、労組員からあらゆる場で労働(悩み事)相談として、雇用調整(労務管理)や解雇(非正規・・)、給与規定改定問題、労使関係――組合長等団交拒否など個人・労使間トラブルなどを巡る問題は依然として後を絶たないということ。こうした問題を通して率直に感じることは、あらゆる場を通して私が何時も主張している労使関係は『生き物』であるということ。逆に考えれば、労務管理は相手次第という側面を持つということだ。
 労使紛争はある日突然起こるケ―スが多く、また『100%の答』というものはないのが現実でそのため労働紛争においてもそうであるが、本部は単組とともにそのケ―スに合った解決方法を探って指導するのである。そのことが一つの本部の役割であり法律の解釈だけでのみの指導をしていれば単組は本部を必要(利用)しないのではないだろうか。
 何れにしても、労働組合(執行部)が心すべきことは例えば、労務をめぐる問題であれば働く者との禍根を残さないような適切な対策を早めに取ることだ。雇用調整や賃金カット等せざるを得ない場合でも、進め方は農協経営者によって大きな差が見られることは当然だ。経営上層部が独断で考え、一方通行的な進め方により結果として紛争に至るケ―スも多々ある。農協の場合はほとんどである。こうしたことを避けるためには経営者が日頃からきちんと情報公開し、『不十分ながらも精一杯のことをした』と働く者に納得してもらうことが大切になることはいうまでもない。働く者の心に不満や不安が一杯の状態では、肝心の事業の向上はおろか事業改革することなど難しくなることは必然的なことである。
 そういう事を改善するためにも私たちは常日頃の『徹底した労使交渉』の開催を求めているのだ。この労使の協議の場において徹底議論し、改善策等を求めていく。その過程において労働組合は職場論議を重ねていく、結論的には一定程度ではあるのやも知れないけれども納得をし受け入れる。このことが、いま必要ではないのか。様々な点で農業と農協は危機的状況化している。だからこそ労使関係は従来にまして重要なのである。『対立 対策』から『論議 人材育成』への関係を構築すること――そのためには労使の徹底した話し合いを行い相手を納得させることに尽きる。
 何時の時代も健全経営には労使関係の構築 = 安定、相互の信頼が非常に重要になる。その対応、対策、解決を怠れば感情的な言動、紛争を重ね企業(農協)の正常な運営が阻害される危険性が高まる。日頃から、労使交渉 = 協議などを通じてコミュニケ―ションをよくし、働く者と真正面から向き合うことで相互の信頼関係を構築しておくことが何より重要であることを重ねて強調し、情報公開を伴う定期的な労使協議の開催が必要であることを確認しなければならない。
 私たちが依って立つ基盤である農業と農協をとりまく現況は激変しようとしていることは論を俟たない。健全な労使関係を構築し、地域社会の担い手として農業 農協 地域再生に向け奮闘しなければならない。
 地域農業の根幹を揺るがす農協法改正案、社会全体を崩壊させるTPP、働く労働者を混乱させる労働者保護ル―ルの改悪など、取り巻く現況は存在するが正念場の時である。大会で確立した方針を確実に実践し未来を切り拓かなければならない。

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運動総括を踏まえ――第28回全国大会へ

2015年6月

 2015春季闘争も終結をし、総括論議の時である。今春闘、一言で主張するならば今年も従来型の闘争の域を出ることはなく相手に合わせた労使交渉であり、いつもと同等な単組のみがベア回答または、何らかの意義ある回答を得たということではないのか。
 確かに『官製』春闘の色合いは強いものの経済合理性ではなく労使ともに賃上げが必要だとの社会性が意識され回答状況は、昨年よりも高いベア賃金改善が目につくことは否定できない。このことは物価上昇や生活向上分などの積み上げ算で労使が折り合ったというよりは、『賃上げが日本経済と景気の回復に不可欠なものである』という認識が労使双方に浸透してきたとも指摘できるのではないのか。また、日本経済を小均衡から拡大基調へ転換させ働く者の士気を新たな成長軌道に乗せるためにも『人材への投資 = 賃上げ』が重要であるという考え方が労使間で進展してきたことは何よりも大きいと言わなければならない。
 然し一方では、今春闘の政府の経済界への賃上げ要請は、法人税減税 雇用つまり、労働時間や解雇規制などの規制緩和 年功賃金排除等々とのバ―タ―であるようにも感じ、格差の拡大が心配されることも事実であることは否定できない。特に、雇用規制が緩和されれば雇用の質も安定もますます劣化し続ける。アベノミクスは賃上げだけでは済まず、圧倒的な議席を有する盤石な政権下で雇用の質が劣化される。ある意味、バ―タ―取引に労働界が巻き込まれているような気がするのは、私だけではないのではないのか。
 さて話を戻すが依然として私たち系統組織の実態も含めて企業間や非正規・正規労働者の格差問題は何ら解決されてはいない。中小企業や地場企業の春闘がうまく流れに乗ったのか否か、検証する論議が求められていることを肝に銘じ総括論議を開始することが必要である。
 若干、農団労の労使交渉を検証してみると・・いざ、賃金改善やベ―スアップとなると『置かれた環境はなお厳しく 労組側の要求に応えるのは未だ厳しい』 『総体的な雇用を優先することを考えなければならない』 『経営体質を強化するためには総額人件費の適正化がなお必要』等々という従来の主張を繰り返し・・・。年度末一時金等の支給にてごまかす・・・。結果としてその壁を突き破り勝ち取った単組がごくごく少数であったことを忘れてはならない。あらためて徹底した総括の下に新たな運動の方向(組織力)を示さなければ毎年同じことの繰り返しであることは否定できない。
 結果として指摘できることは、春闘前段の学習や職場に依拠した要求作成、徹底した団体交渉を常日頃から『当たり前の活動』として実践している県産別 単組はベア獲得をはじめ、何らかの意義ある回答を得ていることが言えるのではないか。なぜ、意義ある回答が出なかったのかまたは、出させ得なかったのか。要求作成 学習内容 団体交渉そして、仲間の結集力等々徹底した2015春季生活闘争の総括が必要不可欠であることは言うまでもない。
 今日の私たちの活動は・・県産別の存在するところ・・直接に農団労に加盟している単組、様々である。よってひとからげに指摘することは、出来ないのかもしれないが総体として緊張感のない労使関係になっていることは否定できない。取り巻く環境が困難な時ほど先ずは交渉出来得る体制を確りと構築すること・・・。このことが原理原則であることを忘れてはならない。その交渉の中から勝ち得た結果に『仲間』は結集することを、忘れてはならない。系統組織に結集する者の処遇改善を一つひとつ丁寧に労使交渉を重ねル―ル化し、協定文書を求めていくこと・・このことが必要不可欠な取り組みであることを絶対に忘れてはならない。
 あらためて指摘するまでもなく、今私たちはさらなる歴史的な転換期の真っただ中に立っている。課題山積の中、いや課題が山積しているからこそ第一次産業労働組合の役割と責任その真価が問われていることを再確認しなければならない。そのためには今まで以上の労働組合運動が必要不可欠、徹底した総括を積み上げ、安倍政権が進めようとしている医療保険 労働者保護ル―ルそして農業・農協を『岩盤規制』だとして、大幅な規制緩和と市場原理主義の導入に対し、組織として毅然とした対応が求められている。
 7月24日からの農団労第28回定期大会に結集し、それらに抗する運動方針を確認し闘いに臨まなければならない。あらためて農団労運動に結集しよう・・・。

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2015”春季生活闘争・・あきらめるな

2015年3月

 あらためて、政府が農協の改革を推進するのは、なぜか。農協のあり方が大きく変わり、本来の役割が見失われたのではないか。だから、原点に戻すという論理である。原点とは何か・・組合員である農家の所得向上である。
 農家の手取りを増やすには、少しでも高く買ってくれる販売先を見つけることが一つ、もう一つは生産資材を農家に安く提供すること。両方ならば、なお良い。90年代以降この逆が起きて農業は縮小を続けた。地域の複合的変化、資材価格は上昇し、農産物価格は低迷した。

 こんな時こそ農協が農家と一緒に立て直しを図る時だ。ところが、と政府が主張。金融や保険などで稼ぐようになった農協は本業の経済・営農指導がおろそかになっている。
 しかも、全国中央会が地域農協に強い影響力を持って、創意工夫や自由な経営がしにくい。だから、全国中央会の持つ地域農協への監査権限廃止など改革を敢行し、准組合員利用規制や全農等の株式化することで一定の競争力を・・政府のおおまかな説明は以上のとおりでもある。

 だが、ここに論理の飛躍を感じる。地域農協の経営の自由度を上げれば農家の所得は上がるのであろうか。農協を中心に生産から加工、販売も手掛ける6次産業化や農商工連携を推進する。今回の改革で、こうした試みが、もっと柔軟にやりやすくなるのであろうか。全国中央会の影響力を排除すれば現場から斬新なアイデアが湧き出すのか・・。 確かに農業の活性化(再生)とそのための地域農協の存立のための革新は急務である・・長い歴史のある組織の意識改革はなかなか難しい。然し、私たちが考えておかなければならないことは、あらたな系統の複合的・構造的危機の中で系統の革新(再建)をやらなければ地域農業協同組合の崩壊は間違いない、ということ。

 今こそ、農協の立場からでなく利用者である農家組合員の立場で考える姿勢、地域農業協同組合としてコミュニティの再生の軸となる事業運営が確立できれば、農協の自己改革は大いに前進することは間違いない。農家組合員をはじめ地域の農協離れがすすむことを嘆くことよりも、彼らの農協離れを助長してきた私たちの遅れた頭の構造を反省すべき時である。今こそ農団労運動の農協革新運動の取り組みが問われている。
 2015”春闘は農業や系統組織改革の論議も対経営者側と交わらなければならない。農村部や過疎地域など地域ごとに役割は異なるが、農協は確りと自己改革を世間にアピールして、実行していかなければならない。そのためには地域協同組合で働く私たちの労働条件の向上は不可避である。働く者の士気の向上なくして地域再生はあり得ない。そのためには月例賃金の水準を引き上げること。また、労使間のル―ルの確立を図り労働時間や事業推進のあり方を明確にすること。さらには女性が働きやすい職場環境を確立するための啓発運動を強化し、メンタル意識を徹底すること・・等々、現下の大きな課題解決に向け労使が真摯に協議・交渉を積み重ね克服し、『人』を大切にする協同組合を取り戻さなければならない。そのことがまた、国内外の諸課題に抗することに繋がるのではないのか。

 2015”春闘要求は3月9日 現況を受け入れ『あきらめる』のではなくて積極果敢に要求し、経営陣と論じなければならない。あきらめることはTPPは勿論、農業・系統組織改革を認め現状に甘んじることでもある。農業再生 系統組織革新のカギは働く『人材』である。仲間の皆さん・・労働組合の要求に主体的に参加し、自信をもって要求・交渉、最後まであきらめず 粘り強く、頑張りぬこうではありませんか。

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2015運動の“開始”にあたり

2015年1月

 年末の総選挙・・決まらない政治の民主党政権より良いという印象を依然として国民がもっていることが、自公政権の勝利になり得た最大の要因であると推測する。世論調査などでアベノミクスへの評価、内閣支持率を見ると、今回の選挙結果のような支持は得ていない。結論的には、今が最大の勝機とみて、解散総選挙に打って出た安倍総理の狙いが当たったということであろう。
 然し、一方ではここまで引き続き議席を獲得し政権運営を維持すると必然的に慢心も出て人事などで不平不満が出始めるであろうし、何よりも安倍総理は解散という『伝家の宝力』はもう使えない。よって、ある意味では苦しい政権運営でもある。
 アベノミクスの是非を問うという解散だっただけに、アベノミクス政策は続けるだろうが、経済を上向きにする成長戦略は依然として見えていない。TPPや農業・農協、等々の改革は経済向上のための本質的なものではないことはあきらかである。
 アベノミクスが実行してきたことは、強いものをより強くすることで成長をめざすトリクルダウン型の政策でしかない。私たちが主張している政策は、『デフレ脱却には、疲弊した国民生活の底上げが不可避 よって、雇用不安、将来不安を払拭し、中小企業や非正規で働く者の格差是正を図ること ボトムアップ型の政策を運営すること』そのためには、働く者を踏み台にする『世界で一番ビジネスがしやすい』国づくりを進めるとして労働者保護ル―ルの改悪は見直すこと。
 いえることは、いまの安倍政権のめざす先に労働者が主張する『働くことを軸とする安心社会』の実現を求めることは困難であるということ。だからこそ私たち働く者の組織である労働組合こそが、一定の政治力をもって、『働くことを軸とする安心社会』に至る確固たる道をつくっていかなければならない。
 今回の選挙で指摘できることは、民主党は2年前に政権を失ったが、まだ改革には途半ばである。今の民主党ではアベノミクスの失敗や軍事的緊張などの危機が訪れても『民主党よりも自民党の方がまだまし・・・』と国民が思う可能性が残念ながら大きいであろう。民主党の再生を急ぎ信頼を取り戻さなければ、この国の明日はない。
 なかまの皆さん、私たちのめざす社会像と理念に最も近いのは民主党、その民主党の再生に向け全力で支援しようではありませんか。

 さて、2015”春季生活闘争の取り組みですが、この間の円安による物価上昇の一方で国民所得が追い付いていない。その結果依然としてデフレ脱却とはいえず個人消費の喚起が不可欠な現状にあることは否定できない。そのカギは中小労働者をはじめ約2000万人ともいわれる非正規労働者の格差是正をともなう処遇の改善にあることは間違いない。そして何よりも系統組織における事業の自爆等強制的なノルマ制度の改善、ともなう長時間労働の改善。そのために徹底した『共済事業改革 (付加収入基準の見直し、等々) 』を進めなければならない。且つ、昨今社会的に運動を進めなければならない全職員参加型のワ―ク・ライフ・バランスの実現。肝に銘じておかなければならないことは、系統に働く労働者だけが置いてけぼりではならないということ。
 この点では長時間労働からの脱却ができなければ、働き続け活躍できる社会への変革は難しい。そのためには職場内全体として意識改革に取り組むことが不可欠だ。長時間労働の要因として、『仕事量が多い』『会議や打ち合わせが多い』他には系統の特徴として『組合員との対応や懇親が多い』『急な呼び出し多い』ことがよく挙げられている。労使の枠組みだけで考えるのではなく、系統組織内全体として時間外労働をなくす取り組みを進めなければならない。

 なかまの皆さん――農業ならびに系統組織は今日、言うまでもなく歴史的な転換期の真っただ中に立っています。課題山積の中、いや課題が山積しているからこそ系統労働者組織の全国農団労の役割と責任、その真価が問われているし、従来の枠を超え知恵と行動をもって困難を乗り越えていくことが求められています。実際、中山間地や離島を中心に全国で過疎化、高齢化を進み、有識者による会議での発表によると、全国の約半数に当たる896市区町村が『将来、消滅の可能性がある』との試算結果を発表したこともあり、地方自治体の危機感は強まっている。同時に人口減少に悩む小規模自治体の多くが、地域の農協・協同組合に対し、『生活インフラ』の提供を望んでいることも、日本アブライドリサ―チ研究所(東京)のアンケ―トで明らかとなっている。農業分野でも『安心 安全な農産物生産』や『安定的な販路の複数確保』といった役割を農協に期待。相互扶助機能に加えて、市場経済の下での競争力強化支援なども求めているそうだ。経営効率を重視し、民間企業が店舗を相次ぎ閉鎖する中で、非営利組織の協同組合は市場万能主義と一線を画し、地域に密着した活動を継続して地域住民の利便性を支えなければならない。
 あらためて『地域』を破壊するTPP、ともなう農政と農協改革には反対ののろしを挙げなければならない。全国農団労に結集する仲間がその先頭に立ち頑張ろう・・その為に結成の原点を自覚し、いま一歩の運動に向け奮闘しようではありませんか。

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衆議院選挙――確かな一票を…

2014年11月

 安倍政権が衆議院の解散を宣言した。12月2日公示、14日投開票日である。デフレ脱却を確実とするため、来年10月に予定する消費税の再増税を先送りする。そのことの是非を国民に問いたいとも・・・。
 消費税率の再増税が困難になったのはなぜか。国民の反発が強いからに他ならない。その裏には、安倍政権の経済政策『アベノミクス』が始動しておよそ2年になるのに、多くの国民がなお景気の回復を実感できないことにある。特に地方ほど深刻な状況にあることは間違いない。
 例えば、生活一時金である・・・厚生労働省が発表した夏の一時金は23年ぶりに高い伸びとなった。
 然し、従業員の規模別に見ると大企業、中小企業、その他の企業と確実に減り町工場等では昨年比減となっている。平均では実態が見えない。結局のところ高い伸びを支えたのは大手であり、企業間格差は拡大しているのではないか。
 本来、安倍政権が期待するものは、景気回復は大手や都市が先行し、中小や地方に波及する。業績を回復させ従業員の賃金を増え、その分が消費に回る。そういう形で回復の波を広げデフレからの脱却を図り政権を安定させたい。安倍政権が目指す『トリクルダウン現象』だと、何時かの新聞で拝見した記憶がある。
 だが、どうか。発表された7月〜9月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は年率換算で1.6%となり、2四半期続けてのマイナス成長となり、エコノミストの予想を下回り、動揺が・・・この間の『アベノミクス』政策の円安株高の流れに乗った人はいいが、そうではない多くの国民はどうか。
 景気の回復の波はなかなか来ない。安倍政権の最も駄目なことは成果を宣伝し、すぐにも国民のみんなが良くなるといった過剰な期待を振りまき、『日本を取り戻す』などと繰り返したことである。
 今は新興国の経済成長と需要増で輸入品の食料などの価格が上昇し、経費が増えても競争相手が多いと簡単には値上げできない。よって昔のようには儲からない。
 特に原材料を輸入し、国内で製品し販売する企業ほど厳しい。円安が原材料高に拍車をかけているのが実体経済である。農業もまた、不振の要因は飼料や肥料、重油など生産資材価格が上がっているのに農産物価格は頭打ち傾向にあることは間違いない。
 戦後の日本は、国のGDPという意味では大きな発展を遂げてきた。ところがこの経済の発展が、ある意味において農山村と伴う農業や地方都市を衰退させ、大都市においても、孤立し、不安定な生活を余儀なくされる人々を増やしてきたことも事実である。経済発展のこの陰の部分の社会問題を解決するのが政治ではないのか。
 今回の解散総選挙の支持が拡がらないのは、多くの国民の総意とは異なるからに他ならない。国民が政治に求めていることは、この間の『アベノミクス』の経済成長がなぜ地域まで拡がらないのかを検証し、あるべき施策の下で日本経済を回復させてもらいたい、という願いではないのか。
 何れにしても、安倍政権が解散総選挙を選択した今、我々は『主張』で以って対応しなければならない。 第一次関連産業に働く仲間の皆さん・・・今回の衆議院選挙は安倍政権が大儀とする消費税の税率の先送りの是非このことのみが、争点ではない。争点をぼやかされてはならない。
 安倍政権が引き続き、過半数を占めたならば、白紙委任状を得たとばかりに消費税率を先送りしたり、やめたりできる『景気条項』の法案からの削除は無論、安倍政権の悲願でもある安全保障法案や原発等の再稼働など、我々の生活を直撃するTPP、農業・農協等改革に走ることは間違いない。
 今回の総選挙は我々の基盤を取り戻すか否かの大切な選挙、確りとした意志の基に一票を。
 また、時期的には秋季・年末闘争と重なり戸惑っている県産別あるいは単組であると考える。メリハリをつけるためにも11月中の一定の労使確認を目指し奮闘願いたい。あってはならないことは14日の投開票後などとの経営者側の思惑な戦術には振り回されないこと。特に、年末一時金は生活一時金であることを忘れない対応を・・・。
 最後に、農団労組織内の篠原候補の必勝に向け奮闘いただく長野県農団労の皆さんに敬意と感謝を申し上げなければなりません。
 今や篠原候補は我々のみならず系統組織にとっても生命線です。全国の仲間の皆さん、親類 友人 知人等がいればお願いをしようではありませんか。・・・最後までの奮闘をお願いします。
 『 篠原候補 長野選挙区 第1区 』

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2014年度の運動開始にあたり

2014年8月

 仲間の皆さん・・・定期大会が終了し、2014年度の運動がはじまりました。今年の大会は地域農業にともなう系統農協の在り方をどうすべきか、等々の議論に特化した重要な大会となりました。あらためて農協の基本的役割は総合事業にあります。それは生産資材の供給 農産物の販売をしている貯蓄信用組織であり、共済(保険)の取り扱いであり、生活物資の供給センタ―でもあります。さらに医療サ―ビスや、ある地域では病院での診療や治療も提供しています。農家等に対しては営農ならびに経営指導もし、文化活動のためのコミュニティ・センタ―等も運営しています。もし総合農協、事業がなければ農家の生活や地域社会全体は、まったく異なったものとなっていたことは論を俟ちません。
 その役割をとおして期待されているのが、農業振興であり、食料の安定供給それから地域の再生ではないでしょうか。簡単に言えば、『農業 食料 地域に全面的に責任を持って振興させていく。あるいは安定的に供給していく。そのために農協のいろいろな事業機能を使って提供していくという形が、今日的な農協の役割と機能の関係ではないのか』と考えています。ここで考えていただきたい構図として、農業のベースには常にコミュニティ―が存在しているということです。そのような共同体が存在してはじめて農業が成り立つということです。当たり前の事実ですが、さらにこのベ―スに農地があり自然がある。私たちは農業についていろいろと議論するわけでありますが、このベ―スにある地域のコミュニティ―、さらには自然や農地などの部分も含めて農業をしっかりと捉えていく必要があるのではないかと考えています。逆に言えばそういう構図のなかで農業協同組合がどのようにかかわっていくのかが問われているのではないでしょうか。
 農業の世界で言えば、まさに自給率がカロリーベースで39% あるいは農業では、経営がなかなか成り立たないという現状があります。コミュニティ―の領域で言えば、高齢化が進み、限界集落化が進んでいる地域もあります。さらに農地が減少する、あるいは自然環境が、非常に希薄になってきている。このような現実的な問題を抱えるなかであらためて農協の役割も求められていることは間違いありません・・・何れにしても、この様な現状が今日の農協ととりまく地域の実態ではないでしょうか。問題なのは、なぜこの様な実態におちいったのかということです。地域の現状で言えばこの間の市場原理主義社会の中で各規制が撤廃され競争社会に地域の商店街などがたちうち出来得なかったと考えています。特に小泉政権による『大規模小売店舗法――大型店舗法』の改正等々は、その一番の要因ではないでしょうか。農業で指摘するならば1985年以降この間の農政や系統組織、30年間を検証すれば理解できますが・・・。1985年のプラザ合意を起点とする国際化農政のはじまりにあることは否定出来ません。この様な80年代以降のグロ―バル化の流れが、農業と農協の構造的 複合的変化を加速させ自由化と地域変化そして、日本経済の変化と雇用の流動化が、今日の日本の地域間格差状況に繋がっているのではないでしょうか。

 そして今、TPPや産業競争力会議・規制改革会議での議論を経て安倍政権の新成長戦略は、協同組合の運動や事業を否定し、人と人のつながりによる地域連帯経済よりも市場原理――利潤第一と効率優先な社会をあらためて目指していることは否定できません。
 農協労働運動の社会的使命でもある――安心して暮らせる地域社会の再構築に向け今奮闘しなければならないときです。全国農団労に結集する全ての仲間が『農業と農協革新の方針』の下に団結し、人が人らしく生きることのできる社会を目指し、運動に邁進するときです。2012年は国連の国際協同組合年、2014年の今年は国際家族農業年です。家族農業の在り方を今一度考え、新自由主義的なものの考え方に未来があるのか否か・・・農業協同組合に結集する労働者だからこそ地域づくりが可能であることを自負し、頑張りぬきましょう。

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14”春闘総括を徹底し第27回全国大会に結集を!

2014年6月

 3月の要求書提出から今日まで働く仲間の労働諸条件の改善に奮闘されてきた仲間の皆さん大変お疲れ様です。
 既に総括が徹底している単組、未だに総括までもいかない単組、様々です。然し、『総括なき労働組合に運動の前進なし』、古くから指摘されている言葉です。必ず徹底し、さらなる活動の飛躍を誓いあうことが肝要です。
 2014春闘”一言で主張するならば今年も従来型の闘争の域を出ることはなく相手に合わせた労使交渉であり、いつもと同等な単組のみが有額回答を得たということではないでしょうか。確かに好業績の企業を中心にベアを獲得したところも多く『賃金は上がらない』というこの間の常識を覆したことは評価しなければならないと思います。然し、この背景には労働分配率の水準がリ―マン・ショック前の水準に匹敵する程度まで回復していたことや、昨年からの政労使会議において政府による賃上げ要請が行われるなど賃上げのム―ドが高まったことが大きいことは否定の余地はないと考えなければなりません。
 一定程度は、賃金・所得の改善こそがデフレからの脱却・持続的な成長への好循環をもたらすものであるという労働組合側の主張に一定程度理解を示す経営者側の発言も聞こえていたことは事実ではありますけれども・・・。
 然し、私たち系統の労使交渉は、いざ賃金改善やベ―スアップとなると『置かれた環境が厳しく 労組側の要求に 応えるのは厳しい』 『雇用を優先することを考えなければならない』 『経営体質を強化するためには総額人件費の適正化が必要』などという従来の主張を繰り返し・・・。その壁を突き破り勝ち取った単組がごくごく少数であったことを忘れてはなりません。徹底した総括のもとに新たな運動の方向を示さなければならないと考えています。その場合肝心なことは、現行の労働組合の交渉力と組織力についてではないのかと考えています。何れにしてもこの現況のなかで全国農団労の春季生活闘争は闘ってきたということです。
 結果として指摘できることは、春闘前段の学習や職場に依拠した要求作成、徹底した団体交渉を常日頃から『当たり前の活動』として実践している単組は、ベア獲得をはじめ意義ある回答を得ていることが言えるのではないでしょうか。
 実際、今日までのベア獲得単組である長野県農団労 福岡県農協労 徳島県農協労連、等々のこの間の取り組みを検証すると、徹底した要求理論と全体労組員への周知徹底、その上での事務折衝ならびに団体交渉を重ね、ここ数年ベアを勝ち取っています。頑張ったけれども結果としてベア回答が困難であった単組の皆さん、”なぜ”意義ある回答が出なかったのか、または出させ得なかったのか・・・、要求作成 学習内容 団体交渉、そして仲間の結集力などなど徹底した2014春季生活闘争の総括が必要不可欠であることは必然です。
 今日の私たちの活動は、県産別の存在するところ直接に農団労に加盟している単組、様々であります。よってひとからげに指摘することは出来ないのかもしれませんが総体として緊張感のない労使関係になっているのではないでしょうか。第27回全国農団労定期大会において徹底した総括論議、その上で中長期的な運動の方向、さらには農政と農協の在り方について議を深めようではありませんか。
 今、この6月の政府の成長戦略に向けて具体化されようとしている系統農協 農業生産法人 農業委員会等をはじめ農政改革、また労働法改悪等々、そのすべてがTPPを見据えた米国流ではないでしょうか。貿易の自由化 行政介入の最小化など市場原理の徹底を目指すTPPは、安倍政権が目指す『成長戦略』の前提でもあります。『自由競争と効率化』の政策が推し進められれば必然的に『共生と協同』に価値観を置き地域を護るべく協同組合は冷遇されることに繋がるのではないでしょうか。だからこそいま、協同組合の原点である地域 = コミュニティとともに存在する『事業の在り方』を追求しなければ生き残ることは出来ません。
 全国農団労の出番でもあります。今日までの運動そして活動に自信と確信を持ち奮闘しようではありませんか。第27回全国大会に結集し強固な組織構築を目指そう!!

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2014”春季生活闘争の勝利を目指して

2014年3月

 3月3日 私たちの暮らし、働き方、労働諸条件の改善をめざす春闘がはじまりました。先ず指摘しておきたいことは、安倍政権の賃上げキャンペ―ンと、それに追従せざるを得ない労働界のベア要求方針、それによって膨らむ組合員の期待感・・・冷静に判断しなければなりません。この間の円安効果によって関連する大企業がベア回答を進めているだけであり、99%の中小企業等は厳しい現況の中にいることは間違いない、という事実であります。あらためて私たちは、『地に足をつけた』運動展開を実践しなければなりません。
 日本の労働者の賃金は、1997年をピ―クに下落傾向を示し、民間労働者4600万人 (年間を通して働く労働者) の平均賃金年収額は408万円で、1997年の467万円より59万円も下回っています。確かに、『経済のグロ―バル化による途上国との価格競争 産業構造の変化 事業所等の海外移転があるから、一定の賃金下落はやむなし』という見方もあります。然し、それはおかしいということを主張しなければなりません。経済協力開発機構(OECD)の統計をみると、同じくグロ―バル経済化にある他の国々では賃金は上昇しています。長期に及ぶ賃金の下落は日本だけであるということです。
問題はなぜ、日本の賃金だけが下落しているのかということです。ポイントは2002年2月から2008年2月は、『いざなみ景気』の下にありました。その期間ですら賃金は下がり、大企業を基本として内部留保をため込んだことにあります。短期利益の最大化や株主利益を重視する経営に舵を切り、競争力の源泉である『人材』への投資を棚上げしたことです。逆に言えば、この間の労働組合の要求自粛 格差賃金等の放置ならびに非正規への対応、社会的には組織率の低下と職場内における労働諸条件波及システムの欠如、などなどが考えられると推測されます。その結果雇用形態として何が起こっているのか・・・。
 いま、働く人の3人に1人がパ―トやアルバイト、派遣などの非正規労働者です。バブル崩壊とともに増え続け、昨年2000万人を突破し、企業にとっては都合のいい雇用形態となっています。終身雇用の正社員を増やすと人件費がかさむ、短期契約の非正規社員は業況に応じた雇用の調整弁、しかも賃金や社会保障費などの経済抑制効果にも・・・。
 そのしわ寄せは当然、働く労働者側に。非正規の割合が高い若年層からは、将来が不安・心配で結婚や出産には踏み切れないでいる人が多いと聞きます。
 企業が正社員をどんどん非正規社員に切り替えないよう、労働者派遣法は派遣期間を最長3年と定めています。然し政府は、労働市場を活性化する成長戦略だという主張のもと、同法を改悪し、来春から無期限の派遣継続を可能とする方針を固めています。これでは不安定な立場の労働者が増えるだけではないでしょうか。
 2014”春季生活闘争は格差の拡大を是正し、働く者が安心し暮らせる社会の実現に向けての第一歩のスタ―トにする生活闘争にしなければならないと考えています。そのためにも結集するすべての単組が月例賃金の引き上げにこだわること。正規、非正規、未組織への仲間とも連携し、働く者の賃金や労働諸条件の底上げと格差の是正を図ることが最も重要です。
 団体交渉を徹底し仲間の働く者の『声』を経営者にきちんと伝えること。徹底した団体交渉で『実』を取ること。そのことが系統組織の生き残るための『人材』の確保と育成につながることを認識すること。
 2014”春季生活闘争は、競争力の源泉である人への投資が優先されなければならない・・・系統組織生き残りのためも奮闘しよう!!

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2014年 系統組織に結集する仲間のみなさんへ

2014年1月

 新年あけましておめでとうございます。委員長挨拶で一番悩むのが新年の挨拶です。そこで今年は、TPPなど取り巻く現況などについては農団労方針を確認いただくこととし、あらためて、『事業改革 = 仕事の在り方を考えること』である、ということについて訴え新年の挨拶とします。
 先日、ガソリンスタンドで『ワックス洗車200円』、そんな広告が目に入った。『おや随分安いな』、そう直感した。最近はあちらこちらでコストダウンが進みセルフ方式の導入などで100円の洗車場も珍しくない。ところがよく見ると、なんと読めないほどの小さな字で200円の広告の一番下のほうに、『○○引き』と書いてあるではないか。昔から手堅く商売をしてきたことで知られる老舗だけに、人目を引きさえすれば良いと言わないばかりの姑息な商法には驚いた。
 洗車も終わり支払いの時に驚いて広告をよく読めば200円でワックス洗車ができるとはどこにも書いていない。然し、広告を見たほとんどの人が200円でワックス洗車ができるものと思い込んでも何の不思議もない。実際に洗車をし終わってはじめて自分の不注意に気づくことになる。そして、『二度とここには来ない』と決心するに違いない。このスタンドはたった一度の来店で顧客を失うことになる。意図的ではないまでもこのような姑息な事例を最近あちこちで目にする。結果的に消費者を欺きかねないこのようなまやかし広告は自粛すべきではないだろうか。
 また、こんな話を聞かされた事がある。長く使ってきた腕時計の文字盤に水が入ってしまった。昔から有名メ―カ―の代理店として幅広く商売しており、最近派手な宣伝をしている老舗時計店に修理を依頼しようと訪問した。店にいたのは若い男女の店員2名だった。『3日間ほどお預かりします』との返事だった。時計がなければ不便なので言った。『この場で直してもらえませんか』。返事はつれない (愛想なく) ものだった。『外注に出しますので無理です』
 埒があかない。出直すことにした。すぐ近くにも地味な代理店があったことを思い出しダメでもともと、同じ依頼をしてみた。年老いた店主が言った。『10分ほどお待ちください。すぐに直しますよ』、しばらく待って老店主による修理が終わった。『助かりました。お幾らですか』、意外な返事が返ってきた。『いえ、いえ、結構ですよ。請求するほどの修理ではございません。また、何時でもおいでください』。さっきの店とは・・・。少子化・労働力不足の予測が叫ばれている昨今、この老店主のような熟練者がまだ残っている。本当に大切にしなければならないことは若い者だけではないことを実感した。こんな内容の事を聞かされたわけだ。
 いま、世間の傾向として製品に欠陥があったり行動に間違いがあっても、直接そのことに触れたくないときに使われる。『不具合、とか、不適切』という極めて曖昧で便利な言葉がある。欠陥や失敗行動を認めると損害賠償責任が生じたり、場合によっては地位が危なくなったりする。だから、あえて曖昧に、『不具合、とか、不適切』と言って自衛本能で当面の責任から逃れようとするように見えるのである。実に情けない。事業・商売がますます難しい時代となった。阪急阪神ホテルズ以降、社会問題化した。ホテル、デパ―トなどの飲食店において発覚した『食材偽装』事件における対応もその典型的な例である。本当に大切なものは何かを各人が見極める必要がある。
 同時にわれわれが考えなければならないこと。それは、事業改革 (戦略) をすすめるということはわれわれ自身の仕事の在り方を考え直すことでもある。個々人の仕事の洗い直しによる改革 (戦略) をすすめることである。
 貿易の自由化、行政介入の最小化など市場原理の徹底を目指すTPPは、安倍政権が目指す『成長戦略』の前提でもある。『自由競争と効率化』の政策が推し進められれば、必然的に『共生と協同』に価値観を置き地域を護るべく協同組合は冷遇されることに繋がる。だからこそいま、協同組合の原点である地域 = コミュニティとともに存在する『事業の在り方』を追求しなければ生き残ることは出来得ない。
 全国農団労の運動基軸である『農協革新――事業改革 地域農業再建』ますます重要課題だ。この間のわれわれの『革新』運動があればこそ今日の系統は持ちこたえている――自信と確信を持ち運動を推し進めることが求められている。

 さいごに昨年の終盤国会における『特定秘密保護法案』について強く指摘しておきたいことがある。この間の国政選挙で自民党の公約に秘密法案の文言はないということである。総合政策集で『国家安全保障会議の設置』の項目の中に『情報安全に関する法整備』などと抽象的に触れただけだ。
 よって当然、選挙の争点にはならず、有権者の判断材料ともなり得ていない。安倍総理は臨時国会の所信表明演説でもなんら言及していなかった。
 これほど重大な問題をはらんだ重要法案にもかかわらず国民の前には唐突に表れ、衆参両院での採決の強行という非常手段で成立させた。ねじれの解消でうたった『決められる政治』とはこのことだったのか・・・。 国家の、あるいは国家間の機密を守るためならば国民の『知る権利』などを大幅に制約することもいとわない。もし、そんな考え方であるならば本末転倒ではないのか。
 少なくとも、無謀な戦争と無残な敗戦を教訓に据え、憲法を基軸に自由で民主的な市民社会を一つの理想として追い求めてきた戦後の歩みとはおよそ相いれない。
 確かに私たちは、無謀な戦争からの戦後の歩みを知らない世代ではある。だからこそいま、『暴走する政治』には私たち国民が主権者として異議を申し立て歯止めをかけなければならない。今日労働組合の活動も多様化していることをあらためて肝に銘じよう・・・。
 兎にも角にも、新年と同時に2014”春季生活闘争の開始頑張ろう!!

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あらためて・・特定秘密保護法案の廃案の運動を・・・

2013年11月

 先日、特定秘密保護法案の廃案に向けての集会に参加した。あらためて、何が秘密かわからないまま、政府の恣意的な判断にて情報統制が進みかねない法案であることを感じた。野党2党が修正合意したとはいえ、危険性の本質は何ら変わってはいない。
 本来、法案成立に向け与野党が知恵を出し合い、より多くの国民に支持されるよう改めることが修正協議の本来の姿であろう。日本の基本的人権また知る権利を逸脱しかねない重要な法案であればこそ一層であることを強く訴えておきたい。
 そこで問題点として日本維新の会やみんなの党などが主張している点は、@第三者のチェック『政府は指定や解除の基準策定の際に有識者の意見を聴く』 A国会への情報提供『国会が秘密会などにより公開しない場合、閣僚らが特定秘密を提供可能』 B秘密指定期間『原則30年以内。30年を超える場合は内閣の承認』 C秘密指定できる主体『全ての行政機関』、などの政府原案に対し、秘密を指定できる行政機関についての修正案では、法施行時には政府案のとおりに全ての行政機関が指定できる。ただ、施行から5年間で特定秘密を保有しなかった行政機関は、指定権限を失うという規定を盛り込んでいる。然し、5年間特定秘密を指定しなかったということは、そもそもこの法律が必要ない行政機関といえるのではないのか、また指定期間を失いたくない行政機関が無理してでも指定の実績づくりに走る恐れさえある。さらに、問題は必要性が認められれば復活できる条文も盛り込まれている。
 秘密指定の解除については、政府は当初、原則30年という表現で理解を得ようとしていたが、30年をプラスして『60年を超えて指定できない』と修正した。但し、それにも7項目の例外を示した。例えば、武器や暗号、人的情報源などに加えて、最後に『これらに挙げる情報に準ずるもので、政令に定める重要情報』というくだりを入れ、その『政令』がどんなものかは不明で、『準ずるもの』ではいくらでも拡大解釈でき危険性が増す。さらには、60年規定では秘密が永久に明らかにされず、歴史的検証にさらされない懸念が強まったとしか言えない。
 指定が妥当だったのかをチェックする第三者機関の設置も焦点になっていたが、法案の本文ではなく、附則に設置を『検討する』と盛り込まれたけれども、いつ、どんな組織になるかは書かれておらず、意味を持たないのではないのか。実際、過去にも附則で『検討する』として、無視された法律は多々存在する。
 などなど、幾つかの点を挙げるだけでも問題点がありすぎる法案でもある。
 一方、われわれの支持政党でもある民主党は、秘密の範囲を外交と国際テロに限定するとともに、秘密指定の適否を調査できる第三者機関の設置などを求める対案を衆院に提出し、与党政府との修正協議に入っている。
 然し、短時間の修正協議でこの法案が根本的に改まることは不可能ではないのか。国民の多くが将来の日本のあり方を心配し、脱原発に勝るとも劣らない反対集会のうねりがあることを忘れてはならない。
 1972年の沖縄返還に伴う日米密約を暴いて国家公務員法違反の罪で有罪判決を受けた元毎日新聞記者の西山氏は、今なお密約文書の存在を認めない(米国は認めている)政府を厳しく批判し、『政府は必ず隠す』と述べ、国家機密が無制限、恣意的に拡大することへの強い危機感を訴えている。
 主張できることは今国会で廃案にして出直すべきであるということである。
 最後に、最近の安倍総理の演説など発言を聴いてみると、経済は確実に回復しつつあるということの連呼で、そこに国民の目を引きつけながら、自分たちの都合のいいように政治を私物化していくやり方に思えてくる。そのひとつが特定秘密保護法案であり、原発事故によってもたらされた現実を直視しない原子力政策である。さらには解雇しやすい雇用制度を特区などと交えながら作ろうとしていること、また社会保障制度の変更とかTPPや農業(農政)政策にも同じことがいえるであろう。
 国民に寄り添い、国民とともに考える姿勢がなければ、国民は次第に国家というシステムを信用しなくなっていくことは論をまたない。われわれも姿勢を明確にし、運動展開することが肝要である。TPP問題も含め正念場である、撤廃に向け奮闘しよう!!

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いま、改めて組織の総力を… 2013”秋・年闘争の開始

2013年10月

 新自由主義の最終地点が全品目の関税撤廃を原則とし、金融や保険など幅広い分野の規制緩和を目指すTPPに他ならない。日本がTPPに最終的に参加となれば、弱肉強食の社会が更に加速することになる。この間指摘されてきた通り2日間とはいえ、7月の参加以降政府はTPPについて具体的な情報開示は無論、何一つ進捗状況を説明していない。それどころか米国とタッグを組み10月決着の橋渡しをやろうとしている。全く以って理不尽極まりない。
 改めて国会批准のその日まで『阻止』の運動強化を徹底しなければならない。この間のTPP反対運動の総括と今後の阻止運動に向けての取り組みは我々の秋季活動の重要な一つでもある。
 また、政府の規制改革会議が設置した農業WGにおける『農協の在り方』・『農地法の改正』、等々の議論を本格化し、2014年6月を目途にその方向性を定めるとしている。然し、この流れはTPP参加を前提にした規模拡大、つまりは生産性向上論であり、書記規模農家の切り捨てや地域コミュニティの破壊に繋がることは間違いない。当然その先には農協事業改革も例外ではなく、日本の農業と同時に系統組織もその生き残りをかけた正念場の時でもあることは間違いない。我々の運動の基軸である『地域農業再建』と『農協革新』運動を更に強化し、働く者の意見反映を急がなければならない。そのための第一弾としての運動である秋季・年末の取り組みが10月15日の要求提出を以ってスタートする。
 系統組織は事業総利益の低下を事業推進の強化と経営の減量化(事業管理費総抑制政策)で補う経営手法を基本に進めてきたことは論を俟たない。このことは同時に組織・事業の両面に亘って縮小均衡を齎し、組合員への奉仕や食料の安定供給という農協の目的達成を阻害しているだけではなく、多くの中途退職者を生む要因となっている。また、増大するメンタルヘルス不全の温床となっていることも間違いない。協同組合としての存在意義や、協同組合に働く喜びを実感するためにも労働時間管理や事業推進のあり方についても抜本的に見直す必要がある。この間の経営手法が『農協運営=働く者の活力を奪っている』ということを忘れてはならない。そのために先ず必要なことは、労使が危機感を共有出来得るか、否かが大きなカギを握る。
 2013秋季・年末の取り組みを開始するに当たって現行の労使関係を考えること。考えてみれば我々が直面している課題は、対経営者にも共通している『共済事業の改革・特例年金の処理問題・事業の構築』等々・・・。但し、その解決の手法が多少異なっているために職場混乱を齎していることもこれまた事実である。
 改めて労働組合とは何か。弱い者の連帯の組織である労働組合が担う労働運動の根本的な使命は、社会(組織)の不条理に対して異議を申し立てることにある。不条理に対して闘う姿勢を持ち、行動することが労働組合という組織の使命なのである。問題なのは何に異議を申し立て、何を守る運動なのか、その活動(労使交渉)の姿が多くの仲間には見えてこないことに最大の弱点がある。
 労働組合の軸足は企業(組織)別労組にある。協議・交渉する集団的労使関係は企業(組織)別にある。そのことを見失ってはならない。それを克服するために県産別や全国産別がある。この『当たり前の労働組合活動』を実践することこそが見える労組活動に繋がることを肝に銘じること。
 2013秋季・年末の取り組みは2014春季生活闘争の前哨戦でもある。我々が求める『要求』は職場の仲間に依拠しているのか否か・・・改めて考えること。その『要求』に職場の仲間は結集する。具体的な不条理と闘う姿勢をどう見せていくのかが大きな課題ではないのか。
 最後に全ての仲間のみなさん・・・執行部は常に真剣に『実現』に向け奮闘しています。みなさんに出来ることは『結集』するのみ。共に頑張り抜きましょう!!

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農団労運動の方向に向け新たな一歩を…

2013年8月

 全国農団労に結集するなかまのみなさん、この1年間の運動の総括に基づき決定された、向こう1年間の運動方針が7月開催の定期大会にて確認され、年間の活動が始まりました。その運動の実践に向け各県産別・単組の執行部のみなさんの頑張りを、改めてお願いする次第です。

 大会でも指摘しましたが、いま時代は、経済・社会保障・企業経営と運動、そして協同組合と農業・労働組合あらゆる点で運動の転換が求められています。このことを認識し労働組合活動を実践しなければなりません。現在を『非常事態』ととらえて組織の『体制――かたち』『発想――きもち』を一新出来得るかが協同組合に働く労働者の生き残りの鍵となることは間違いありません。
 組織の体制と発想の強化の点として改めて労働組合の役割(活路)について確認しておきたいと思います。

 これまでの労働組合の役割とは、労働条件の維持向上・雇用保障・組合員への福利提供が直接的には主であったと思います。然し、今日の取り巻く環境はそれに加え、@コーポレート・ガバナンスの一躍を担うこと(コンプライアンスの徹底 不祥事撲滅のための徹底運動) A攻めの雇用保障 = 組合員の能力育成 B社会的な運動への機能強化(展開方策の徹底)、にあることは間違いないと考えています。
 実際、この間の系統組織も含め企業等の不祥事は労働組合と大きく関係しています。組織経営に対するチェック機能がおこなわれていないことにあることは否定出来ないのではないでしょうか。
 日本型コーポレート・ガバナンスの構築は、労働組合の力量にかかっていることを認識する必要があります。伝統的に良質な労組役員を養成してきた組織は労働組合が組織経営へのチェック機能の役割を果たしてきました。この事実は系統組織においても注目に値するのではないでしょうか。
 そういう点においては現場をよく知っていることが労働組合の強みであるということ。労働組合役員はもっと現場に出向き組合員と意見交換の場を持つ必要があるということではないでしょうか。逆に組合員はもっと労働組合役員に現場の現況を訴えなければならないということです。
 攻めの雇用保障として私たちは更に社会的に通用する能力を高めることが必要であるということです。いま担当している仕事をより価値の高いものにすること。このことに対する労働組合としての役割を発揮しなければならないのではないでしょうか。そのために仕事の価値を高めるための『発信』を強化することだと思います。社会的運動強化として私たちは更に『社会正義への追求』を徹底することも重要です。
 労働組合とは社会の財産、だからこそ価値を高める努力が大切なのではないでしょうか。政治への影響力・ボランティア活動・常に正社員を雇用し、一人前の職業人に育てるよう組織に働きかけること。そして何よりも、労働組合の組織拡大と強化を目指すことが肝要であると認識しています。

 全国農団労は結成26年とまだまだ未熟ですが、第一次産業関連を代表する組織としてこの間培った歴史と伝統の上に運動を実践しなければなりません。冒頭指摘した『転換』期の中にある今、奮闘しなければならないことは周知の通りです。
 安倍政権におけるTPPへの参加阻止の幅広い運動強化、更には成長戦略という名の農業の構造改革の問題点の洗い出しと国民への訴え等々、課題は山積しています。
 この1年の運動と活動を確りと総括し、向こう1年の前進を期そうではありませんか。全国農団労に結集するみなさんの頑張りに期待し、活動開始の呼びかけとします。

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農業・農協の大転換期の時代へ
総括論議を踏まえ、これからの方向を

2013年8月

 2013”春季生活闘争もほぼ終結した。春闘の結果としてはアベノミクスの効果は言われていたほど、反映されてはいない。逆に中小・零細企業は、海外からの輸入に頼る燃料の高騰で物価の値上がりがジワリと経営を直撃し、厳しい環境にあることは否定できない。
 実際、日銀がまとめた4月の輸入物価指数は6カ月連続で上がり、今後の不安材料となっている。

 また、景気の本格回復の指標となる民間設備投資も連続の減少で、公共工事向けの建設関連や輸出企業には前向きの動きがあるとは言えるものの、企業が積極姿勢に転換しているとは言い難い。
 このことが2013”春季生活闘争に反映されたことは間違いない。

 デフレ脱却の絶対条件でもある個人消費も楽観できない。株などの資産を持たない層の消費が伸びるためには、賃金の増加が不可欠だが、厚労省の勤労統計調査によると、3月の現金給与総額は2カ月連続で減少している。
 このことは、人口減などで日本市場の成長が見込めないため、企業の慎重姿勢が変わっていないことを表している。賃金が増えない中で物価が上がれば、個人消費を下振れさせる恐れがある。

 何れにしても、この現況下、全国農団労の春季生活闘争も闘ってきた。結果として指摘できることは、春闘前段の学習や職場に依拠した要求作成、徹底した団体交渉を常日頃から『当たり前の活動』として実践している単組はベア獲得をはじめ、意義ある回答を得ていることが言える。
 長野県農団労のながの農協労組では徹底した要求理論と全体労組員への周知徹底その上での事務折衝ならびに団体交渉を重ねここ数年ベアを勝ち取っている。
 福岡県農協労組の福岡市東部、福岡嘉穂、福岡八女単組のベア回答等を見てみても、春闘前段での各労組員への学習等を通した春闘への呼びかけがずば抜けている。特に福岡八女単組では労組員数約500名に対し、なんと結集率は90%を軽く超えている。福岡嘉穂単組では事業推進そのものには春闘が終結しなければ入らないという徹底ぶりだ。
 徳島県農協労連でも春闘前段の活動として各単組への学習に時間を費やしている。その結果が幾つかの単組へ如実に表れている。

 なぜ、意義ある回答が出なかったのかまたは、出させ得なかったのか。要求作成、学習内容、団体交渉そして仲間の結集力などなど、徹底した2013”春季生活闘争の総括が必要不可欠である。そのこと抜きにして幅広い裾野根のある運動は出来ない。
 いま、農業や系統組織はTPPへの参加問題に表れるようにその厳しさは凄まじきものがある。安倍政権の成長戦略における農業政策には、農業効率化や農産物輸出拡大、農業・農村の所得倍増などバラ色の目標が並ぶ。
 然し、具体的な政策を積み上げたものではなく、実現可能性には疑問符がつくことは否定のしようがない。TPPへの参加に反対する農家への配慮であることは見え見えである。

 本来、農業生産額がここまで減少したのは輸入規制緩和の影響であることは明らかであり、TPPに参加する限り、成長戦略の実現は不可能であることは間違いない。安倍政権は、『コメの輸出拡大』を掲げている。今でも香港や台湾などには輸出されているが、農業者の手取りは国内販売の6割程度で、大規模経営でさえも、経費をまかなうのに苦労している。農業者に、輸出幻想を振りまくのは間違いである。
 更には、効率化の前提である農地集約には農地整備のために何千億円の予算、経営所得安定対策等の予算などものすごい現金が必要となる。安倍政権はこれらの予算的考え方には未だ具体的に示していない。

 いま、農業者に示さなければならないことは、バラ色の目標ではなく安心して子どもたちに未来を託せる施策、つまりは経営や市場感覚を持った農家の育成、6次産業化の推進とそのために資金調達制度を整えるなどの課題を克服するための施策ではないのか。
 それなのに安倍政権は規制改革と称し、非正規雇用者をさらに増やそうとしている。これでは縮小するパイの奪い合いとなり、農家の食品関連企業に対抗できる環境は出来ない。

 そういう点においては、私たち第一次産業関連に従事する労働者・労働組合としてその活動展開は明確になっている。今日までの労働諸条件の維持・向上その上での農協革新運動、プラス攻めの農業再建運動を推し進めようではないか。

 その運動実現のためにも農業に対する制度・政策は重要課題である。7月の参議院選挙如何によっては、TPPへの最終的参加問題をはじめ農業政策の成長戦略等、一挙に動き出す可能性を秘めている。私たちは政策を確りと検証し、一票を投じなければならない。先ずは、確実に参議院選挙に参加することである。

 この間、准組合員が正組合員を人数的にオーバーしたことを問題視する論調があるが生産と消費の社会的な連帯を考えれば、この数的な逆転現象はむしろ当然のことであって農協運動が地域で正当に評価されていることの証しであると考えられる。

 全国農団労の常日頃の活動に改めて自信と確信を持つこと。
 第26回定期大会は7月26日〜27日開催される。総括のもとに運動方針を議論し、新たな全国農団労の運動を創造しようではないか。
 その運動を創造する前提して『当たり前の労働組合運動』があることを忘れないこと
―――運動前進に向け全国定期大会への結集を。

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TPPへの参加表明に断固反対し、運動のさらなる強化を!

2013年3月

 2013年3月15日、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉の参加表明を安倍総理はおこなった。然し、このTPPは食料・農業の崩壊だけではなく、国民の生活そのものに直結する『経済連携』なのである。何らの情報の開示もなく且つ、国民的な議論も行わずに参加することはこの国の崩壊(更なる格差の拡大となる)を意味する。断固糾弾する。同時に参加の撤退を求めなければならない。

 なぜ安倍総理は農業団体や医師会などをはじめ多くの支持団体や国論を二分する声がある中で参加表明を急いだのか…。一つは米国からの圧力に他ならない。また、一つは国内の経済情勢だと指摘されている。つまりアベノミクスを積極的に打ち出すことにより日本の景気低迷からの脱却をさせるとしている。そのためには円安を進め輸出促進により経済の活性化を図ることであるからTPPに入ることにより日本の輸出拡大の原動力とすることである。更には米国主導による中国への対抗としてアジアによる経済主導権の獲得では…とも指摘されている。日本は米国主導のTPP交渉に参加表明したことは明白である。

 安倍総理は自民党のTPP対策委員会がまとめた決議文に対し、『強い交渉力で結果を出していく 日本の食と農を守ることを約束する 日本の皆保険制度は守る 政権公約、国民との約束は必ず守る』『私を信用してほしい…』などと記者会見で述べた。
 然し、参加表明した要因が前述したことにもよるとするならば、米国に対し、毅然とした態度で国内の農業分野をはじめ様々な諸制度の堅持をすることが可能なのであろうか。現実に牛肉の問題にしても、米国の自動車関税の問題にしても当面維持することを受け入れているではないか。既に、自動車業界からは、『米国の自動車関税がいつまでも撤廃されないのであれば、何のためのTPPへの参加なのか』という声もあり自動車業界からの失望感もある。

 安倍総理は先の共同声明で『交渉参加に際し、一方的に全ての関税撤廃を予め約束するものではない』と確認しているとしているが、先行国の基本的な考え方として、@包括的で高いレベルの貿易自由化を約束する A合意済の部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さない B交渉の進展を遅らせない、という条件が付いている。この3条件は、先行している米国、豪州、シンガポ―ルなど9カ国が議論し、日本政府は昨年の段階で確認しているとされている。事実、安倍総理も記者会見にて『厳しい立場にあることは厳然たる事実である…』としている。


 そもそも日本経済はすでに20年間に渡り衰退している。その原因は構造的なものでありTPP加入によって経済が復活するものではない。
 特にTPP交渉は手続きが複雑で最終的には5年から7〜8年かかる場合も容易に考えられる。確かにTPP加入で日本の輸入に一定の利益が生じる可能性は否定できないが、交渉が成立した時には日本経済そのものが立ち行かなくなっている可能性さえもあるのではないか。

 私たちは第一次産業関連に働く労働者としてまた、それぞれの産業分野に働く労働者とともに手を携え、更なる運動の強化を図らなければならない。国民生活に対する懸念が払拭しない中でのTPPへの参加は絶対に反対である。その懸念とは、@生命や健康にかかわる懸念 A雇用と勤労者の生活にかかわる懸念 B共助と地域が崩壊する懸念 CISD条項によって国の主権が損なわれる懸念、等々である。

 今回の参加表明によってTPP反対のたたかいは第2ラウンドを迎え、今後はTPP参加阻止に向けた運動が求められる。私たちに共闘する仲間を増やすことが問われている。安倍政権の支持率に連動し、TPP参加表明の一定の支持は得られているように見えるが、それはTPPに関する情報が示されていないことによる国民の誤解でもある。『懸念』を粘り強く訴えて行くことで国民の多くは必ずや目を覚ますであろう・・・今が踏ん張り時でもある。今後も粘り強く、あらゆる場を通して頑張ろう!!

 そういう点においては、2013春季生活闘争では、改めて労使で加入反対に向けての運動の共闘を確認することも必要不可欠だ。

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2013”春季生活闘争の開始に向けて

2013年1月

 民主党政権は負けるべくして負けた。率直にこの間の『失敗』について指摘・確認し、あらたな方向を目指さなければならない。先ずは、『政権運営の未熟』…政権運営に直接に携わった議員があまりにも少なく、権力の使い方が出来得なかったこと。さらに『マニフェスト――政権公約』、実現不可能な『公約』がたくさん入っていた。結果として出来得ない政策は、その都度丁寧に説明・お詫びをし修正できたはずなのに『4年間で実現』を叫び続け、手枷足枷の状態となったこと。確かに国家戦略室が予算編成のグランドデザインを描き、『コンクリ―トから人へ』で利益を再配分する。財務省主導の財政運営を転換し、主権者である国民の声に耳を傾けるのが狙いであったことは的を得ていた。然し、途中で進むべき道を見失ったのは、役人をハンドリンクする能力や知恵がなかったとしか考えられない。
 そしてトップリ―ダ―である。鳩山元総理は人柄は申し分ないが、主張したことが何の次善の策も持たないのに、『沖縄の米軍普天間飛行場の県外移設』を言ってしまい暴走したこと。菅元総理は、東日本大震災が起こったとはいえこの国の困難な時に最高責任者としての対応がお粗末であったこと。特に、自民党との大連立を電話にて呼びかけたことは、理念や目標が定まっていないことを露呈した。
 最後の点は、寄り合い所帯の党の成り立ちが上手くいかなったこと。1998年の結党時、様々な仲間が結集したが、憲法改正の是非など、基本的な政策は意見がまとまらず棚上げし、自民党政権打倒の一点に結集軸を集め、政権交代後も重要政策では『党内対立』が続き政権を明け渡すことになった。そういう点においては、民主党政権存亡の危機との認識を党内で共有化し態勢を立て直す努力を重ねなかったこと、民主党らしさを改めて整理しめざすべく社会像や国家像を示すことなく総選挙に突入し、民主党政権を終焉させた野田前総理の責任は免れない。

 振り返ると、2009年の政権交代は壮大な『歴史の転換』であった。自民党中心の長期政権に風穴をあけ『政権交代可能』なことをこの国に知らしめたことは評価できるし、意義深い。今この国の様々な点において歪みが起きている。自民党中心の政権で解決出来得るはずがない。
 われわれ労働組合も有権者(組合員、家族等)の声に耳を傾け、なぜ民主党が期待に応えることができなかったのかを検証し、次につなげなければならない。おそらく安倍総理は日米同盟基軸を大きく掲げさらなる規制緩和(競争を重視した社会)をめざし結果として格差は拡がる可能性がある。TPPにおいても『聖域なき関税撤廃が前提ならば反対』としているが、その『聖域がないかどうかは、交渉に参加しなければ判断できない』ことであり結果としては『参加』せざるを得ないということである。しかも自公連立政権合意では、『最善の道求める』と明記し、政権公約よりも前向きな表現となっている。
 また、農業政策についても民主党の戸別所得保障制度をバラマキとして批判していた。然し、自民党は『農地を農地として維持する支援策(制度の見直しの考え)』を掲げているが、民主党と同様に農家への直接支払いは続ける考えである。
 この国の農業政策はこれまでもふらついてきた。07年度には自・公連立政権下において農業の大規模化を進めるとして品目横断的経営安定対策を打ち出したが、小規模農家などからの批判を受け直近の参議院選挙にて民主党に大敗を喫した。08年には耕作面積要件の緩和を行ったが農地集約の効果が薄れ、民主党の掲げる『国が直接、農家を支援する仕組み』である戸別所得補償制度が支持され、政権交代の引き金となった。
 然し、基本的には両党の農業政策が近づいていることは事実であり、『全農家の底上げまたは、担い手育成』なのか…この国の安定した農業政策を定めなければならない。

 何れにしても、過去の自民党中心とする政権下において働く者への格差は拡がった。民主党政権の基で多少なりとも改善してきた『安心社会』の構築に向けての改正労働契約法案 改正労働者派遣法案 改正高齢者雇用安定法案、さらには職業訓練・就労支援、保育所や子育て支援の充実、といった働く者に対する支援のための施策、等々があらためて見直されるやもしれない。働く者を組織する労働組合としてそのチェック機能を果たす役割は重大かつ重要である。あらためて組織の強化と拡大が問われている。
 今この国は、『中間層』が減少し、非正規労働者やワ―キング・プアと言われる人たちが大きく増加している。非正規労働者は全雇用労働者の35%を占めるに至り、年収200万円以下で働く層は1100万人を超え、生活保護受給者は210万人以上に達し、自殺者は後を絶たない。子どもや高齢者への虐待やいじめ問題も深刻化している。
 今、社会の不安定化が許容範囲を超えている状況に陥っているということである。

 こうした状況下での2013”春季生活闘争でもある。
 とりまく環境が困難な時ほど、先ずは交渉出来得る体制を構築すること。その上で系統組織に結集する者の処遇改善を一つひとつ丁寧に労使協議を重ねル―ル化し、協定文書を求めていくこと。さらには、支所・支店または統廃合、協同会社化などの事業改革へのチェック機能の役割を果たし、事業再建のための農協革新を求めていくこと。
 系統組織は先の全国農協大会において、@地域農業戦略 A地域くらし戦略 B経営基盤戦略の柱を決定している。うち『地域に即したJA経営基盤戦略』を見ると・・・。合理化による経営は限界に達しつつあり、組合員の大量な世代交代が迫る中、事業伸長と組織基盤強化が強く望まれるとし、縦割りの強化ではなく横のつながりの強化による総合事業性が必要としている。そのために組合員との接点となる支店の役割発揮が重要であること、をうたっている。その上で世代交代への対策と対応が重要であるとしている。他方、高知県や島根県における県域合併構想等々が決議されている。県域合併を含め超広域合併ではどうしても当面の間、『地区本部制度』の導入となり、結果として独立採算的運営 = 地区ごとの損益管理となる。これでは事業管理費の削減のための統廃合や機構改革をさらに進めるだけではないのか。農家組合員離れを助長するための県域・超広域合併でしかなく農協改革にはつながらないことは明白である。
 2013”春季生活闘争は労働処遇の改善は勿論、待ったなしの系統組織そして農業再建の闘いの場でもある。3月の要求までしっかりとした『論』の基に要求を創りあげなければならない。
 われわれの運動の基軸は3つである。一つは、『経済・共済事業をはじめとする各連合会事業の在り方 特例年金早期清算 地域農業再建』に向けた農協革新と地域農業再建の活動。二つは、東日本大震災ともなう東京電力福島第一原発事故からの早期『復旧・復興 農畜産物風評被害』等からの改善。三つに、働く労働者が安心し誇りを持ち働き続けられるための環境を築くこと。そのために中身ある『改善要求』を掲げられるような組織体制を強化するための専従者をはじめ執行部のレベルの向上、である。
       2013”春季生活闘争に向け全力で奮闘しよう!!

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政策を見据え・・信念を持つ候補者を国会へ

2012年11月

 約3年ぶりとなる総選挙が12月16日に投開票されます。自民党の政権復帰か、目まぐるしく動く『日本維新の会』などの『第三極』の行方は・・。いずれにしてもこの間の民主党政権の一定の是非が問われることには違いはありません。『政権交代』から3年、参議院では自民党など野党が過半数を制したこの2年の政治の状況は、ある意味では、『政争』のみが展開され国民そっちのけの状態でもあったことは否定できません。このことが『決められない政治』となり『政治空白』につながり、冷ややかな視線を送る有権者も少なくはないと思います。
 しかし、政治とは決して政治家のみで行うものではありません。私たち有権者(国民)も含めた一つの重要なシステムでもあります。憲政史上初めて選挙での政権交代が実現したことも私たちの創意であり、つまりは『政権交代』があり得る政治を定着させ、議会制民主主義を成熟させることによって、この国の『あり方――かたち』を変えることを目指したのです。そのための政策が『マニフェスト』だともいえます。当然、民主党には政権党としてこの間、何を実現でき何が不足していたのかを真摯に総括し、再度、政策=マニフェストを国民に対し示すことが肝要です。
 TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加問題、尖閣・竹島や沖縄の問題をはじめとする外交・日米問題や防衛方針の対応、さらには原発政策や社会保障制度改革、等々国民に負担を強いる内容の重要課題は後を絶ちません。これらの国の針路に関わる重大な政策を選挙後に無責任に変更することは許されません。
 そういう点においては、理念の一致なき政党間の野合は厳しく指弾すべきであると考えなければなりません。併せて個別の立候補者についても、当選だけを目当てに駆け込み的な『理念・政策の一致』は、単なる都合主義でしかありません。しっかりと政策=考え方を見抜き一票を投じることが私たちには問われています。
 特に私たちは『農業再建』こそが『地域』を守りこの国を『再生』させることに通じると考えています。TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加をめぐっては、都市部と地方、輸出主体の製造業と農業や国内を基盤とする産業など、立場によって賛否が分かれる国内状況を反映し、民主、自民そして第三極とも党内に推進派と反対派が混在しているのが現状です。
 野田総理は11月のオバマ米国大統領との会談で『参加』に向けて『日米間の課題を乗り越えるべく「事前」協議を加速』させる考えを表明し、あらためて『参加』に向けての決意を述べています。然し、党内では私たちの組織内議員を中心に反対の運動を継続し頑張っています。自民党は『聖域なき関税撤廃が前提ならば反対』の態度で安倍総裁は参加そのものは必要であるとの考え方を示しています。
 あらためて今考えておかなければならないことは、参加したその先に、日本の中山間地域や農業がどうなるのか具体的なことが国民の前に明らかにされていないということなのです。農業の視点で指摘するならば、TPP(環太平洋経済連携協定)参加で関税が撤廃されれば農業が大打撃を受け、農業が基幹の中山間地域は一層疲弊します。規模拡大や輸出の促進で乗り切れるという考え方もありますが、現実的には簡単ではないし、不可能に近いのではないでしょうか。
 全国の中山間地域には人口の1割強が住み、国土の約7割を守っています。食料も国内産の約4割を維持しています。そこを一層疲弊させるであろうTPP(環太平洋経済連携協定)への参加となれば、国土の守り手をなくし、食料高騰の中で日本の食料の海外依存をさらに強めることになり、この国の将来が持たないことになります。行き過ぎた自由化は自らの手で国をつぶすことにもつながりかねません。
 中小企業や小さな商店街、中山間地域の農家、そんな弱い立場の人に寄り添うのが政治であるし、政治家ではないだろうか。その上で、先ずはすべての仲間の皆さんに訴えたい、一票を投じなければ何も変わらないし、動かないことを・・。民主党を離党したある議員の言葉が記憶にあたらしい。『いつの間にか民主党は弱い立場の視点を忘れている・・。』
 歴史的な政権交代から一転、真の『政策』を見極め政策課題にきちんと向き合う政治。政党本来の責任を果たすことが、議会政治への信頼を取り戻す第一歩となります。そのためにも私たちは政治に関心を持ち、今回の総選挙に臨もうではありませんか。今回の総選挙ほど将来の日本『農業』の方向を左右するものはありません。
 仲間の皆さん きちんと見極め12.16を迎えよう!

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2012”秋季・年末の取り組み課題と改善に向け

2012年10月

 10月15日、諸課題改善に向けての秋季要求 11月12日、生活闘争である年末一時金要求、いよいよ労使交渉の本格的な到来です。情勢や環境が厳しい時ほど緊張感を持って臨まなければなりません。そのためには先ず『組織体制の確立』を図ることにつきます。執行部と組合員の距離は要求内容を軸として信頼されていますか…。距離とは要求で一致し、たたかう方向が確立されているのか、ということです。でなければ、組合長 や上層部は『要求事項』を軽く見、それなりの『回答』しか返しません。
 労使交渉とは組織体制の確立と = であることを肝に銘じることが肝要なのです。
 あらためて指摘するまでもなくわれわれの直面する課題は、一つに、共済事業改革にあります。この間の交渉の中で多くの県産別をはじめとする各単組において経営者の理解が高まっています。然し、実際として付加収入配分割合の改善は行われていません。従って農協として県本部として、この間われわれが要求してきた事項を再認識させ、県本部・全共連等に対し求めていくことが問われています。また、各県本部に一定の権限のある奨励金制度等、早期達成重視の考え方ではなく目標達成に重視した取り組みへ移行させることにより現場の労働者が安心でき得る方向を目指すことも重点を置かなければなりません。
 アンケ―ト実態において多くの仲間が『推進の強化』の改善を求めています。
 二つに、特例年金の早期精算に向けた取り組みです。承知のとおり特例年金業務負担金は農協や連合会に重くのしかかり、経営を圧迫している一つの要因でもあります。実際、職員500名規模の農協で年間≒5000万円余りとなり負担終了の2032年まで毎年の支出となります。問題なのは将来特例年金を受給することが可能な職員は限られており、受け取れない職員が年を追うごとに増加する。現行の特例年金は整合性がなく理不尽な制度となっています。
 このような様々な矛盾や問題点を抱えている制度は早期に整理しなければなりません。よってわれわれは特例年金制度の早期の清算を求めているのです。
 三つに、3.11東日本大震災復興のための取り組みです。大震災と東京電力福島第一原発事故によって第一次産業関連の農業は大きなダメ―ジを抱え壊滅的な状況の中にあり、未だ復興の目途がたっていない地域が存在しています。残留放射能による風評被害も続いています。よってわれわれはJAグループとして『基金』を創設し、農畜産物全量に対する独自の残留放射能検査等を実施し、風評被害をはじめとして地域農業再建方策を作成し実施させることを求めています。
 これらの『農協革新 地域農業再建』の要求を基軸にし『一時金』闘争を取り組むことが全国運動として急がれています。みなさんの取り組みをあらためて要請するものです。
 また、多くの県産別・単組にて要求化されている。昨今問題化している『メンタル――パワハラ』に対する取り組みについて触れておかなければならないと思います。
 職場のいじめやパワハラは労働者の尊厳や人格を侵害する許されない行為であり、早急に予防や解決に取り組むことが必要な問題です。何より認識しておかなければならないことは、パワハラは被害を受けた当事者の仕事への意欲や自信を失わせるだけではなく健康被害、さらには生命の危機にも及ぶということです。結果としては労働生産性の低下へと繋がり経営的な問題にも…この課題は、労使が真剣に改善・解決策のための施策を行うことが必要です。労使交渉の枠を超えて『情報共有 対応協議 さらには労使協定の締結』等を行うことによって、職場の風通し改善に努めていくことはあたり前のことではないでしょうか。
 2012年は、『国際協同組合年』と国連は定めています。その背景には、グロ―バル経済の進展と市場原理主義のもとで格差と貧困が拡大している中、協同組合がその解消に寄与していることが挙げられます。協同組合における労働組合とその活動に自信を持ちましょう。自信と確信を持って2012”秋季・年末闘争を展開しようではありませんか。

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向こう1年間の運動に・・・仲間の皆さんへ

2012年7月

 全国農団労に結集する仲間のみなさん、この1年間の運動の総括に基づき、決定された向こう1年間の運動方針が大会にて確認され、年間の活動が始まりました。
 その運動の重要な柱は『農協革新――各事業へのチェックと改革提言 特例年金の早期精算に向けての改革提言、等々』 『農業再建――大震災からの復旧・復興 そのためのオールJA運動の提言 地域農業再建に向けた事業提言、等々』 『働く者の安心社会の追求と農団労運動の機能強化、等々』です。

 系統組織を取り巻く環境は激変し組織経営の二極化が進んでいると言わざるを得ません。  系統の経営は、ここ20年来事業総利益の減少を事業管理費の削減で補う収支構造が続いています。然し、人件費を主体としたコスト削減は最早限界レベルにあることもご承知のとおりです。また、経営環境が厳しくなるにつれ体制や経営状況などで農協間の格差は確実に拡大していることもご承知のとおりです。

 例えば、販売農家世帯数は激減し、2025年には300万人を割り込むと指摘されています。販売農家世帯は直接的に農協の活動である事業を支える人達であり、農産物を販売しなくなった組合員は、当然系統利用が減るので経済事業はもちろん信用・共済事業にも大きく影響します。更に問題なのは、その家族と農協の関係が徐々にではあるけれども疎遠になる可能性もあることです。結果としては相続時等における貯金の流失や出資金の減額や払戻金の増額など計り知れない影響が考えられます。

 組合員の世代交代は、農協の組織・事業・経営など財務に大きな影響を与え、更なる農協経営の縮小圧力となる可能性があることは否定のしようがありません。組合員の世代交代等にともなう組合員数の減少、少子高齢化の深化、結果として起こり得るであろう市場規模の一層の縮小などにより、ある意味では農協経営は、新たな構造的または複合的な危機に直面する可能性は高いと指摘せざるを得ないのではないでしょうか。

 現実問題としてこの間の系統組織再編の結果として、いま多くの組合員等から指摘されていることは、広域合併に伴う支所・支店、経済関係の統廃合の進行によって農協との距離が離れてしまったとの声が上がっていることです。さらには、縦割りの事業展開により農協の総合性に疑問を持つ組合員や利用者からの指摘も後を絶ちません。組合員や利用者・地域の人たちとの向き合い方を見直す時なのではないでしょうか。

 そういう意味においては労働組合として、販売・指導・購買・資金供給などの事業構築をどう進めるのかの研究と実践に取り組み現代的な総合農協を追求する活動が必要なのではないでしょうか。そのための学習と研究会を各県産別・単組段階においても開催することが、いま、求められているのではないでしょうか。結果としてその取り組みが労働者の意識改革につながり生産性の向上に繋がるのではないでしょうか。

 本来、労働組合の役割と使命とは、経営への監視行動(チェック機能)を果たすことで健全な組織運営と伴う諸労働条件の維持・向上にあります。そのことがいつの間にか形骸化しているからこそ、将来展望を描けない職員は後を絶たないし、組織の拡大と強化が進まないのです。私たちの組織の原点は、『協同組合』です。いま改めて『人』の絆を大切にする組織である必要が問われています。

 前記した運動の柱を実践するのは私たち自身です。その運動の達成に向け一丸となりましょう。そのために『あたり前の労働組合運動』を着実に実践し、全ての仲間の結束を呼びかけ、組織の拡大と強化を進めようではありませんか。

 この1年の活動の奮闘をお願いし、委員長あいさつとします。

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2012”春闘を総括し、全国農団労 第25回大会への結集を!

2012年7月

 春闘の最大の山場である主要産業の回答を経て、中小の闘いである4月、そしてメーデーが終了し、今年も春闘関連の話題がマスコミ等に登場することが無くなった。
 ベアの要求を見送る労組が増える中で内需型産業である一部労組がベアを勝ち取っていることは今後への期待となることは間違いない。然し、総体としては春闘の注目度は過去に比べ低くなってきたといえることは間違いないであろう。然し、だからといって春闘の意義が失われたわけではないことは当然のことである。
 今春闘の労使交渉における議論や結果をみても、春闘が今日抱える課題とともにその意義を再認識させられるような点は少なくない。
 例えば、「定昇の重要性」が一定程度労使確認されている点である。定昇については当初、「実施は厳しい・・・、定昇の確保は・・・」との見方のもとにスタートしたが、多くの企業の労使は定昇の維持を決断した。業績が厳しい企業であっても「賃金体系(定昇)は維持することを前提とした上で一定期間、定昇を凍結する。または定昇を実施した上で一定期間の賃金カットを実施する」等、労使で確認しぎりぎりで定昇の維持を確認している。
 このことは全国農団労の組織内においてもほぼ全ての単組が定昇は維持したことへと繋がっていることは間違いない。但し、総括しなければならないことは、ベア要求を真正面から掲げたにも拘らずベア獲得まで至らなかったこと。交渉力不足以外何ものでもない。
 今さら指摘することでもないが、定昇制度の機能の役割りとは「働く者の生活の安定と人材育成を支える日本的経営の柱」の一つでもある。然し、経営環境が大きく変わる中で、そのありようも議論の対象となっていることは否めない。ただ、賃金制度のあり方の論議は短期決戦(経営者の一方通行)で片づけるものではなく、労使間の充分な論議のもとに規定を変更していかなければならない。
 そういう点で我々の組織内の状況を見てみると様々な事案で労使間の充分な論議が出来ていないのではないのか。例えば、働きやすい風通しの良い職場確立のための要求である。雇用や労働時間等のル―ルの確立に対しても一方通行的な考え方や規定の変更がおこなわれていたり、また農協革新要求である特例年金や共済事業改革(付加・奨励の見直し含む)回答についても、その結果が二極化してきたことである。基本的なことは一致していても積極的に対連合会等に働きかける農協、旧態依然として連合会からの指示待ち農協、等々である。危機的状況の中にある今こそ『労使』の役割が重要なのである。相手に納得させ得る労働組合の組織力の向上を図らなければならない。
 そのためにも2012”春季生活闘争の徹底総括をおこない、更なる課題を明確にしなければならない。何故ならば、課題を克服しない限り要求の実現には程遠いからに他ならない。
 春闘の大きな特徴として「一律要求・横並び」という考え方がある。然し、ここ数年来の春闘でも理解できるようにそうしたイメ―ジから離れ、「個別労使の置かれた状況で個々に判断する」傾向が強まっている。そのことは取りも直さず、個別議論の機会と場を確保し、状況認識を共有浸透させる機能へと、労使の重点が一定移っていることを示唆している。個別労使は、今まで以上に自らの現状認識と将来の方向性について、真摯かつ真剣に議論を追い求め一致させなければならない時代へと突入したということであろう。
 県産別もまた、機能強化が問われている。専従者のレベルの向上が問われている、ということだ。個別の労使に対応出来得る「質」の向上なのである。
 全国農団労の第25回定期大会の時が近づいている。前述の様に「総括なき単組(県産別)に前進なし」。徹底総括のもとに7月開催の全国農団労定期大会での議論を期待したい。

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2012”農団労 春季生活闘争に向けて

2012年3月

 3月5日の要求書提出、情勢としては東日本大震災と原発、欧州金融危機と歴史的な円高を記録した中での2012”春季生活闘争(春闘)の開始。農団労の春闘は前記した指摘される情勢に加え、TPPに象徴されるように農業を取り巻く環境は大変に激動している。今こそ働く者の『質』を高め事業革新を目指さなければならない。
 本来、春闘とは各県産別・単組が『賃上げ統一要求 共済事業改革(全共連に対し付加収入単価の割合変更等)・特例年金の早期清算 地域農業再建のための要求、更にはTPPへの対策と対応 大震災と原発被害からの復旧・復興対策、等々』を掲げて一斉に経営側と交渉に挑み、その相乗効果にて要求を獲得する大衆運動なのである。
 今年の春闘の特徴としては、ベア要求を真正面から掲げ頑張る労働組合がゼンセン同盟や私鉄総連、流通・交通・サ―ビス系、フ―ド連合、そして全国農団労、等々…然し、自動車総連、電機連合など決定力のある産別は今年もベアを見送ったことである。
 更に特徴としては、経団連が定期昇給の『延期・凍結』の可能性について言及し牽制している点である。過去にもこのような考え方を打ち出したことは確かに存在する。
 2012”春闘は『ベアなし』と『定期昇給延期・凍結』の二つが重なり、労働者側にとっては大変許し難い状況となっている。然し、我々は頑張らなければならない。このような年には、労働組合はそれに応じた闘い方を持って春季統一闘争(春闘)にあたらないと交渉にならない。従って、各県産別は本格交渉に向けて改めて情勢分析をおこない、闘争委員会などを立ち上げ『争議行為』体制を構築しなければならない。
 労働組合法には『…労働者の地位の向上…』とある。正に交渉は我々の『地位の向上』のためにある。他産業よりも大きく引き離された基本給や労働諸条件、更には現行の共済事業は付加収入が新契約に重きを置いているため、依然として新契約偏重推進…結果、ノルマが強化され、メンタル不全に陥り退職者は後を絶たない。それどころか自殺者までもが…。これでは『地位の向上』は成立しない。結集する全ての単組が農協トップの考え方を改めさせ各県本部、全共連本部に対し、要請させ得る交渉を展開しなければならない。行動を興さなければ何も変わらない。特例年金問題も同である。事実上破たんしている制度を維持し、経営を圧迫していることは明白なのである以上、早期清算を求めることは必然のことであろう。その他の処遇改善に対しても我々の要求に理はある。経営者側に対し、理を以って説明することも必要である。
 昨年、世界の人口は70億人を突破。今後も更に人口の増加が見込まれることから、いまや食糧は『国家としての最優先課題』となっている。国連は10億人の人々が飢餓に苦しんでいるとし、10月16日を世界食料デ―に制定し食料問題を世界共通の課題としている。
 折しも今年は国連が制定した国際協同組合年である。国内においても人口減少や少子・高齢化、グロ―バル化のもとに規制緩和を続け、結果として経済的格差や地域的格差、更には今日の歪な社会背景による精神的な問題、等々。市場原理主義や経済成長一辺倒な考え方が横行し…今あらためて『絆』や協同の精神が必要であると指摘されつつある。
 我々は厳しい情勢の中にあっても今改めて求められている『協同』の精神の源流の中で頑張っている。自信と確信を持つことから創めることが必要だろう。
 2012”春季生活闘争は、単なる処遇の改善なのではない。その向こうにある農業と農協の再建闘争なのである。農団労精神の『当たり前の労働組合運動』を再度確認し、その実践を展開することで途は拓ける。最後まで諦めるな。頑張り抜こうではないか…。

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2012”運動開始にあたり

2012年1月

 2012年の運動開始にあたり仲間のみなさんへ
 
 ギリシァ危機、イタリア国債の利率上昇、フランスの財政赤字拡大、タイの大洪水による工場生産の相次ぐ停止――世界の経済・金融に関するニュースが、これほどまでに目まぐるしくメディアをにぎわせることはこれまであまり無かったのではないだろうか。まさしく経済がグロ―バル化し、ある地域で起きたことが、瞬く間に世界に影響を与える、そんな時代を、私たちは生きている。
 一方で、足元の暮らしにも不安が忍び寄っている。歴史的な円高では、輸入品の価格下落という恩恵はあるにしても、国内産業に確実にダメ―ジを与えている。雇用不安が再燃する可能性がある。社会保障への対策は一向に進まない。短絡的・場当たり的な考えの基に公的年金の受給開始年齢の引き上げ、等々が検討され、更には増税も始まる。
 
 何れにしても、これまでの常識や価値観だけでは理解が出来ない世の中となった今、日本の企業は危機意識を持ち、欧米諸国やアジアの国々と、生き残りを賭けた戦いをおこなわなければならない。このことは系統組織も例外ではない。
 問題なのは、総体として多くの労働者にはそのような危機意識が欠如しているのではないのか、と言うこと。『自らが働く職場がどうあるべきか』『自分がその職場の中で何をすべきか、また何が出来るのか』を考えた上で仕事をしなければならないにも拘らず、ただ毎日職務規定に応じた仕事のみを受動的にこなし、労働条件という権利のみを主張する。
   ではなぜ『考えない』労働者や経営者が存在するのか。系統組織が大きくなりすぎたことに他ならない。全てがサラリ―マン化し、何事も本気で考えない『事業管理費の削減』によってのみ収支を均衡させるという安易な経営管理手法を追求する無責任な経営者にその一端がある。そのことはまた、働く者のモチベ―ションを引き下げ、系統組織の組織・事業にとって負の側面をもたらすことになったのではないのか。
 このような状況を打破するためには、まずは指導者でもある経営者が意識改革をしなければならない。自らの組織(県連・単協)の置かれている立場と強み・弱みを正確に把握し、それに基づく経営戦略を打ち立て、実行していかなければならない。系統組織における多くの経営者は、この意識がないサラリ―マン指導者と言わざるを得ない。これでは外内的な競争に勝つことは出来ないであろうことは必然だ。
 
 働く者を束ねる労働組合もまた働く者の意識向上(改革)のための運動を展開してきたのだろうか。例えば、前述した経営者に対し、組織の総力をもって意識改革の『要求』を掲げたのか、また働く者に対しては徹底した論議をし、意識改革のための『学習』をおこなってきたのか。働くための諸労働条件決定のための労使のル―ルは確立してきたのか。事業の抜本的な見直しに向けた機会の場は設置してきたのか・・・、反省しなければならない。
 指摘できることは、近年の一時金の支給状況にある。低額回答にて妥結した系統組織では経営者と働く者との信頼が存在していない。つまりは経営戦略が存在していない、ということだ。
 
 2012”春季生活闘争が開始される。3月11日に発生した東日本大震災と東京電力の福島第一原子力発電所の事故は、農業生産に甚大な被害を生じさせた。原発事故は未だ収束せず、風評被害をはじめ牛肉・コメ・乳幼児の粉ミルクなど各地で放射能被害が報告されている。また、TPPへの参加問題など国民的議論を高めて行く必要が求められているなど、労使の役割は重要だ。だからこそ2012”春季生活闘争は重要なのである。
 今求められている課題に目を向け『新たな協同の創造』を実現する働く労働者を、地域社会に貢献する人材を育成するという観点に立ち、待遇改善等に関しても納得のいく内容を求めていくことが必要だ。
 そのためには、非正規・有期雇用労働者に対する処遇改善と格差の是正を強力に推し進めることも疎かにしてはならない。現場における状況を把握しよう・・・確実に職員と同一化している。系統組織に問われていることは正規も非正規もなく、人材育成である。
 
 仲間のみなさん、労働組合の原点を追求する2012”春季生活闘争を開始しよう。

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2011”秋季・年末の取り組みに向けて

2011年10月

 全国農団労、ならびに連帯する仲間の皆さん…秋季・年末の取り組みご苦労様です。先日の執行部研修会において『要求』作成の難しさが議論の一つになりました。そのことを交えながらコメントとしたいと思います。
 今、多くの職場において、コミュニケーション不全などから、『少し違和感のある職場』が生み出されています。そのことが進むと他人に対し関心が薄れ、結果として生産性の低下にもつながりかねません。このことは労働組合の活動においても最重要課題となっています。
 労組執行部と労組員のコミュニケーションがうまくいかないために、執行部の趣旨が伝わらず活動が思うように進捗しないことは多々あります。
 そのような状態では、それでなくても見えにくくなっている労組活動が、労組員にとってますます希薄なものになってしまいかねません。
 労働組合におけるコミュニケーションは組織内の相互の信頼関係づくりに欠かせない最大の取り組みです。良好なコミュニケーションを作る役割を担っているのは労組執行部の皆さんです。執行部が仲間の皆に対しもっと関心を持ち、職場に出向くことでコミュニケーションを実践、要求を積み上げるのです。
 今日のように広域合併が進めば進むほど職場に出向く活動が重要視されます。逆に考えればそこからのみ『要求』は生まれるのではないでしょうか。
 労組活動は、コミュニケーションを通じてしか仲間に伝わらないことを認識し、自労組にとって実現可能なコミュニケーションの場を作り出すことも考えなければなりません。その目的のために活動資金を上手く活用し、福利厚生などの活動も時には重要なのではないでしょうか。どこかの単組では執行部手当が高額、活動は少々…可笑しなものですね。
 また、そこで掲げられた『要求』は、経営者側との交渉に委ねられます。通常、労使間における労使交渉では、労働環境問題や経営上の問題等が協議され、労使協定の締結といった手続きを取ることになります。然し、前述した職場におけるコミュニケーションなどから生まれる様々な環境問題は、形式的な労使交渉のみでは解決し難いものがあります。労使が自由に意見交換できる状態を作り出すことも必要です。
 全国農団労の活動の理念は『健全な農協』にあります。労使が協働で職場内のコミュニケーション活性化に取り組むことで『活き活き』とした活力のある職場を作り上げなければなりません。
 協同組合の現場を担っているのは労働者 = 労組員です。
 労組は、現場で起きている問題を仲間からいち早く収集することが可能なのです。経営に必要か否かは別にしても、そのことを経営者に伝え健全な経営に活かさせる取り組みが求められています。一考の価値ある取り組みではないでしょうか。
 今日の不祥事の一端にあるのはこうしたコミュニケーション不足からくる経営への監視行動の取り組み不足ではないでしょうか。
 全国農団労、さらには連帯し、『秋季・年末』活動に取り組む仲間の皆さん・・・職場から積み上げられた大切な『要求』です。納得するまでとことん頑張りましょう。
  執行部=職場  要求書原案  職場論議  要求書  臨時大会  提出交渉
  労使交渉徹底  妥結の確認  職場論議  妥結書締結  妥結内容の実施を
 納得するまでとことん頑張ろう…。

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『組織』、なぜ『組織』は重要なのか
向こう1年間の活動を実践するために

2011年8月

 農団労第24回の大会を終え、向こう1年間の取り組みがスタートしました。『復旧と復興の年』、この1年ほど厳しく困難な時は無いのかもしれません。皆の力をさらに結集し、『困難』に立ち向かっていかなければならないとあらためて考えています。
 その『困難』――系統組織のとりまく環境も含めて立ち向かうための施策はいろいろあれど、リ―ダ―の判断(決断)が企業――協同組合の存続に大きく影響することは避けられません。経営とは・リ―ダ―とは・組織とは、一体なんだろう。若干、そのことについて例えを交えながらこの1年の始まりの決意とします。

 なぜ組織は重要なのか・・・・・例えば、皆さんがレストランに入ったとき、店員の感じがよくて、安くて美味しい料理が出てくれば、いいお店だと感じるでしょう。反対に、サービスがひどく、高くて不味い料理が出てきたら、ダメなお店だと思うでしょう。では、どうしていいお店とダメなお店ができるのでしょうか。それは、組織の運営(経営)が上手いか、組織のリーダー(お店の店主)が優秀かどうか、といったことに大きく左右されるのです。
 いいお店というのは、優れたリーダーが組織(お店)を上手に切り盛りしているはずです。まず、美味しい料理を出すためには、腕のいい料理人を採用しなければなりません。優れた料理人をほどほどの給料で雇うことができるかどうかは、店主の人を見る目や交渉力にかかってくるでしよう。優秀な店員の採用についても同じことがいえます。
 安くて質のよい食材を調達したり、場所がよくて家賃の安い貸し店舗を探したり、店員に適材適所で役割を割り当てて、組織全体として仕事がスム―ズに流れるように調整したり、働きやすい雰囲気をつくって、料理人や店員のやる気を高めたりする、というのもリーダー(店主)の重要な仕事でしょう。
 そうした組織運営がうまくいっていれば、結果として、サービスがよく、美味しい料理を安く出せるお店ができるわけです。逆に組織運営が下手だと、高くてまずい、誰も二度と行きたくないようなお店ができてしまいます。
 以上、われわれの職場のリーダーはどうでしょうか。
 これはレストランに限った話ではありません。全ての面で農協にもいえることです。いい会社、いい農協、いい事業を増やすためには、いい組織を増やさなければならないのです。そして、私たちの生活をよくするためには、様々な組織の運営(経営)をよくしていかなければならないわけです。そうした視点で労働組合は活動を行うわけです。残念ながら近年の相次ぐ不祥事における企業(系統組織)の経営者や労働者、労働組合はどうだったのでしょうか。
 あらためて問われているのではないでしょうか。

 よい組織をつくるためにどんなことを考えればいいのか・・・・・さて、『いい組織』と口でいうのは簡単ですが、皆さんがもし実際にリーダーとして組織運営する立場になったら、どんなことを考えればいいのでしょうか。例えば、部活(学生時代でも現在の農協のクラブでも)をやっている人は、自分が所属している部活を想い浮かべてください。
 まず、組織ではいろいろなことを決めなければいけません。例えば、限られた部費予算の中から何にどれだけお金を使うのか、練習のメニュ―や日程をどうするのか、誰を責任者とするのか、誰をレギュラ―とするのか、あの仕事は誰に任せるのか、などなど、決めなければならないことが山ほどあります。そうしたいろいろな物事を、どういう方法で決めればいいのでしょうか。

 ひとつの方法としては、あらゆることを部長や顧問の先生など組織のトップが決めて、残りのメンバーに命令・指示するというやり方。そういう決め方を『集権的』決定といいます。別の方法としては、メンバー全員で対等に話し合って決めていく、というやり方もあります。そういう決め方を『分権的』決定といいます。
 そこで皆さん、今日の農協運営ではどういうやり方がいいと思いますか??結論をいってしまえば、実はどちらのやり方にも一長一短があって、状況や仕事の内容によって、どちらがうまくいくとは一概にはいえないのです。然し、はっきりといえることは『聞く』ということです。『議論』をし合い『考える』ということです。その上で最終的な判断のもとに『集権的』決定なのか、『分権的』決定なのか。明確にするということです。この手順が最も重要なのです。今日の農協組織の運営はここの手法に問題があるのではないでしょうか。
 集権的な決め方のいいところは、一人の独断で決めるので、とにかく決定が速いことです。メンバーの利害が大きく対立している場合なども、分権的に話し合ったのではそれぞれのメンバーが自分の立場を主張するばかりで、いつまでも何も決まらないということになりがちなので、最終的にはリーダーの決断が必要になるでしょう。然し、この場合のリスクとしてはリーダー自らの姿勢如何では全体の士気の低下につながり組織崩壊となる場合も多々あります。
 一方、分権的な決め方のいいところは、たいていの人間は、一方的に命令された場合よりも、決めるときは自分の意見を述べた場合の方が、たとえ自分の意見が通らなくても、責任感をもって一生懸命仕事に取り組む傾向があります。時間の余裕があって、メンバーのやる気が重要となる場合には、分権的な決定がいいといえるでしょう。

 例えば、われわれの組織である労働組合の場合もそうです。春闘要求を決定する場合、11月から12月の会議で方針を確認し、年明け早々から職場論議を踏まえ、3月要求です。この方法が『分権的』。逆に、経営者側当から一方的に労働条件等の改悪提案が、つまり就業規則の変更提案です。この場合は執行部を中心にすぐさま対応し、一定の方向性を出さざるをえません。この方法が『集権的』。然し、この場合は一定の結果を出さなければ労働組合は何をしているのか、という声が高まる可能性も秘めています。よって、執行部(リ―ダ―)の強力な姿勢が必要です。
 また、事業等をすすめる場合必要なことは、斬新で創造的なアイデアが求められます。この場合は、分権的な決定が有効です。例えば、大きなレストランの会社が新メニュ―を考案するときに、社長や部長がすべてを一人できめるべきでしょうか。社内の多くの料理人から自由なアイデアを募った方が、いろいろとお客様の視点に立った新メニュ―が出てきそうな気がしませんか。一人の人間の頭では、アイデアの方向性が偏ってマンネリ化しがちです。革新的な新製品のアイデアや、斬新なデザインを考えるような場合も、分権的な決定で多様なアイデアを取り入れた方がうまくいくと考えられます。
 系統組織のダメな点はこの『分権的』な決定が先ず行われていないという点です。であるからこそ、労働組合はこの考え方を改めさせるべく『革新運動』を強化しているのです。

 以上、『集権的』『分権的』、それぞれの決定の違いについて考えてみました。あなたの職場の農協事業の方法はどうでしょうか。いよいよこの1年の活動が開始されます。その根底は農協と農業の再建にあることはいうまでもありません。『農協の事業の革新と提言』要求・・・・・事業改革はどちらの決定が正しいのか・・・・・検証することも、また『革新』追求運動です。われわれの組織も経営トップの経営判断が今日の農協間格差の実態となっていることは、ある意味で紛れも無い現実です。チェック機能の役割りを果たすこと。  悔いない、納得出来得る、2011年度の活動を実践しましょう。

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大会は向こう1年間の活動目標を明確にし
労働組合の存在意義を確認する場

2011年6月

 3.11に発生した東北・関東を中心とした未曾有の大震災、加えて福島の原発事故が重なるという、複合的な大災害となっている。被災地に壊滅的な被害をもたらしただけではなく、私たちの組織基盤である農業・農村、第一次産業にも極めて深刻な影響を及ぼしている。政治の空白をつくる時ではない。震災等の復興とともに、将来に夢や希望が持てる安心社会の実現、とりわけ、全ての働く人々が安心して能力を発揮できる環境を早期に整えることが急務である。そして何よりも私たちの組織基盤である農業の復興を急がなければならない。そのために全国農団労に結集し、『復興―再建』の方策に関わらなければならない。来る農団労定期大会ではその『方策』についての議論も当然、行わなければならない。今こそ労働運動の社会的使命と役割を発揮しなければならない。結集しよう。
 7月から8月にかけて労働組合の定期大会の時期である。当然われわれの組織も相次いで大会が開催される。そこで若干大会の意義われわれの役割について触れてみたい。
 大会で重要なことはどのような中身のある且つ、組合員が結集出来うる方針が示してあるのか、つまり『議案書』の方針に基づいて全体議論が可能なのか否か、ということである。そのためには、組合活動の目標(計画)を明確にすることである。『議論を図っていきます』『検討します』『取り組んでいきます』などといった運動方針(議案書)に『ごまかし言葉』が散りばめられていないか。
 なぜ組合活動をするのかといえば、成果をあげるためである。成果をあげるには、目標(計画)が明確になっていなければならない。大会が終わると、運動方針(議案書)に掲げた新たな取り組みは忘れ去られ、従来どおりの組合活動が繰り返されていないか。次の大会の運動方針(議案書)を作成するまで見向きもされないで、書棚や引き出しの中にしまわれていないか。
 そもそも組合執行部に目標(計画)達成に対する意識が乏しければ、現場の組合役員がモチベ―ションに欠けるのは当たり前である。このような現状で要求前進があり得るわけがない。
 運動方針(議案書)に書きさえすれば、執行部の役割を果たし、且つ、『やっている』『出来ている』と錯覚してしまっている労組がまだまだ存在していることも現実だ。
 よって大会とは前述したような意識を持って、執行部と組合員が議論を戦わせる唯一の場なのである。組合員のみなさん、ぜひ大会に出席し、現状の職場の実態を報告し、この1年どうだったのか、更に向こう1年の取り組みはこれでよいのか、の議論を徹底して欲しい。
 最近、社会運動の衰退は甚だしい。学生運動、消費者運動、生活(地域)運動・・・労働運動もそうなりつつあるのではないのか。労組の組織率は、年々目減りし、直近では18%台にまで落ち込んでいる。世界的にも低い。何とかしなければならない、と多くの人(執行部)が指摘する。然し、その執行部の皆さんの活動も形骸化している。
労働運動とはきわめて人間的なのである。人と人とのつながりが大切にされる。理論はその先にあるのではないだろうか。定期大会を前にして今一度組織運動や執行部の活動を考えてみることも必要であろう。
7月22日〜23日(金・土)は全国農団労第24回定期大会、意義ある大会にしよう。

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地域の『希薄化』を防ぐのは協同組合の原点『絆』
―― 東北地方太平洋沖大地震・大津波災害 ――

2011年4月

 3.11巨大な地震と大津波が…、改めて被災者の皆様へのお見舞いを申し上げさせていただきます。仲間の皆さんの引き続きの支援の輪をお願いしたいと思います。
 また、東京電力・福島第一原子力発電所の事故や計画停電も経済活動や家庭生活に影響を及ぼしている。とりわけ農業生産者は死活問題となっている以上、政府の早急な対策を急がなければならない。全国農団労としても出来得る限りの支援を行なう決意だ。エネルギ―を安定的に供給するには日本は原発に頼らなければならないことは事実ではあるが、世界的に『安全』と指摘されていたモノが崩壊したわけであるからには、『なぜ』事故が起きたのかを徹底解明し、設計・基準の見直しを急ぐべきである。
 いずれにしても、今回の出来ごとで考えさせられたことは、東北地方も過疎や高齢化とは無縁でなく、過疎を通り越した集落も多い、ということだ。
 『限界集落』、2〜3人に1人がお年寄りでコミュニティ―が成り立たないし、コミュニケ―ションが希薄化している。こんな集落では避難もままならない。車や介助の手もなければ逃れることはできない。突然の大地震と大津波の恐怖にもなすすべもなかった犠牲者の無念は計り知れない。
 戦後の復興から高度経済成長の中で、労働力を求めて地方の若者が地域を後にしていった。全国的な傾向である。また、昨今では高学歴社会も手伝って若者の流失は留まることはない。私もそうであるが親たちもそれを良しとした。いや、良しとしなければならない社会構成なのかもしれない…。
 後継ぎもいなくなった集落では田んぼは耕作放棄地となり、病院(診療所)は閉鎖され、交通もままならない。当然、ライフラインも極端に細くなっている。私の集落も50歳の私が地域の行事の参加者の中では一番若い方なのである。こんな地域が災害に見舞われたらどうなるのだろうか。国土の約7割がそんな中山間地域の日本なのである。
 地域を護るキーワードの一つが『絆 きずな』ではないだろうか。絆が切れたような現代社会、防災にも限度があるように思えるのは私だけではあるまい。
 隣は何をする人か、顔すら分からない。自由や個人主義が浸透する社会のなかで大災害に無防備な様な気がする。想像を絶する巨大地震に、鉄の壁のような津波よけの大堤防まであった集落も無残に飲み込まれた。
 地域の『絆 きずな』を大切にするべき漁協も農協も近年の広域合併を指向し、地域から遠のいている。人の絆をもう一度つなげる知恵を積み上げることも復興への視点として必要なのではないだろうか。無論、大災害以降の人々の支援の輪も『絆』であることは当然ですが、ここで指摘する『絆 きずな』とは常日頃での地域社会構成(在り方)ですので理解いただきたいと存じます。
 臨海漁協などで比較的元気だったという東北の沿岸部の町々ですらすっかり瓦礫だけの惨状に変わってしまった。万の単位で人命が失われている。地域が崩壊しないか心配である。協同組合の再生なのかも知れない。
 そもそもコミュニケーションが可能な範囲は限られ、歴史的にも村落共同体もしくは小学校区ぐらいが本来的なコミュニケーションが可能な範囲であるとされることが多い。そのように考えれば、合併によって市町村をはるかに越える範囲をもつようになり、支所等の統廃合を進めてきた農協が、地域との間で強固なコミュニケ―ションを維持していくこと自体に無理がある。然し、現実からすれば、あらためて村落共同体レベルでのコミュニケーションのとれる場(コミュニティー)をつくることが求められている、という現実も直視しなければならない。職員の地域活動への参加は勿論、農協OBの活用や自治体との連携等も視野に入れ、具体化を急ぐ必要がある。
 経営としての協同組合広域合併は致しかたないのかもしれない――その中でどのような形で地域協同組合を存続させていくのかである。このことが、『いざ』という時に地域を護る原動力ではないのか。同時に地域再生に欠かせない課題が『TPP』問題であろう。関税撤廃は数年後であったとしても、参加によって地域社会や地域農業の停滞は避けられない。慎重に議論を重ねることが必要であることは指摘するまでもない。
 いずれにしても、今回の大地震と大津波、そして原発対策、『国難』ともいえる事態である今こそ、連帯と支え合いの精神で、一致結束して救援・復旧活動に取り組むことを決意し、組合員の皆さんの行動をよびかけるものです。各組合員・街頭、被災者救援カンパ・物資支援、被災地ボランティア活動に全力をあげよう。
さいごに今回の大災害でどこか遠くへ行ってしまった様な気もする、2011”春季生活闘争…。然し、農業協同組合の事業は進めなければならない。2011”春季生活闘争、大変困難な時ではあるが気持ちを強く持ち、粘り強い労使交渉を実行しよう。

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2011”春季生活闘争の開始―課題解決に向けどう取り組む

2011年1月

ェックする仕組みになっていない点だ。その行動計画が本当に利用者の立場に立って、各人が安心して仕事と子育てを両立しうるだけの環境整備になっているのか、しっかり確かめるべきだろう。その役割を果たすのが我々労働組合の使命なのだ。実際、企業では次々にその対策を打ち出している。例えば、大手企業である私鉄や電力・電気などでは小学校入学までの育児休暇制度を導入また、私の出身地でもある福岡県の明太子のふくやではフレックスタイム制度や育児のために一旦退職しても優先的に職場復帰制度などを取り入れている。それぞれの企業が仕事と育児の在り方について検討、実践している。即ち、企業の責務として、仕事と家庭の両立 (ワ―ク・ライフ・バランス) の追求に取り組んでいる。またそのことが職場の『人材育成』に繋がっているのではないのか。
 子育て支援を積極的に進めるには、仕事と家庭との両立を図る手立てが必要だ。それには利用者本人だけではなく、サポートする他の職員の働き方にも関心を持つことが重要となることは言うまでもない。企業の行動計画指針で、とくに実効性をもつよう進めなくてはならない点は、@育児休業をとりやすくする施策 A父親の育児休業取得の促進 B短時間勤務制度やフレックスタイム制度などの労働時間の在り方 C子どもの看護のための休暇制度、などである。但し、厚生労働省がおこなった調査によるとトップにあがってくるのは、『男女とも労働時間を短くする』という職場全体の風土についての要望であることが明らかになっている。農協でいえばやはり夜間推進、ということになるであろう。つまり、女性だけ、子育て社員だけの制度ではなく、社会全体で長時間労働の習慣を排していかないかぎり、両立支援の促進 (改正育児・介護休業法、改正次世代育成支援対策法) を謳っても、子育てにやさしい社会にはならないということだ。逆に考えればこれからの高齢化社会に対応するための介護制度も同じ考え方に立つべきであろう。
 そして、もっと大きな問題だと思うのが、働く者の3割にも達する非正社員化の流れをどうするのか、ということだ。どんなに労働法を整備しても、一方ではその法で守られない人たちを増やしている現状がある。有期契約のパ―トや派遣社員の人たちに育児・介護休業はないも同然である。しかも、時給が安く、保育料とのバランスがきわめて悪い。子どもや親の病気で休めないのは、むしろこの人たちなのではないのか。
 労働組合の役割は多岐に亘っている。目の前の直接的な労働条件だけの改善取り組みだけではなく今職場の何が問題なのかを検証し、広義的視点を持った改善の取り組みも追求しよう。地域に根を張る農協だからこそ取り組まなければならない。
 2011”春季生活闘争の開始だ――あらためて働きやすい職場確立を目指し、奮闘しよう…仲間は労働組合に期待している。

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労働組合は――仲間のために闘う組織
秋季・年末闘争をあきらめるな

2010年11月

 この間、秋季活動に向け学習・討論または、アンケ―ト調査などを何回となく開催し組合員の意向把握に努めてきた。その結果、共通課題として浮かび上がってきたことは、『労使関係の問題』である。また、この労使関係が職場の緊張感を緩め交渉の弊害になっていることに他ならない。その労使関係の問題点について考え、自省し、秋季・年末活動の前進を確認する。
 労働組合の役割りの一つは社会正義を追求すること、と言われている。企業を問わずわれわれ系統内部から倫理に反する不祥事が続出している。その不祥事や不払い残業についても、労働組合のチェック機能が働かなくなっている。現場からの視点で、経営に対して監査、指摘、直言していくことが、労組の社会的責任であり、社会正義を追求する、ということであるにもかかわらず―――事故や災害など、その結果責任をとらされるのは労組員だ。不払い残業に直面してストレスをかかえるのは労組員だ。にもかかわらず、その人たちが意見や悩みを寄せる対象に労働組合が成り得ていないことを、深く自省しなければならない。
 では、何故、労働組合が対象に成り得ていない、のであろうか。よくよく考えてみるとその根幹に労使関係が存在している。良好な労使関係は大切だが、『労使馴れ合い』を放置しておくことは許されない。働く仲間のために闘えない労働組合であってはならない。そして、今日まで慣習・慣例として見過ごされたことも許されない時代になっていることを肝に銘じなければならない。
 われわれの組織はある意味であまりにも、『馴れ合い』過ぎていないだろうか。労働条件をはじめとする様々な提案はどうか―――すべて理事会決定後である。時間外をはじめとする労働時間の管理についても―――すべて所属長判断でカットまたは、一方的な考え方による支給基準。倫理基準についても、何の徹底もなく、その上不祥事に対する危機管理もない。このことに対してわれわれの組織である労働組合も毅然とした態様を行わない。まさに『馴れ合い』ではないのか。
 いよいよ秋季・年末活動も締めの交渉が本格化する。それぞれの単組が創意工夫した要求を提出している。当然その創意工夫した要求の基準は職場論議によって積み上げられた内容でもある。仲間のために闘う組織として仲間の期待に応えてほしい。あくまでも働く人たちを大切にするという立場を貫くことが、労働運動に対する共感につながっていく。その社会的責任を誠実に果たしていくことが、不祥事に対する抑制力にもなる。
 『頼りになり、拠りどころになる労働組合へ』、秋季・年末活動、このことを合言葉に最後の最後まで頑張ろうではないか。要求しっぱなし、言いっぱなしの運動はやめよう。情勢が悪い、経営者が無理解だと他のせいに転嫁するのではなく、自分たちの力で一つでも二つでも必ず応えを出させよう。建前ではなく本気で実をとる運動を実践しよう。
 秋季・年末活動――この2週間が勝負の分かれ目である。明日の農協の再建につながる回答を引き出そう。そのために一層の団結を『あきらめるな』…。

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運動課題の実践に向け一丸となり頑張ろう!!
――第23回大会を終えて――

2010年8月

 仲間のみなさん、まずは先の参議員選挙の協力ありがとうございました。組織内候補の郡司の当選を勝ち取ることが出来ました。茨城の仲間のみなさん、本当にお疲れ様でした。篠原組織内議員(衆議院)の農水副大臣就任と合わせうれしい出来事が続いています。いま改めて構造的・複合的な危機の中にある第一次産業ではありますが力を合わせ、その克服のため頑張りたいと考えています。
 さて、7月23日〜24日広島市内において農団労第23回定期大会を開催。向こう1年間の活動の方向を確認しました。既にその運動を実践すべく活動が開始されています。細かい分野まで主張すればきりがありませんが主なものとしては、@農協革新の運動課題として――特例年金の一時払い制度導入が決定したことをうけ早期清算を確実なものにするための実行性ある運動を末端から取り組むことです。そのための行動として全国連や農水省への取り組みを強化することが必要です。また、依然として職員退職の要因の多くを占めている共済事業改革を進めることです。例えば、死亡保障重視、目標重視型から生存給付の考えに組織としてシフトさせる必要があることや新規契約に偏重した付加基準の考え方や奨励基準の見直しを図り、働く者が安心して組合員や利用者に進められる体制化を求めることが何よりも急務なのではないでしょうか。そのための行動として各県本部や全共連交渉を開催することが必要なのです。さらに県中や経済連の在り方等を検証し、改革・実践を求めることも必要です。そして何よりも総合事業の在り方についての議論を深め全農協的な運動化とする取り組みを開始することです。販売・指導・購買・資金供給の事業構築をどう進めるのかの研究と実践に取り組み、現代的な総合農協を追求することです。そのための学習と研究会を全国段階として開催することも必要なことでしょう。
 A農業再建の運動課題としては――外的要因等に対する取り組みの強化は必然的なことです。その上で、『農』は農協の基軸であるし『農協』は農の拠り所です。その意味では、『農』にかかわる事業と活動をあらためて位置づけし、前面に押し出すことが重要です。農業者組合員の期待に応えるという意味では、世代交代に伴う次世代農業者への支援や農地資産管理事業などの開拓をさらに進めることが必要です。直売所の開設は地域の消費者等の期待に応えるだけではなく農業者組合員を増やすことにも貢献しています。さらに中身の充実化を目指す取り組みが必要です。今後は、農協の使命としても市民農園や就農支援、農業者を増やす活動など学童農園への支援や学校給食への食材供給、子どもたちへの食農教育、等々の活動を通して地域の農業再建を目指すことが重要です。そのため労働組合としても、対経営者との間で協議を行いこうした取り組みを興すことで農業再建の運動を求めていくことが必要なのではないでしょうか。
 そして何よりも、『組織の強化と拡大』の運動を進めていくことです。仲間の願いに応え得る活動を実践(団交)し、常に経営手法等についてチェック機能を果たすことが求められています。『当たり前の活動』を実践することです。今大会で新しく静岡・なんすん農協労組が千葉県の仲間の解散に伴い新たな千葉県農協労組を立ち上げるべく山武郡市の仲間が行動を起こしました。私自身もその先頭に立ち頑張りたいと決意を新たにしているところです。
 仲間のみなさん、全国農団労に結集し、『よかったね』と思われる活動を自信を持って邁進しようではありませんか。この1年の活動を頑張りぬきましょう。

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2010”春季生活闘争の総括を徹底し
 向こう1年間の運動を展望しよう!!

2010年5月

 デフレが進む中で迎えた10”春闘は、多くの労働組合がベア要求を見送り、定昇維持が攻防ラインとなった。基本的には定昇維持はほぼ確保できたが、一部大手企業の経営者は、今春闘では定昇維持を回答したものの、将来的には制度見直しを労組側に提起し、今後の春闘に向け議論を仕掛けている。また、明確な定昇制度が無い中小企業では実質的な賃下げが続いており、生活基盤を支えてきた賃金制度自体が大きく揺らいでいる。こうした中小企業で働く労働者の現状を私たちは常に直視し、運動(春闘)を前進させていかなければならない。
 『賃上げ要求をしてこそ春闘…労組は弱腰…』と、ちまたではこんな声も聴こえる。今年ほど労働組合の春闘方針(そもそも定期昇給は規定であり内転原資である。総額人件費が上昇するわけではなく春闘(べア)要求ではない) に対する姿勢や考え方が問われる春闘は無かったのではないか。
 いずれにしても、問題は『要求』ではなくどう闘ったのかである。われわれ農団労に結集する全ての単組は『ベア』要求を掲げ闘ってきた。結果としては4月末現在で7県9単組のみのベア回答(格差是正含、他様々な前進回答あり)に留まり納得いくものではない。一方、年度末一時金については多くの単組にて有額回答が示されたている。その性質が異なるとはいえ黒字決算であるにも係わらず『ベア』回答まで行かなかったことは事実である。労使交渉の内容についても総括しなければならないことは、いうまでもない。間違いなく農協労働者労働組合の交渉力は低下している。交渉とはわれわれの働きを評価させ得る唯一の場である。平均として数回程度の春闘交渉ではあまりにも寂しい。
 『総括なき労働組合に前進無し』毎年春闘結果(前進回答)が同一単組にかたよっているのは『なぜ』なのか。執行部総括ではなく職場からの総括を徹底することが必要であることは、いうまでもない。
 そうしたなか、宮崎のはまゆう労組の交渉はわれわれの仲間に新鮮さを与えてくれたと同時に闘う体制の強化こそが重要であることを行動を持って示してくれた。ベア要求2,000円を第一次回答の500円、第二次回答の700円が示された後もぶれることなく最後まで主張し、争議行為通告を経営者側に提出。一方、全体集会等を開催し、団結することの重要性を何回となく説明、『スト権』の確立を行い。経営者側に対し、スト通告とその事前の一週間前の時間外拒否通告、等々を駆使し闘争を強化。その結果、第三次回答として1,000円さらに年間給与計画を17ヶ月とし事実上の年間協定の締結、年間賞与が支給出来得ない場合は、役員の給与削減も合わせ検討する。次年度以降の事業計画については、十分なる労使協議会を開催する旨の回答を合わせ妥結に至ったわけである。委員長として私自身も三役会議や全体集会等にも出席し、改めて労働組合とてしての主張と行動の重要性を思い知らされた気がした。
 ただ残念なことは、はまゆう労組も含めてほぼ全ての単組において、非正規労働者の底上げにつなげるための交渉に課題が残ったことである。非正規労働者の底上げが労働者全体の底上げにつながることを再認識する必要があるのではないのか。そういう点では、労働組合は働く者にとっての駆け込み寺。働く者の権利意識を持って、春闘以外でも常に組織運営や事業方向そして、労働条件改善などを対経営者側に申し入れチェック機能の役割を果たすことが肝要である。
 春闘総括と同時に必要なのが年間総括である。今年も定期大会の季節が近づいて来た。確りとした議論を重ね、向こう1年間の運動の方向を決しよう。また、今年の夏は参議院選挙と重なりさらに熱くなるであろう。全国農団労組織内議員である郡司(農水副大臣 茨城選挙区)の戦いは始まっている。3期目の挑戦である。一番熱い戦いであることは昨今の民主党の支持率が物語っている…。然し、3度目の美酒を飲まなければならない。全国各地の仲間の声援をお願いしたい、互いに頑張ろう。
 そして熱い気持ちを持って広島の地で開催される第23回農団労定期大会へ結集しよう。農団労定期大会は7月23〜24日『広島県 国際会議場』多くの仲間の参加を!!

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2010”春季生活闘争の開始――頑張ろう!!

2010年1月

 リ―マン・ショックでの急激に減退した景気が、回復せぬまま、今日の『円高 デフレ』という『景気の二番底』が懸念されている中、労働組合にとっての最大の労使交渉である2010”春季生活闘争の活動が開始される。承知のとおり春闘はわれわれにとってこの1年間の働きを向こう1年間どう評価するのか、といった最重要な取り組みである。このことはまた、向こう1年間の働く意欲つまりはモチベ―ションへとつながり結果として農協の事業の向上に結びつくものでもある。だからわれわれは春季生活闘争を大切にとらえるのである。
 連合の今春闘に対する考え方は、@非正規労働者もふくめ、すべての労働者を対象に春闘を展開する。そのため組合員でない労働者の要求も交渉事項とする。A賃金下落をストップするため、産別指導のもと、すべての組合で賃金カ―ブを維持する取り組みを徹底する。規定の存在しない中小においては4500円+500円を基本とする。B雇用の安定・創出にむけて制度・政策要求の強化、としている。
 確かに一般的にはこの方針で良いとは考えるがわれわれ系統農協で働く仲間の現況はどうなのであろうか。系統農協にとって、90年代は組織(金融)改革(広域合併)の時代、2000年代は事業(営農・経済)改革の時代、結果この20年間で農協数は5分の1となった。確実に職員数と事業所数は激減したが、経営的には厳しい状況が続いている。このことは経費の削減だけではなく、協同間提携や組織の機能統合がほとんど進んでいない、ということの表れでもある。
 この現況から確実にいえることは、今後も系統農協は合併や統合を進めていくことによって機能強化を図る途を選択するであろうということである。大規模(県域)合併=更なる事業管理費の削減や事業所の再編の進行。然し、このことは此処の地域から農協の存在感が薄くなることにもなりかねない。特に県域合併は中央集権型組織形態化するとの懸念も指摘されている。今、系統農協に求められていることは集落や地域での存在意義を見定め、その役割を発揮することではないのか。そのことが出来なければ農協は地域の中で必要とされず、淘汰されてしまう。われわれ労働者はそのことを前提として日常の業務を行っているのである。
 こうした労働者の頑張りに労働組合として応え、経営者の考え方を改めさせなければ職場の『士気・モチベ―ション』は低下し、結果として農協の事業はマイナス化するであろう。われわれの職場は製造業ではない協同組合である。その原点は『人=地域』にある。世間の相場がわれわれの春闘であってはならない。系統農協労働者の春季生活闘争を展開しなければならない。
 その農協労働者の春季生活闘争とは『当たり前の労働組合活動』の実践にある。先ず身近な職場のまわりのことを検証、おかしいことや疑問点を洗い出し、そして課題を整理し議論を深め革新(あらため、新しいものに)させ要求化すること。
 そのためには、要求作成が最も重要となる。以下。要求づくりから妥結までの流れを確認する。この当たり前の要求つくりに基づき『学習会 団体交渉 妥結書締結 完全実施のチェック』を確実に実践することが納得出来得る労使交渉となる。

●  ●  ●  ●  ●

執行部論議(課題整理)⇒職場論議⇒執行部論議⇒職場論議⇒執行部論議⇒全体確認⇒補完学習⇒労使交渉⇒戦術行使⇒全体妥結⇒妥結書締結⇒妥結内容完全実施、となる。

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 いずれにしても、2010”春季生活闘争は、統一ベア要求と事業(革新)要求を、車の両輪として協力に推進する闘争だ。そのことが農業と農協の再建の第一歩となることはこの間の運動が証明している。さらに非正規をはじめとする系統農協のすべての労働者の諸条件引き上げにも相乗効果をもたらしている。
 全国農団労に結集する仲間の奮闘が系統農協の相場を形成している。
 自信と確信を持って2010”春季生活闘争を頑張りぬこう。

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09”秋季・年末の取り組みが開始!!
最後まであきらめず労使協議を…

2009年11月

 新執行部の最初の活動である秋季・年末闘争が開始された。多くの仲間が始めての団体交渉で経営幹部と向かい合うことになる。雇用の在り方や労働条件の改善、生活一時金の確保また、特例年金問題や共済事業の仕組み改善要求など協議する項目は少なくない。
 厚生労働省の調査によると、雇用者数に占める労働組合員の割合を示す推定組織率は18.1%。大企業が中心で100人未満の企業の組織率は1.1%にすぎない。とは言え、連合総研が4月に実施した労組未加入者への調査では、「労組が必要」とする正社員、非正社員はともに7割にのぼった。 こうした現況を考えると我々の組織には中小規模の労組が多数なわけであるから改めて組織存在に感謝する。と同時に、労働組合と言う組織を充分に活用仕切れているのか、否かを考えなければならない。ご承知の通り、労働組合は労働条件の維持改善を目的に、2人いればつくれる。行政への届け出や組合員名簿の公開と言った義務もない。個人紛争の解決をキッカケに労組結成の動きも近年では目立っている。幸いにして我々の組織はユニオンショップの組織が多く全員で交渉出来得る体制が整っている。その利点を活かし切れているのか、再度組織内容を検証することも必要であろう。
 秋季・年末闘争という短期的な取り組みとしては、現実的な足元の要求を確りと掲げ粘り強く交渉することが必要である。中・長期的には「中長期的な視点でキチンとした労使関係をつくることが大切。時間がかかっても確りとした軸を持ち、労使関係を構築していくこと」。特に、我々が運動の基本に据える「革新=特例年金問題・共済事業問題・今日的な農協の総合性の在り方問題」等々、要求の実現には健全な労使関係が大前提となることは言うまでもない。
 1人の労働者対経営者という労使関係では、経営者が労働者に対して比較的優位であるため、労働者は団結し労働組合を結成し、経営者と交渉(協議)を行っている。秋季・年末闘争が本格化する中、「労働者は団結し」、この基本的な行動(農協側と対等に話せる場)が出来ているのだろうか・・・。経営者は必ずしも目の前の執行部を見ているのではなく、その向こう側にいる全労組員の団結を見ているのではないだろうか。われわれの組織に若干不足していることは「団結」であろう・・・。我々の最大の武器(行動)は「ストライキや組合旗設置」等ではなく、全労組員の頑張ろうと言う「意志=団結」にあること。そのために創意工夫をおこない、結集力を高揚させる取り組み行動を展開すること。例えば、指名ストによる執行部の職場巡回オルグ、徹底した速報の発行、団交時の全員集会等、常に全労組員への情報を提供するなど全員による労使交渉を心掛ける。
 労使交渉においては、議事録をキチンと整理し、確認し合ったことは「合意文書または妥結書」として整理し、実行されるまでチェック機能を果たすこと。この「当たり前の取り組み」を実践すること。
 秋季・年末闘争を前進させた労働組合が2010”春闘を制す、納得する労使交渉をあきらめずに頑張りぬこう。
今こそ労働組合の存在意義を発揮し、働く者の底上げを!!

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組合員の協力に感謝――政権交代を実現
農協と農業再建の第一歩に!!

2009年9月

 右肩上がりの成長は終わり、少子高齢化社会が到来した。地域が主役の社会を求め国民の多くは、『政・官・業』の馴れ合い(既得権益)の政治から、未知数とはいえ『生活者重視』の民主党へ希望を託した。
 この間、小泉元首相が進めた政策は地方の疲弊や格差拡大といった歪を生んだことは誰もが認めるところだ。雇用状況の深刻化、社会保障のセーフティーネットの崩壊、自殺者は後を絶たず国民の不安、不信の高まりは、自公政権の退場を願う流れへとつながり最早誰が総理になろうとも、止めることは出来なかったであろう。
 民主党はこの総選挙の結果を謙虚に受け止めることが必要だ。数の驕りに走るならば自公政権と同等となる。政治の原点である国民のための政治を常に心がけ、国民に約束したマニフェストの内容を確実に実現していくこと。とりわけ私たち第一次産業に従事する農家への『戸別所得補償制度』についての具体化を示し、対応することを強く望む。また、FTA等問題をはじめ農業者へ約束したことは確実に履行すること。 全国農団労も、この選挙の結果に満足することなく、農業再建の基本的方策を踏まえつつ、政権交代に関わってきた唯一の第一次産業関連労働者として責任を自覚していかなければならない。
 戦いは時の運、大健闘したにも係わらず敗れた仲間も・・・、私たちの推す仲間も例外ではない。然し、その奮闘ぶりは大きく評価されるべきだ。その戦いがあったからこそ、勝利も見えたのである。この間の選挙運動お疲れ様。その上であらためて次回のチャレンジに期待したい。 いづれにしても、戦後最悪の雇用動向に見られるように経済の状況は以前不透明である。雇用の安定こそ社会の安心・安全へと繋がる。私たちの運動の正念場の時でもある。
 政権交代の余韻につかっている暇などない。秋季・年末闘争は10月要求・・・、早急に交渉出来得る体制を整えなければならない。選挙があったからなどとの言い訳は許されない。今こそ『農協革新』の声を高らかに『事業改革』の中身を示す時だ。
 もう一つ、この総選挙で明確になったことは戦(闘)うリ―ダ―の姿勢である。麻生首相が国民に訴えたことは、『健全な保守主義』であった。然し、保守対革新の時代は国民の中では既に終焉している。94年には一時期ではあったが村山首相を自民党は支えている。自民党と社会党の連立政権である。
 今、国民が何を求めているのか――リーダーとして常に把握し対応することが求められている。
 今、組合員が労働組合に何を求めているのか――執行部は一丸となり秋季・年末闘争の勝利に向け奮闘しよう。

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困難な時ほど――原点に戻った運動の実践を―全国農団労第22回定期大会―

2009年8月

 前回大会に引き続き今回も新たな仲間(宮崎県 はまゆう農協労組)を迎え入れることが出来、盛大にとは言えないが第22回の大会を終了しました。いま、勤労者を取り巻く環境は、昨年末から今年にかけての派遣切りに代表されるように、格差社会(貧困層)が増加の一途をたどり、また正社員までもが職を追われたり、長時間労働を課せられ、過労死などの自殺は後を絶たない状況にあります。労働組合の在り方とその活動姿勢が問われています。そこで、この1年の活動を開始するにあたり、労働組合運動を実践する上で欠かせない労働法について考え『原点』に戻った運動の一歩を踏み出したく思います。
 その労働法は多岐にわたり、複雑に絡み合うことから理解しづらいと、よく指摘されます。基礎的な学習として『労働組合の役割 労働三権の保障』などについて整理しますので確認し、運動に少しでも役立てましょう。
 特に、昨今の経済状況から職場内に法を逸脱した無茶苦茶な労務管理が多発しています。『駆け込み寺』の役割を果たすべき労働組合が『使』のレベルと同等であっては職場は混乱し崩壊します。労働組合の使命と役割を再確認し、不景気の時代に立ち向かおうではありませんか。 まずは、基礎を学び実践に活かすことが問われていると考えます。

 ――以下、一部労働調査会 労働基準広報参考――

● 使用者とは

 使用者とは、労働者と対になる概念で、一般的には労働契約の当事者である企業、または個人事業主をいうと考えられます。
 一方、労働者とは、使用者の指揮命令下で労務を提供する者で、賃金の支払われる者をいうとされています。(労基法第9条)。指揮命令下とはどのような意味かというと、要は、指示または命令される立場にあるという意味であり、労働力の処分権限は使用者に委ねられているわけです。このように、労働者は使用者の指揮命令下で労務を提供し、使用従属下に置かれる者ですから、労働者の地位を持つ者が使用者になるということは考えられません。したがって使用者とは、経営者であり、企業活動によって得られる利益の帰属主体をいうものと考えられます。
 ところが、労基法第10条では『使用者』が別の意味で使われています。『この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう』と定めています。
 すなわち、使用者は、事業主である企業、個人事業主、経営担当者である代表取締役、業務執行取締役、支配人のほかに、『その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者』であるとされており、広く企業から権限を与えられ部下のいる者を指すと考えられるのです。
 すなわち、部長、次長、課長、係長、主任などの職制にある者は、個別の部下である労働者に対する関係では、それぞれの権限と責務の範囲内で事業主のために行為する者=使用者に該当する者、ということになります。
 したがって、労基法にいう使用者については、個別事案ごとに個別労働者ごとに考える必要があります。
 たとえば、労働者の年次有給休暇を請求する場合の使用者とは、直属の課長や部長となります。また、賃金の支払いの関係は総務や人事となりその部の部長や課長が使用者となります。
 これらの使用者に該当する者は、一方で自分も労働者でありながら、他方である労働者に対する関係で当該事項については事業主のために行為する者に該当するため、使用者となるのです。

● 労働組合の役割

 労働組合とは、憲法28条に定められた団結権をもとに結成される団体であり、労働者の労働条件の改善または地位・待遇の向上を獲得するために活動することを目的とします。憲法は28条で、勤労者の団結権、団体交渉権、団体行動権を保障していますが、これを受けて制定された労働組合法のなかで、労働組合の目的が明確になっています。
 労組法第1条は、同法の目的について以下のように規定しています。『労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること』。『労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること』。『使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続きを助成すること』。
 つまり、労働組合は、労働者の地位を向上させるための団体であり、そのために、使用者と対等の立場に立って団体交渉をし、場合によってはストライキなどの争議権を行使して、労働協約を締結することを主たる目的とするわけです。
 もちろん、近年の取り巻く環境から労働組合の役割は、対経営や事業方向の在り方についても、そのチェック機能を果たさなければなりません。特に、近年の不祥事の内容については一部労働組合では事の重大さを黙認をし、働く職場を自ら崩壊させるというケ―スも出ています。労働組合の役割は多岐にわたっています。
 このように労働組合は使用者と対等の立場に立って交渉するわけであり、その設立、運営面での自主・独立性が求められています。よって、労働組合は、使用者の支配下から離れ自主的に活動し、民主的に方針を決定して活動すべき団体なのです。労使の間に利害関係が発生することは必然のことですし、労使は常に緊張感ある関係が必要です。
 そして、労働組合活動を保障するため、使用者による不利益取り扱い、団交拒否、支配介入などの団結権侵害行為に対しては、不当労働行為(労組法第7条)として、労働委員会に救済を申し立てすることができ(労組法第27条)、団結権の保護を受け、活動についての保障が与えられているのです。

● 労働三権の保障(憲法)

 憲法は27条、28条で労基法の規定を置いています。憲法27条は、『すべての国民は勤労の権利と義務を負う。』、『賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は法律でこれを定める』と定めて勤労の権利義務と勤労条件の法定主義を定めています。つぎに、憲法28条は、『勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する』と、労働三権についての定めをしています。
 憲法27条の勤労の権利と勤労の義務というのは分かりづらいと思いますが、勤労の権利というのは、労働者がその能力と適性を生かして労働の機会を与えるられるように国が体制を整えること、そして、その機会を与えられないときには労働者の生活を国が保障することを意味します。また、勤労の義務とは、国は勤労しようとしない者に対して生存を確保するための保障をしないということです。
 同じく憲法27条の労働条件法定主義は、労働者の基本的な労働条件は最低限のものとして労働基準法等の法律で定めるということを意味します。
 憲法28条は、労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権と組合活動権)を保障しています。これを労働三権といいます。使用者と対等の立場で労働条件と待遇を協議するためには、なかなか労働者個々人ができることではなく、そのために、労働者が団結して労働組合を結成し加入することを認めています。これを団結権といいます。なお、労働組合に加入しない権利、労働組合から脱退する権利は保障されていません。そして、その労働組合の活動のなかで使用者が労働組合との協議を拒んだり、協議しても無視するような態度をとってはならないことを保障するために認められたのが団体交渉権です。
 労働組合というとすぐにストライキを思い出しますが、労働組合の真の役割は使用者との協議をすることであり、その意味で現在の労働組合の活動は団体交渉中心主義といわれています。その上で、労働組合の要求が容れないときに行使するのが伝家の宝刀といわれる争議権=ストライキ権です。団体行動権はそのストライキ権と、日常時の組合活動権を含みます。
 ストライキは労働組合の組合員が使用者に対して労務の提供をしない権利であり、単にストライキをする権利があることではなく、正当なストライキである限りその事を不利益に扱われないという権利です。もちろん、ストライキの場合は労使の実力行使の場ということなので、お互いが対等に戦うべきであり、使用者に打撃を与える以上は、組合員も賃金カットされることは当然です。
 組合活動権は、労働組合として自分の判断で、オルグ活動、福利厚生活動、政治活動等を行う権利があるということですが、これらは当然に使用者の施設内で勤務時間中に行えるものではありません。労使の協議の中で勤務中の労働組合活動の範囲を取り決め行う必要があります。

● 団体交渉と労働協約

 労働組合の最大の目的は、労働条件の向上、地位、待遇の改善について団体交渉し、その成果を労働協約で書面化することにあります。
 労働組合が使用者側に団体交渉を申し入れた場合に、断わる正当な理由がないのに拒否することは、不当労働行為となって許されず(労基法第7条2号)、不誠実団交も実質的には団交拒否と評価されることになります。たとえば、何回の団交においても回答書を示さない団交などはこれに該当します。
 そして、団体交渉の結果、ある事案について合意ができた場合には文書にすることが必要であり、双方が署名または記名押印をすれば労働協約になります。合意ができても協約化しておかないと法的には何の効果をもたらさないことに繋がる可能性があります。議事録としての対応でも構いません。双方の確認化をおこなうことです。
 労働協約の内容には、労働者の労働条件や待遇について定めた規範的部分と、使用者と労働組合の約束について定めた債務的部分とがあります。規範的部分とは、たとえば、個々人の労働契約についてさらに協議によって上回る条件を整備し、労働協約を定めた場合、その労働協約が優先されるなどです。
 一方、債務的部分としては、以下のものなどがあります。

@ ユニオンショップ条項

 使用者が雇用する労働者は、組合員でなければならないという協定です。なお、ユニオンショップ条項は、脱退、除名された労働者が新しく労働組合を結成したり、他の労働組合に加入した場合にはその効力は及ばないというわけですが、日本の労働組合は、多数組合であれ少数組合であれ、また、企業内組合であれ外部組合であれ、まったく対等の取り扱いが必要であり、少数組合も保護されるわけであり、その結果『腰砕け』しているのが現状です。よって、ユニオンショップ協定を締結することにより良い労使関係を健全化していることを目的としている場合が多いと考えられます。

A 便宣供与(在籍専従 組合事務所 掲示板の貸与 組合出張 など)

 本来、施設管理権を持つ使用者の便宣措置ですので、その手続きや協議を十分におこない、必ず文書化し確認する必要があります。

B チェックオフ協定

 組合費の徴収について、使用者が給与から天引き控除して労働組合に渡す(振替)という協定です。その他、福利厚生等についても協定を締結することは当然です。

C 人事同意・協議約款に関する協定

 配転、転勤、出向などの人事異動、または懲戒処分、解雇処分などの人事問題につき、労働組合との事前の協議、または同意を必要とする場合の協定、使用者側の人事権を大きく制約し、個々人の雇用と身分を労働組合が確りと護る協定といえます。

 以上、他にも様々な労使間での協定が考えられます。要は、この様な協定が多数存在するほど労働組合の組織力が強固であるといえるでしょう。逆にいえば労働組合としては、事あるごとに『協定』を締結することです。

● 不当労働行為とその救済

 使用者による労働組合または組合員の団結権を侵害する活動を不当労働行為といい、労働組合法第7条にそれについて定めています。

 不当労働行為には、
@ 不利益取り扱い (黄犬契約を含む)
A 団体交渉の拒否
B 支配介入 (経費援助を含む)
C 報復的不利益取り扱い
の4種類があります。

@ の不利益取り扱いとは、労働組合員であること、組合を結成しようとしたこと、組合の正当な活動をしたことをもって、解雇したり不利益な取り扱いをすることです。黄犬契約とは、労働組合に加入しないこと、労働組合から脱退することを労働条件とすることです。
A の団体交渉の拒否とは、労働組合の要求を正当な理由もなく拒むことで、形式的には応じていても実質的に誠実な対応がみられない不誠実団交を含みます。
B の支配介入とは、使用者が、労働組合の結成、運営について支配・介入することです。経費上の援助をすることも含みます。特に、労働組合員の範囲の問題や団体交渉の人数制限などです。この件については労働組合が自ら決定すべきことです。
C の報復的不利益取り扱いとは、労働者が不当労働行為に対する救済の申し立てをしたことや審問において証拠を提出し、発言したことなどを理由として、解雇などの不利益な取り扱いをすることです。

 不当労働行為への対抗手段としては、裁判によって解決を試みる方法と、労働委員会に対して救済を申し立てる方法があります。
 基本的に裁判所による司法的救済は、違法な法律行為を無効とし、または権利侵害に対して損害賠償請求などをすることです。
 一方、労働委員会に対する救済申し立ては原状回復主義であり、必ずしも権利の救済ではなく、紛争の実態に即した柔軟な対応ができるといわれています。たとえば、労働組合員の昇給や昇進を認定して履行するよう命令したり、使用者の行為が不当労働行為であるため今後そのような行為をしないことを誓約する文書を掲示させるなどが可能となります。なお、労働委員会には都道府県労働委員会と中央労働委員会があります。
 なお、不当労働行為は使用者についてだけ認められており、労働組合の不当労働行為がないのはおかしいのではないのかという疑問もあります。たとえば、労働組合であっても使用者からの団体交渉の申し入れを拒否したり、団体交渉の席で暴言を吐き、暴力的行為を行うことはあります。
 しかし、現行法は、不当労働行為制度は、労働組合の団結権の保護のための制度であるとして、労働組合の不当労働行為を認めていません。

 以上、労働組合活動を行う上で基礎的な事を整理しました。最低限の法律を熟視し、労働組合員のための労働組合活動を実践しましょう。
 不景気のときこそ、労働法規などの知識をしっかりと持ち労使の関係を健全化させることが求められています。

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いよいよ総選挙――日本の歴史を変える日に

2009年8月

 安倍・福田・麻生政権と国民の審判を仰がず頭だけをすり替え日本の政治をダメにし、更に1年間延ばしに延ばして来た総選挙がいよいよ・・・。
 なぜ、我々が政治闘争を運動の一つとしておこなうのかは、昨年10月続いて11月掲載の『委員長より』を改めて確認していただきたい。小泉政権の新自由主義=市場原理主義の名の下に徹底した規制緩和を推し進め、結果『社会不安』が増大しています。今、必要なことは働く者が『安心』し生活し、頑張れる社会を構築することです。
 一方、世界的な食料問題や環境問題は、第一次産業『農』に対し、その注目が集まっています。『農』に対する個別所得保障制度を確立させるためにも『政権交代』。この言葉を合言葉に頑張りぬきましょう。

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09”春季闘争の総括と新たな運動方針論議を

2009年5月

 今春闘もほぼ終結に到った。結論としては言うまでもなく労組にとって厳しい結果となった。一部国内主導の企業においては若干のベアは獲得したものの自動車、電機、電力、NTTグループ等、リード役の企業が全滅では全体的な波及は困難と言える。問題なのは今春闘では物価上昇による「賃金の目減り補填と内需拡大への刺激」による国内経済の上昇を理由に大幅な賃上げ金額を掲げ闘ったにも関わらず、事実上の白旗状態での終結にある。確かに春闘方針決定に前後して起きた米国の金融混乱、世界の不況に繋がった経緯は理解しつつも…、雇用問題への対策・対応と…あまりにも後手ではないだろうか。本来の労働組合の使命と役割は果たせたのであろうか。我々農協労組の春闘も然りである。
 問題は、今春闘の活動の取り組み内容である。結論として言えることは、従来の労使交渉の域を出ることはなかった、という一言に尽きる。結果として日常の職場関係がそのまま労使交渉化し縦割りの関係を打破仕切れなかったのではないのか。ではその原因は何か…。徹底した総括が最も重要である。この段階ではそれぞれの労組員の立場で総括を願いたい…。全体としては全ての取り組みが終結した後、徹底することが求められている。「総括なき労組に前進なし」。
 何れにしても、全ての労組員と確認し合いたいことは我々の方針や要求が正しいとは言え、冷静に考えればその方針は全労組員の一致するものでなければ只の空論に過ぎないし、要求はその内容の改善や前進がなければ単なる要望でしかない。徹底した職場論議、100%のアンケ―ト回収、課題学習、職場オルグ等闘争戦術、等々は完全だったのか…、対経営者に対して我々の思いは伝わったのか、労使交渉に疲れ果てたか、納得できた交渉は、等々。このことは全ての労組員の執行部に対する団結力がないと不可能なこと。結局は春闘とは全ての労働者の「モノ」であるということを再確認しなければ要求の改善や前進はあり得ない。09”春闘は全ての労働者の「モノ」と言えたのか否か。
 今春闘もまた一部分会においては約束(給与規定)した定昇でさえまともに払えないとか、労組の意見を聞かねば経営をどうしていいか判らない、という経営者が存在している現状は尋常ではない。そしてまた、どうにもならないのはそういう経営者ほど我々の革新要求に真摯に耳を傾けないということだ。相矛盾しているところに農協経営の困難さが存在している。いま一度、「革新運動」の重要性とその運動展開について論議し、原点に戻った運動を実践することが問われている。
 不景気のときこそ、賃金や労働時間(時間外不支給問題等)、解雇など労働問題が起こり易い。労使ともに労働法規などの知識が不充分なためトラブルになることは珍しいことではない。そんなとき「駆け込み寺」の役割りを果たすべき労働組合が「使(経営者)」のレベルと同等では職場は混乱し崩壊する。労働組合の使命と役割を再確認し、不景気の時代を乗り越えようではないか。
 春闘総括の次は年間の運動総括、その上で次年度の運動方向(方針)を明確にし、また頑張る体制を構築する時期の到来でもある。
 全ての仲間が定期大会に参加し総括と運動方針の論議に加わろう。
 「団結すれば、偉大な力を発揮できる」。この間の非正規のなかまの労働組合の結成とその闘争がこの当たり前の言葉を実証してくれた。全国農団労の更なる一歩を確信し、第22回の全国大会に結集しよう。

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09”春季生活闘争 賃金闘争を実現するために…交渉ポイン

2009年3月

 09”春闘、要求書提出・回答指定日いよいよ闘いが本格化します。厳しい情勢ではありますが仲間の声に応えられるよう精一杯頑張りぬきましょう。
 そこで09”春闘が本格化するにあたって『賃金闘争のポイント』を整理しましたので確認し、交渉を進めましょう。悔いの残らない09”春季生活闘争を!!
 厳しい環境時ほど『原理・原則』に基づいた活動と交渉が求められています。

春闘における賃上げ=ベ・ア交渉には、賃上げ原資を獲得するための『総原資交渉』と、獲得した原資を賃金に反映させるための『配分交渉』の二つがあります。

定期昇給
本人の能力・仕事・経験年数・年齢等個人の成長を受けとめるもので、1年間仕事に従事すれば実施される。時期は4月1日になる前におこなわれ、その旨、賃金規程に定めている。定期昇給は個人ベースでは賃金上昇となるが、全体的な総人件費はその職員構成、平均年齢等が変化しない限り、その原資は内転し上昇することはない。逆に、今日の高齢労働者の大幅定年・退職をうけて、定期昇給により人件費が下がる事実も見られる。
大半の定期昇給は賃金表の二つ:年齢給表と職能給表において実施される。年齢給は生活保障部分であり、仕事の能力は加味されない。逆に職能給は文字通りの職務遂行能力によって差が出る。

ベース・アップ
経済成長・物価上昇・業績向上等の経済成長、農協の成長等を受けとめるものが『ベース・アップ』であり、労使の交渉によって決定される。ベースとは賃金表(賃金表がない農協では平均基本給)、アップとは上方書き換えである。その書き換え額(%)と配分について交渉するのが春闘となり、労使の交渉によって決まる。労働組合にとっての最大の交渉事項である。

⇒ 労働組合はこうした考え方から、毎年の春闘において、定昇とは別にベ・ア要求を掲げて闘っているのです。

⇒ 特に09春闘では、農団労『春闘方針』にも示しているように、今以上の農協改革を更に推し進め農の再建を目指すには、働く者の『士気』の向上以外にはあり得ない、との認識のもと、全ての単組が一丸となってベ・ア要求を確認したところです。更に、今年の春闘の流れは『賃上げ=ベ・ア獲得』であることを肝に命じること。

⇒ 定昇ストップやカットは『賃金制度の足踏み』であり、賃金構造に大きな歪みが生じます。たとえば、定昇ストップとなると、2年目の職員と新入職員が同じ給料となり、おかしな状態を産み出してしまいます。更には、一時金や退職金等々にも大きな影響を及ぼします。加えて、定昇制度の廃止等となれば、将来的な生活設計をも狂わせることになります。

⇒ 定昇について、制度にない勝手な運用(号俸を勝手に操作する等)を行うケースも見受けられます。当然この場合も、賃金構造にゆがみが生じます。その点も含めて、定昇については確認検証が不可欠となります。一度、ゆがんだ賃金構造を元に戻すには大きな労力と是正原資が必要となることを確認すること。

⇒ 近年では『年間収入』という点から考えると一時金削減等により、相当な額が減っています。総体として一時金の減少にストップがかかっていません。ベ・ア交渉には毅然とした態度で臨む必要があります。無用な妥結は考えましょう。

⇒ 賃金表を採用していない場合は、平均基本給の引き上げ交渉となりますが、他単組の相場等を参考とし交渉をおこなうこと。

⇒ 各農協や会社において採用している賃金表には違いはあるものの、その多くは生活保障部分の年齢給(本人給)と職務遂行能力部分の職能給に大別されます。その場合、獲得したベ・ア原資をどちらの賃金表に、どうやって配分するかを決定しなければなりません。

⇒ 配分する賃金表の選択については、経営者側は職員のがんばりにより多くの差をつけたいとして職能給への配分を主張しますが、労働組合としては生活保障部分である年齢給に配分傾斜する交渉をおこなう必要があります。

⇒ 配分方法については、原資を%で配分するのか額で配分するのか、両者の混合とするのかになります。

⇒ 配分後については賃金表に問題が生じないかの検証をおこない、確定させます。

⇒ 賃金表を採用していない場合の配分は、基本的には一律額もしくは一律%となりますが、労働組合としては底上げという観点から、一律額での配分を求めます。

⇒ 想定される内容としては 中途採用者の賃金設定や中だるみ等の是正、モデル賃金の明確化、初任給設定、運用の正常化等です。

⇒ そのためには全職員の賃金実態を労組として把握し分析検証することが必要です。

⇒ 当然、その分析と改善要求をおこなうだけの理論武装も不可欠となります。

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最後に…確認として

⇒ 賃金とは労働力の対価であり、我々労働者は農協に労働力を売って賃金を得ている。その労働力の値段を決めるのが春闘交渉であることを肝に銘じ交渉をおこなうこと。

⇒ 職能給制度では、定昇制度があり、行われるのが当然であるとの認識に立つとともに、ベ・アによって賃金水準を向上させることが必要不可欠であることを確認すること。更には、賃金交渉は配分まで労組が関わり納得のいくものとすることを確認すること。

⇒ 賃金制度、特に人事考課とも含めた制度内容・制度運用の改善の取り組みにも力を入れること。よって、制度内容改善要求を掲げることは当然

⇒ 一人ひとりが納得する賃金体系を確立するためには、一人ひとりの啓発が不可欠です。労働組合に結集し、学習し、議論し、団結し、前進させる。これが要求前進の鍵であることを確認し、理論学習運動を徹底すること。

以上、ポイントとして若干の整理をしてみました。参考にし、賃上げ春闘交渉の前進を!

定期昇給 ベース・アップ
基本 仕事に1年間従事すれば、その仕事に対する能力は必ず高まる
※労働(能)力の対価・日本特有
物価上昇と生産性、業績等で決定され、額・%は労使交渉で決定される
水準 定期昇給は賃金水準を1円も上げない →内転原資
※近年定昇の目減りが起っている
→定昇すると水準が下がる
ベ・アが実施されれば水準は上昇する
時期 3月31日業務終了時点 4月1日業務開始前
実際 個人の賃金のプロモート
上位号俸へ昇給・居場所が変わる
賃金表の水準アップ
自分の居場所のプライスがアップ
性格 生涯労働・生涯生活を維持安定させるために不可欠であり、定昇制度を含む昇給制度確立が必要 賃金水準をアップさせるにはベ・アしかない。生活面、労働の再生産という面からしても不可欠である
春闘 定期昇給は確認事項
※その他の昇給も合わせ確認
ベ・アは交渉事項

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09”春季生活闘争 開始にあたって

2009年1月

 09年、いよいよ労働組合活動の最大のイベントである、『春季生活闘争』が開始されます。全国農団労『国民春闘方針(案)』は届きましたか・・・1月23日から24日にかけて開催される『09”春闘討論集会』以降、闘いは本格化します。厳しい闘いは想定できますが、やりぬかなければなりません。全ての労働者の結集を改めて呼び掛けます。
 以下、春闘開始にあたり若干の考え方を整理…。

 これまで企業収益の下押し要因となっていた原油など原材料価格の高騰は落ち着きを取り戻したものの、欧米経済の低迷に加え、新興国の景気も減速し、海外需要が想定を超えるスピ―ドで減退。自動車や電機など輸出依存度の高い加工業種は業績の大幅悪化を余儀なくされている。その結果、中小企業の倒産件数の増加、さらに全国津々浦々で『雇用縮減』が開始されとりわけ非正規社員の雇用打ち切り問題は労働者を『不安』に陥れるだけではなく、日本社会の働く者の就業構造を大きく揺るがしている(解雇問題は非正規のみではなく、正規職員までに拡がっている)。確実に日本の『格差社会』の現象は、国策としての対策が急務化している。小泉・竹中政権の『市場原理を社会のあらゆる領域に徹底させ、競争社会をつくることこそが今の閉塞感を打破する唯一の道』として、『競争最優先』の社会を追求したことが今日の劣化した日本社会へつながっていることを抑えておかなければならない。今、求められていることは、公正と連帯を重んじる『労働を基本とした福祉型社会』であり、雇用システムや安心できる社会保障の仕組みの構築である。
 この国のあり方に関心を持ち、この国の政治の動向に対し、注視していくことが問われている。地域から運動を巻き起こそう。
 いずれにしても、この間の原油・原材料高を背景とする生活必需品の価格上昇は中所得者であるわれわれの生活を直撃してきた。確実に生活レベルは悪化の一途を辿っている。またこの間賃金は上がっておらず確実に生活実態は悪化している。
 こうした情勢(具体的情勢は農団労春闘方針等を確認)のもと、具体的に09”春季生活闘争をどう闘っていくのか――どう頑張りぬくのか、である。先ずはキチンと要求し交渉する、という姿勢を考え方を毅然と持つことが絶対条件である。
 そこで当たり前のことではあるが、あらためて『要求〜交渉、妥結書〜完全実施』までの流れを確認し、09”春季生活闘争の開始を確認したい。

 ●要求書確立から要求書提出
⇒ 執行部論議 ・・・方針案の検討と学習 課題整理を行うこと 
⇒ 職場論議  ・・・方針学習 課題学習などを徹底 (要求原案や職場要求踏まえ) 
⇒ 執行部論議 ・・・職場の実態を徹底的に 
⇒ 職場論議  ・・・再度、執行部の考え方を職場論議 
⇒ 執行部論議 ・・・再度の職場論議を踏まえ、執行部決定 
⇒ 臨時大会 ・・・要求原案を確認・決定 
⇒ 補完学習  ・・・課題学習 情勢学習など勝利のために 
⇒ 要求書提出 ・・・団体交渉において提出

 ●要求書提出から交渉〜妥結
⇒ 要求書提出 ⇒ 労使交渉・・・納得するまで何回でも 要は労組側のペ―スで
⇒ 戦術行使 ・・・スト権の確立は当然、あらゆる戦術を駆使し粘り強い交渉 
⇒ 全体妥結 ・・・必ず全体確認の基に この段階で妥結権を取ること 

 ●妥結以降から妥結書の実施
⇒ 労使合意 ⇒ 妥結書締結 ・・・具体的に文書にて妥結書締結 
⇒ 妥結内容完全実施 ・・・妥結内容のとおり完全実施を検証、となる。
特に『賃金』についてはその配分方法までキチンと交渉を実施すること。

 以上が大まかな労使交渉の流れであろうと考える。今年の09”春季生活闘争の状況は確かに厳しい。だからこそ『当たり前の春季生活闘争(活動)』が求められる。厳しい時ほど全ての仲間が結集することによってのみ経営者側のガ―ドを打ち破る。執行部お任せの闘いでは経営者もお付き合いの交渉化することは過去の闘いからも必然だ。今一度、自農協労組の組織検証を行い改善すべきは大胆に勇気を持って。
 われわれは過去の厳しい状況(バブル崩壊以降)の中、『農協革新』という名の基において、『賃上げ自粛…結果として一定の職員減の容認』の経験がある。然し、今回の情勢は大きく異なる。全中の決算概要でも指摘されている通り『職員抑制』による事業構築は最早限界に来ている。このことは経営者も働く仲間も同感であろう。ましてや農協における非正規職員の職場配置は農協事業の要となっている。
 この危機こそ労使が互いに『あるべき方向』を確認しあい危機突破に向け奮闘しなければならない。そのための絶対条件は、働く者の『モチベ―ション』を如何に高め業務に邁進させ得るかである。
 われわれは単に09”春季生活闘争を要求し交渉するのではない。将来にわたり安心し働かれ得る農協を創るために頑張るのである。  時は厳しい―――だからこそ頑張るのである―――それぞれが奮闘しよう。

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『組織内、推薦』候補必勝のための活動
気を緩めず最後まで頑張りぬこう!!

2008年11月

 前回の『メッセ―ジ(委員長より)』から1ヵ月、まさか改めて追加のメッセ―ジを記述するとは夢にも思いませんでした。然し、現実には解散総選挙が先送りされたことは事実です。一体全体『麻生総理』は国のリ―ダ―としての資質はあるのだろうか。失礼…ないから私たちは政権交代を求め日々の活動を行っているのでした。
 臨時国会でも取り上げられましたが雑誌文芸春秋への寄稿で『強い政治を取り戻す発射台として、まず国民の審判を仰ぐのが最初の使命だと思う』と書いたこと、また自民党総裁に指名された時の演説『民主党との戦いに勝って初めて「天命」を果たしたことになる』などの姿勢から考えると11月総選挙を決意していたことは間違いの無いことだと考えるのが正しいと言えるでしょう。ではなぜ、確かに米国発の金融危機が世界的規模で拡大し、わが国の実体経済にも深刻な影響を及ぼし、政府として緊急対策を打ち出す必要があることは、あったにせよ…。
 おそらく麻生総理の決断を鈍らせているのは、自民党独自での世論調査の結果にあることは各マスコミ報道等、間違いのないことでしょう。今解散総選挙すれば『民主党に勝つ』ことが困難な状況にあるからに他なりません。この間に追加の経済対策を発表し国民の意思を政府自民党に向けるのがネライであることは見栄見得ではないでしょうか。『現金』を国民にばらまいて景気回復が出来得るのでしょうか。今、必要なことは『安心』を国民に示すことではないでしょうか。雇用の安心・老後の安心・医療の安心・子育ての安心・食の安心、等々。
 結局、今回の政府の経済対策を見れば理解出来るように従来の枠を超えた施策は政府与党には困難である、と言うことです。現局面において国民に『安心』を与えられ得る施策を行うには『政権交代』しかありません。
 麻生総理自身が言うように『強い政治』を求めるのであれば『国民の審判を仰ぐ総選挙』しかありません。そのことによってのみ政治は安定し総理は確固たる『信念』に基づき経済対策が実践されるのです。
 いずれにしても、多くの仲間の間では『中弛み』現象が生まれてくる時期でもあります。今一度何のために『組織内』および『推薦』候補を持ち頑張っているのか…。問い直そうではありませんか。『油断禁物』過去の幾多の総選挙においても支持率とは、予想とは、異なる結果を生み涙したことを思い出そう。
 繰り返す、事態が一段と深刻化したいま、景気の回復や経済の立て直しには相当な年月と大胆な政策転換が必要不可欠であることを覚悟しなければならない。そのためには、広範な国民的合意と果敢な政治のリ―ダ―シップが問われている。民意の審判を受けた本格的な政権が、その任に当たるのが筋ではないだろうか。
 そのことは、安倍・福田内閣が国民に信を問うことなく政権運営を行ったからこそ退陣せなければならなかったことでも明らかの事であろう。麻生総理が宣言した『私は逃げない』政治を私たちは引き続き求め、解散総選挙を実現させようではありませんか。総選挙は間違いなく年明け冒頭も含めこの間にあることは間違いない。
 そのためにも、組織内候補3名(富山県2区 藤井宗一  長野県1区 篠原孝  北海道4区 鉢呂吉雄)、その他、各県産別推薦候補の必勝を期し奮闘しよう。
 農業と農協の再建のために。

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総選挙に関心を持ち…日本の方向性を正そう!

2008年10月

 『次の総選挙で民主党に勝って初めて『天命』を果たしたことになる』と宣言し、麻生内閣が誕生、その麻生内閣によって解散・総選挙が実施されることはほぼ間違いのないこととなりました。然し、この内閣は中山大臣(現在は辞任)に見られるように政治家としての見識どころかアイヌ民族を否定し、且つ国民の権利である組織を否定する態度は許されるものではありません。私たちは一国民としてこのような考え方(思想)を持っている麻生内閣に対し、厳しくチェックしていかなければならないと思います。
 いま、私たちの中には不安と不信が先に立っています。少子高齢化が進む社会で、年金や医療、介護といった社会保障制度に対する不安は、永田町の皆さんが想像されている以上に深刻であることは否定のしようがありません。
 霞ヶ関で制度をいじっている官僚にいたっては、全く分かっていないと考えなければならないでしょう。
 変人から普通の人であったことが証明された引退と後継者指名(次男への世襲)、その小泉構造改革がもたらした競争社会で広がった所得や雇用形態、地方の疲弊、いまや様々な格差社会と化し深刻な問題となっています。ここにきての景気後退・米国の経済の悪化などがさらに拍車をかけいびつな社会現象をもたらしていることは周知のとおりです。
 昨年の参議院選挙において民主党を中心として野党が過半数を制した結果、この間、様々な『事』があぶりだされてきました。無駄遣いの実態は勿論、官僚組織の腐敗、何よりも年金の実態(消えた年金 消された年金)等々、そして何よりも大きいのは、国民の政治への期待・この国の方向に対する関心が増したことです。
 今回の総選挙でも自分たちがこの国のリ―ダ―を選出(自民か民主 麻生か小沢)でき得る結果へと繋がったのが参議院選挙ではなかったのではないでしょうか。
 いずれにしても持続可能な社会保障制度の将来像をどう描くのか、破産状態にある国と地方の財政をどう立て直すのか、食糧危機が問われている今、日本農業の再建の方向をどうするのか。何度も政治に裏切られてきた国民は政治指導者に『政治の責任感とぶれない指導力』を強く求めているのではないでしょうか。
 与党の皆さんは民主党の政権公約について『無責任』と批判を強めています。然し、今日の日本経済の停滞や企業の相次ぐ不正と官僚との癒着の構造はこの間の長きにわたる政権与党の結果であることを確りと認識しておかなければなりません。  その意味で、今回の総選挙は生活者が報われる社会を構築する第一歩のはじまりでもあります。総選挙に関心を持ち一票を…。組織内候補の勝利のための奮闘を…。
 全国農団労はこれまで組織内候補として参議院では茨城選出の郡司、さらには衆議院では農業・農協問題で連携し、実績のある篠原(長野1区 現役)、鉢呂(北海道4区 現役)、そして元全国農団労副委員長、現富山県農協労委員長の藤井 宗一(富山2区 新人)の必勝を期して闘うことを確認しています。
 参議院選挙で自民大敗・民主大勝の大きな要因となった同党の農業者戸別所得補償法案ですが、与党が3分の2を占める衆議院の議決によって一旦は廃案になりました。然し、今後の日本農業の方向をどう描くのかが問われていることは間違いなく、参議院選挙に大敗したことにより多少ト―ンダウンしたものの規模拡大―小規模農業切捨ての構造改革なのか、所得補償による生産の担保なのかが再び争点となることは必至の状況です。農協問題では依然として規制改革会議での農協解体の動きは止まっていません。私たちは、今、第一次産業労働者として日本の胃袋を守る闘いが問われています。
 そういう意味で組織内候補3名の勝利は私たちの運動に欠かすことができません。
 第一次産業に結集する仲間の皆さん…今回の総選挙先ずは関心を持ちましょう。そして日本の方向性を託せる議員を国会に送りましょう。農業と農協再建のために。

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新たな気持ちで運動の前進を!!

2008年8月

 第21回大会に新しい仲間を迎え入れることが出来た。まさにこの1年間の運動の成果だと言えるだろう。大分県農協労職員組合(略称、JAおおいたユニオン)の仲間だ。他にもこの間のオルグの結果として未組織の仲間が大会に参加してくれた。然し、よく考えて見るとそれぞれの職場において事業形態や雇用形態の変化、等々から『不安』が仲間の中に多少なりとも拡大している実態が存在しているようでもある。
 例えば、この1年県域合併した佐賀県・大分県にオルグに入るとともに組織結成に携わってきた。結果、両県とも組織結成を果たすことが出来得たわけだが、その根底には常に『不安』の言葉が……その『不安』を少しでも解決し『やる気』にさせるには労働組合しか存在し得ないことは否定の余地がないであろう。なぜならば労働組合のみが職場の意見を発し得る唯一の『場』だからである。
 いずれにしても近年の労働組合は広域合併後の組織形態が主となっている。県内においても地域により『方言』が存在するように……ささいなことではある。だが、異なる企業風土とそこで培われた慣行や流儀の違いが摩擦を起こし、亀裂を生じさせることもあり得る。新たな企業文化や組織をつくることは容易ではない。長い歴史があるところほどしがらみも多かろう。
 それでも、なぜ農協は合併を進めるのか。生き残りのためである。その生き残りの方策が経費を節減して生き残りを図ろうと考えるだけでは寂しい限りだ。当然、この節減とは事業管理費の削減(人件費総抑制策)つまり雇用調整でもある。
 本来、組織の行動の背景には危機感がある。時代や社会の変化とともに人々の求めるものも変わる。それに合わせて自分たちも変わらないと存在意義を失う。そう感じると、変革・革新のエネルギ―が生まれる。
 だが、競争と縁遠い役所と農協の世界ではそうした動きは起きにくいといえるだろう。特に、管理職をはじめとする幹部のみなさんは……。
 よって、県域(広域)合併農協が成功するか否かはそこで働く労働者の意識変革・労働組合の組織運動によって大きく異なる。
 ただ、変化を求められている農協側は本当に改革を望んでいるのか。『いまのままでは明日はない』。そんな危機感があるのか。外部からの声に呼吸して内部に変革の動きが出てこなければ、改革も再編も中途半端に終わる恐れがある。
 ここはひとつ労働組合として確りとしたチェック機能を果たしつつ改革を前進させることであろう。革新運動をさらに前進させるべきであろう。
 いま、全国津々浦々で農協の在り方に対し疑問を持ちつつ頑張っている仲間がいる。その結果として組織拡大や農団労運動への参加がある。
 全国農団労に結集し、農業と農協の再建運動を確りと果たして行こう。その先にこそ『働き甲斐のある生(活)き甲斐のある職場』が待っている。頑張ろう!!

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全国農団労 第21回大会に結集し
労使関係の在り方の論議を!!

2008年6月

 08”春季闘争もほぼ終結。終わって見て、いつも感じることだが労使間で話し合うべき課題は真剣に労使が対峙し、行われたのであろうか、ということだ。
 今、社会的には失われた15年、いや20年を経て、企業の事業構築には労使間に議論すべき課題が山積している、とよく指摘されている。つまり労使関係がどうあるかで企業における存続の存否が左右されると言うことだろう。指摘されれば、確かにグローバル化する企業のM&A、グループ経営と労使関係、ワーク・ライフ・バランス(WLB)、団塊世代の退職と技能継承など、労使間で話し合うべき重要な課題が多い。  われわれの職場内に置きかえれば、農協の合併問題、経営方針・事業改革における労使の関係、職場の士気向上方策、人材育成方策など、となるのだろうか。しかしながら、こうした課題を取り扱うべき労使関係である労使協議制(会)が形骸化したといわれて久しい。実際、未だもって新聞報道等による、ある農協の不祥事についてはその報道にて内容を知った、という労組執行部が多々ある。  更に酷いのは、その後においても総務部長からの説明報告であり緊急の労使協議を行なったわけでもない。全くもってお粗末な話である。また、ある農協ではここ近年の連続した不祥事のため、「不祥事による業務改善命令」が発令され、今後の防止策の一環として職員研修会を実施。然し、一部職員からは業務命令による時間なので時間外手当の支給を…という話だ。
 何故、事前に徹底した労使協議を行い、「いま何が必要なのか、その目的は…」等々について決定し、全従業員に周知・徹底しないのか。このような職員意識のバラバラな中で本当の再出発など出来得るはずがない。何のための研修なのか。真摯に受け止め労使ともに考えなければ人材から農協組織が崩壊することは必然なことである。
 労使協議会とは、団体交渉とは異なり法律に支えられた制度ではない。労使当事者の自主性、先見性や将来に対する夢(事業構築等)の共有があって、その機能が有効に働く制度なのだ。然し、ここ数十年にわたり経営者、幹部が夢(経営理念)を語ることが少なくなっている。労働組合活動に携わる立場から考えるとどうもこの傾向は広域合併の頃から酷くなった気がしてならない。ちょうど15年〜20年であることが何かを予感させる。考え過ぎだろうか…。真面目に活動を実践している労組執行部なら勿論、労使関係当事者は、労使協議制度の空洞化によって、労使関係の危機が差し迫っているのではないかと懸念しているのではないのか。
 これを避けるには、日本的労使関係の原点である個別的労使関係の再構築が必要であろう。それにはまず、「使」と「労」それぞれが役割をキチンと果たすこと。例えば、経営の意思を組織に定着させ、現場力、人間力を育てることが重要となる。この役割を担うのが管理職・幹部職員だ。また、それぞれの従業員の能力開発への期待に応えるのも管理職の機能だ。然し、昨今、現場の結節点としての中間管理職の使命が、完全に喪失しており、管理職の本来の役割を再強化すべきときにある。この原因が、「人事制度」そのものの目的が形骸化し、この間人材育成が行なわれなかったことにあることは否定の余地がない。「人事制度」そのものの総括と今後どうあるべきか、の検証が肝要且つ、必要なときであろう。  労働組合も職場での構成員の能力開発や雇用保障について発言することが期待されているし、求められている。これには労組が農協のコミュニケーションの神経系統を張り巡らし、職場の課題を掌握していくことが大切だ。
 また、春季闘争が終われば労働組合の大会の季節になる。決まって困難な壁にぶち当たるのが役員の就任問題だ。今こそ多くの優秀(やる気は当然、目的意識を明確にし、且つ、持っている者)な仲間が役員に就任してほしい。こうすることによって、経営戦略策定(事業改革方針等)のプロセスに参加し、現場を理解し、視野の拡大、労使はおろか労組員の人間理解を深めることが可能となる。この中でこれまでの労働慣行、ワークルールをある意味で大胆に変更する任務を背負うこともあるだろう。逃げることなくこうした課題に取り組み、結果責任を負うことがリーダーとしての資質を磨くことにもなる。更にそうした中でこそ将来において信頼得る管理職は育成されるのではないだろうか。
 いずれにしても、08”春季闘争をキチンと総括してほしい。「総括なき労組に前進なし」である。当然、労使のあるべき関係についても…。今、求められている「労使協議制(会)」とは何か。現行開催されている「労使協議制(会)」は何が問題なのかの検証を早急に行い、労使協議に新しい息を吹き込み、活力ある職場形成へその一歩を踏み出そうではないか。
 われわれの組織に「何とかなる」という時間的余裕はない。やり抜こう!!
 全国農団労、節目の第20回大会から新たな第一歩の大会でもある。第21回大会に結集し積極果敢な論議をお願いする。

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08”春季生活闘争を開始するにあたって

2008年2月

 なかまのみなさん―08春闘討論集会が終了し、08春季生活闘争が本格化しました。3月10日、労働組合員の声が反映された『要求書』の提出です。要求実現まで全員の力を声にし執行部を勇気付け時には連帯した行動を持ち経営者側に迫りましょう。要求を勝ち取るのは私たちの『団結力』以外にはないことをあらためて確認し合いましょう。
 さて、春闘を取り巻く状況ですが『いざなぎ景気』を抜いて、と、言われますが私たちにその実感はありません。原油等の高騰に依拠し、ガソリンや食品などの値上がりが相次ぎ日常生活への不安が徐々に拡がりつつあり、さらにはこの間の市場原理の追求は日本社会の構造を完全に崩壊し、『格差』社会として『不安』を齎しています。
 いずれにしても、私たちに実感がないことの最大の要因は、『賃上げ』が行われていないことにあります。そのため、消費が伸びず完全にはデフレ状態から脱却しきれていないのではないでしょうか。逆に農協においては未だ持って定昇カットや賃金・退職金等のコスト削減方策の実行において目先の経営再建を行おうとする現状があります。私たちにとってはこのことが一番重要なのです。
 この間私たちは農団労運動の基本姿勢を農協革新とし時には賃上げを自粛、徹底した事業改革運動を重ねて来ました。然し、悲しいかな多くの経営者は、事業総利益の落ち込みに対し、事業管理費つまりは人件費の削減という手法で『単年度経営を持ちこたえる』という安易な考え方に基づき切り抜けてきました。私たちもまた結果としてそのことを容認してきたことは否定出来ません。そのことはまた、働く者のモチベ―ションを確実に低下させ事業後退の一因にもなっていることを再確認する必要が求められています。
 直近のアンケ―ト調査によれば働き甲斐やモチベ―ションやモラ―ル(士気)の高さを表す%は4割超でありおおよそ6割のなかまは何らかの形で意欲の低下がある、ということです。執行部のみなさん、賃金の停滞は…革新運動の停滞は…なかまの意欲を低下させ、またそのことは農協の経営悪化に直結していることを認識し、徹底した交渉を展開しようではありませんか。
 なかまのみなさん。農協全体の事業取扱高、総利益そして人件費が減少していることは紛れもない事実です。この間の運動にもかかわらず”なぜ”こうなったのか。一つには、私たちが腹の底から農協を農業を再建させるのだ、という気概が見られなかったこと。一つには、気概のない労働組合に経営者が馴れ、抜本的な改革を避け単なるコスト削減方策に姿勢を転化させたこと。このことにつきるのではないでしょうか。
 なかまのみなさん。08春闘は、労働者・労働組合として社会的責任を果たすための闘いでもあります。働く者のなかに労働組合の存在を示す闘いです。賃上げ・労働諸条件改善・パ―ト労働者の処遇改善・革新要求、労働運動の責任を自覚し、努力していく必要があります。
 全国農団労の08春闘は、3月10日要求書提出 3月24日回答指定日、その前段として要求課題学習会の徹底、スト権の確立、ワッペン着用、等々キチンとやり抜きましょう。
 全ての組合員の結束で08春季生活闘争の勝利を目指そう!!

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08” 実り多き一年であることを願う!!

2008年1月

 新春、おめでとうございます。
 昨年一年間のみなさんの課題解決に向けた運動に対し、心からの敬意を表します。また、委員長就任以降、右も左も分からないながらも何とか秋季・年末闘争が全ての単組で一応の決着を見たことあらためて感謝いたします。
 振り返って、昨年は政治・経済・社会など日本全体が大きく揺り動かされた一年であったような気がします。私たちにとっては政治の世界で『民主党』の躍進を遂げたことは良かったのですが、特に、社会全体としてはまさしく『偽』に振り回された年でもあったようです。
 昨年の『漢字』に『偽』が選ばれた最初のきっかけは、不二家の原材料期限切れ問題でした。その後、豚100%の肉を『牛肉』として販売した『ミートホープ』『白い恋人』『赤福』…そして『船場吉兆』等々。
 偽装を続けた企業の大半は経営陣の辞任を余儀なくされ、ミートホープのように逮捕者が出る事態に発展した例も出ました。会社は廃業、救済合併、大規模なリストラなどに追い込まれ、消費者軽視の代償は計り知れません。ミートホープで働く一部仲間が労働組合を結成し対抗したことは印象的な出来事の一つでもありました。当福岡県でも全農県本部子会社であるパールライスで不祥事が起こりそれをきっかけとして『モノ』言う組織は必要不可欠である、との立場から労働組合結成の動きが活発化しています。考えて見れば職場にキチンとしたチェック機能を備えている労働組合が存在する企業や組織はその秩序を一定保っています。結果、事業そのものが巡回し、雇用と身分が保障されていることは否定出来ないようです。
 今、私たちは好むと好まざるとにかかわらず、社会・企業・組織の大きな変革の中にあって生きるために努力しています。その努力のあり方、また行動そのものが私たち自身や組織を成長させるのです。常に自らを見つめ直し、意識改革を……。
 労働組合組織や私たち一人ひとりの役割や生き方があらためて問われています。働くことの喜びとか誇りを創造出来るような幅広い労働運動が求められて来ているのだと、言うことです。
 緩やかな景気拡大を続けた年から一転、原油高や米国のサブプライム住宅ロ―ン問題などが引き金になり、景気失速への懸念が広がっているなか、08春季生活闘争が開始されます。課題山積の中、運動を前進させなければなりません。このような時だからこそ、個人や組織の新たな方向性を探求し、困難であろうともお互いに乗り越え輝きのある実り多き年にしたいものです。
 全国農団労の仲間のみなさんのさらなる結集をお願いし、新年の挨拶とします。

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労働組合は仲間のためにたたかう組織

2007年8月

 農団労第20回定期大会において岡田委員長退任を受け委員長に就任することとなった福岡県本部出身の大谷です。仲間の皆さんのご協力をお願いし、就任にあたり一言、労働組合運動について私なりの考えを述べ挨拶といたしたい。
 この間、農団労として活動に向け学習・討論または、アンケ―ト調査などを何回となく実施し組合員の意向把握に努めてきた。その結果、共通課題として浮かび上がってきたことは、『労使関係の問題』である。また、この労使関係が職場の緊張感を緩め交渉の弊害になっていることに他ならない。その労使関係の問題点について考え、自省し、この1年間の活動の前進を確認する。  労働組合の役割りの一つは社会正義を追求すること、と言われている。企業を問わずわれわれ系統内部から倫理に反する不祥事が続出している。その不祥事や不払い残業についても、労働組合のチェック機能が働かなくなっている。現場からの視点で、経営に対して監査、指摘、直言していくことが、労組の社会的責任であり、社会正義を追求する、ということであるにもかかわらず―――事故や災害など、その結果責任をとらされるのは労組員だ。不払い残業に直面してストレスをかかえるのは労組員だ。にもかかわらず、その人たちが意見や悩みを寄せる対象に労働組合が成り得ていないことを、深く自省しなければならない。
 では、何故、労働組合が対象に成り得ていない、のであろうか。よくよく考えてみるとその根幹に労使関係が存在している。良好な労使関係は大切だが、『労使馴れ合い』を放置しておくことは許されない。働く仲間のためにたたかえない労働組合であってはならない。そして、今日まで慣習・慣例として見過ごされたことも許されない時代になっていることを肝に銘じなければならない。
 われわれの組織はある意味であまりにも、『馴れ合い』過ぎていないだろうか。労働条件をはじめとする様々な提案はどうか―――すべて理事会決定後である。時間外をはじめとする労働時間の管理についても―――すべて所属長判断でカットまたは、一方的な考え方による支給基準。倫理基準についても、何の徹底もなく、その上不祥事に対する危機管理もない。このことに対してわれわれの組織である労働組合も毅然とした対応を行わない。まさに『馴れ合い』ではないのか。
 いよいよ9月。秋季・年末活動も本格化する。それぞれの支部が本部方針に基づき創意工夫した要求を提出しようではないか。当然その創意工夫した要求の基準は職場論議によって積み上げられた内容でもある。仲間のために闘う組織として仲間の期待に応えてほしい。あくまでも働く人たちを大切にするという立場を貫くことが、労働運動に対する共感につながっていく。その社会的責任を誠実に果たしていくことが、不祥事に対する抑制力にもなる。
 『頼りになり、拠りどころになる労働組合へ』今、秋季・年末活動、いや、この1年間このことを合言葉に頑張ろうではないか。要求しっぱなし、言いっぱなしの運動はやめよう。情勢が悪い、経営者が無理解だと他のせいに転嫁するのではなく、自分たちの力で一つでも二つでも必ず応えを出させよう。建前ではなく本気で実をとる運動を実践しよう。
 全国農団労運動――『当たり前の労働組合活動』が出来得るか否かが勝負の分かれ目である。明日の農協の再建につながる回答を引き出そう。一層の団結を!!

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